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タイガーのFun-Loving Way of Life

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面白い時代小説:「のぼうの城」と「吉原手引草」

2008年11月19日 | 読書
読書は想像力を豊かにしてくれます。そして、知識も豊かにしてくれます。
人生を楽しく豊かにしてくれる文化的な道具の一つ。
言葉は、人間の宝物。小説はそれを駆使して自分の世界を築き、世の中の人を
楽しませてくれます。

 時代小説も大好きで、映画レッド・クリフが上映されていることもあり、
北方謙三さんの三国志を読み始めていますが、長編なので、浮気をしながら
楽しんでいます。浮気は、評判の「のぼうの城」と吉原の花魁を描いた
「吉原手引草」です。

 のぼうの城は、映画化を意識して書かれただけあって、ビジュアルだし分かり
やすい読み物です。あっという間に読み終えました。
 興味深かったのは、戦国時代、秀吉が小田原城を攻めるのですが、石田光成
は、命じられて圧倒的な戦力で忍城攻めにいきます。
周囲を湖で囲まれた忍城は成田家が城主で、豊臣家に寝返ろうと諮っていたの
ですが、ぼーっとして、あだ名がでくのぼうから来ているのぼうさまという
当主の従兄弟がやわら光成軍との戦いを決意し、家来も農民も共に立ち上がり
大活躍するという痛快なお話です。こんな戦いがあったことは知らなかった
ですから、読み終えて、成田家などを調べてみました。
 日ごろ、ぬーぼーとしていたのぼう様になぜ、皆がついていったか。
智恵でもなく恐怖でもなく、人徳に惹かれています。
 世の中のリーダーの方は、一度、自らの人間性を振り返った方がいいかも
しれません(笑)。智恵をひけらかしても、自分の優位性を示しても、
それでは人は心底ついてきませんよ。

 松井今朝子さんの直木賞を取った「吉原手引草」は、本当によくできた
小説です。吉原一の花魁・葛城が失踪したらしく、それを周囲のいろいろな
職種の方々が順次、花魁の世界などを語りながら、なぜ、失踪したかを
突き詰めていきます。実は、私は、まだ半分ぐらいしか読んでいませんが、
葛城というヒロインに大変関心を持つようになっていますし(一度も本人は
現れていませんが)、一体、何がどうして葛城に起こったのだろうと心配
にすらなっています。見事な小説です。
 そして吉原の世界、花魁の世界がかなり深く書き込まれていますので
それ自体興味津々です。読み始めは、ちょっととっつきが悪かったですが、
乗った瞬間、ぐいぐい来る見事な作品です。