大相撲が異様に盛り上がっている。過去にはなかった平幕同士の対戦にまで懸賞がついている。懸賞の数も以前とはまるで違う多さである。昨夜午後7時からのNHKのニュースでは、いの一番に突如大相撲協会に現れたモンスター、新入幕の逸の城が横綱鶴竜を倒した場面と国技館に至る道路の両側に逸の城見たさに並ぶ人垣の真ん中を悠然と歩く、怪物逸の城の姿を放映した。怪物の顔はどんな顔かと見ればありゃ何処かのお寺に並んでいる仏像の顔に似ているね。大仏さんは目を開いているが、目を閉じた大仏様だよ。
大相撲は八百長事件以来、人気低迷で不入りだったが、少しずつ回復してすっかり人気を取り戻したようだ。日本の国技であり(違うかな)伝統文化である大相撲の力士の最高位である横綱3人が3人共モンゴル人。昔の日本人は島国根性が強く外国人を受け入れなかったが、今はそうじゃない。すっかりグローバル化されて日本人の横綱が居なくても相撲人気は下がらない。
それに横綱白鵬は朝青龍が去った後、一人横綱で相撲界を引っ張ってきたのである。白鵬は奥さんも日本人であり、すごい愛妻家で日本人以上に日本人らしい。成績もさることながら横綱の品格を備えた立派な横綱である。とは思うが、やっぱり日本人の横綱も欲しい。わしは稀勢の里こそ次期横綱になると思ってずっと応援して来たが、最近は諦めた。「ありゃ駄目だ。ただの白豚に過ぎない。横綱は無理だ。」と見限った。
逸の城より前に現れた出世が速すぎて髷が間に合わなかった美男子の新人力士、遠藤の人気もすごい。大相撲界のスターである。この遠藤が相撲人気を盛り上げたことは間違いない。相撲など見ない女性の間でも熱狂的な人気があるそうだ。人気では稀勢の里より上である。成績が振るわなくても毎日10本以上の懸賞がついている。遠藤は今場所前頭筆頭という上位に居るから勝てないのだろう。3勝10敗で懸賞金を懸賞なんかつかない他の力士にばらまいている。遠藤への声援はすごいのだから勝たなきゃ駄目だ。来場所は必ず勝ち越すことを祈る。そして幕内上位の壁を破らなければいけない。
さて問題の逸の城だが、今年はたしか2014年だよね。2014年1月に幕下15枚目付け出しで初土俵を踏んだ力士が9月には14日目結びの一番で優勝30回の東の横綱白鵬と対戦する。昨日は稽古場で絶対に勝てない鶴竜に勝つにはこうするしかないと立会いの変化を朝から考えていたという。かなりしたたかな新入幕である。初土俵から3年も5年もかかってやっと幕内に入れるのが普通で幕内に上がれたらよい方だというから、異例の速さだ。
モンゴルの草原で川の水を汲んでいた少年は日本に来て水道の蛇口をひねったら水が出るのに驚いたという。その少年が4年後の今日、白鵬と対戦するのだ。2度も立ち会いの変化で勝ったのだから今日はやらないだろうと誰もが思う。そこでまた立ち合いの変化をする。白鵬や稀勢の里は一度も立ち会いの変化などやったことがない。勝つためには何をやっても反則でなければよいのだが、白鵬には通じないだろう。だからさすがに今日は変わらないでがっぷり四つになると思う。そして白鵬が小手投げかすくい投げであの巨体を土俵の真ん中にごろんと転がす。そして「こいつを料理するのはこうやるのだよ」と言って、持ち切れないほどの懸賞を両手で抱えて涼しい顔で土俵を去る。白鵬がいるから100年目の新入幕での優勝など無いだろう。わしはそう思う。逸の城が勝ったらわしは困るが、白鵬がザンバラ髪に負けるようなことは
無いだろう。