大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

ドイツ、公務員について大幅賃上げを決定

2018年04月20日 | 日記

 2018年4月17日(月)、ドイツ政府とベルディ(公務員労組)は、賃金を30か月で7.5%アップすることで合意した。

 フィナンシャル・タイムズ(2018/4/19)によれば、民間企業との人材獲得競争が激化していることから、新規採用者が多い賃金が低い職種(エントリーレベルの職種)については30か月で10%の大幅賃上げのほか、100ユーロ(1.3万円:1ユーロ=130円)のボーナスや追加の有給休暇を付与することもきまった。 

 ドイツの労働組合は非常に強い交渉力をもっているが、フランスなどと異なりあまりストライキをおこなわない。

 しかし、今回、230万人の組合員をようするベルディは、公共交通部門、学校、病院などで断続的にストライキを繰り返し今回の結果につながった。

 2018年3月のドイツのインフレ率は1.5%

 フィナンシャル・タイムズは、今回の賃上げはインフレ率を上昇させるため大幅賃上げをもとめているECB(欧州中銀)に歓迎されるだろうとコメントしている(黒田日銀総裁や安倍首相もデフレから完全脱却するため企業に積極的な賃上げを求めている)。

参考

ドイツ最大の労組IGメタル、子育て・介護中の週28時間労働を勝ち取る(2018年02月06日 )
ドイツの労働組合、8%の賃上げと週28時間労働を求めて24時間ストライキに突入(2018年1月31日)


トランプ政権、輸入車に国内より厳しい排ガス基準、試験を検討

2018年04月08日 | 日記

 日本の主要紙でも報じられているがウォール・ストリート・ジャーナル(2018/4/6)は、トランプ政権が輸入車に対し国内より厳しい環境基準(排ガス基準)、試験を課すことを検討していると報じた。

 同紙によれば、輸入車を国別にみると(カナダとメキシコを除く)日本が一番多く170万台、次いで韓国の82万台、3位がドイツの約50万台となっており、もっとも大きな影響を受けるのが日本メーカー。

 鉄鋼でも、25%の高関税をかけられた国でもっともアメリカへの輸出金額が多いのが日本(次が中国)。

 米中貿易摩擦が大きな注目を集めているが、中国、メキシコ、日本の3か国でアメリカのサービス・貿易赤字の8割を占めており、日本もまた輸出超過国として懲罰的貿易政策の主対象となっていることがますます明らかになってきた。


米自動車メーカー、セダン生産を縮小

2018年04月07日 | 日記

 手ごろなガソリン価格が続いていることや好景気なのに低金利が続いていることなどが重なり、アメリカではライト・トラック(SUVやクロスオーバー車など)が自動車販売の2/3を占めるようになっている。

 そのあおりを受けて販売が減っているのがセダン(4ドア車)に代表される乗用車

 乗用車は日韓メーカーとの価格競争が激しく、米メーカーは米国で乗用車(小型車)を生産するとほとんど利益がでない状態と言われている(ちなみに昔とちがって今は、日米韓で品質上の差異はほとんどない)。

 こうしたことから乗用車は早くからメキシコへの生産移管が進んでいたが、ここにきて乗用車の生産車種を廃止・削減する動きが進んでいる。

 2018年4月4日のウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、GMは今年にシボレー・ソニックを、数年以内にシボレー・インパラの生産を中止することを検討している。

 またフォードは、フュージョンの中止を検討。

 フィアット・クライスラーは、クライスラー300ドッジ・チャージャーなどの生産中止を検討している。

 これにはトランプ政権による燃費規制の緩和も影響していると思われる(燃費のよい小型車の車種構成を高める必要が小さくなった)。

 アメリカの自動車メーカーは、ガソリンの安い時期には利益の大きいSUVなどに経営資源を集中し大きな利益を出すものの、ガソリンが高くなると一気に経営危機に陥るということを何度も繰り返してきた(とくに大型車の比率の高いクライスラー)。

 今回もまたおなじことが繰り返されるのか、それとも今回は不可逆的な動きなのか(2010年代初頭にはガソリン価格が高騰したが、これまでと違って低金利の影響か大型車の売り上げはほとんど影響を受けなかった)。日系メーカーの経営にも直結する問題であり気になるところである。


テスラ・モデル3の生産、第1四半期に1万台に迫る

2018年04月04日 | 日記

 2018年4月3日(火)、テスラは2018年第1四半期の生産実績を公表した。

 ニューヨーク・タイムズ(2018/4/3)によると、モデル3の生産台数は2017年第4四半期が2,425台だったのに対し、2018年第1四半期は9,766万台と1万台に迫った。

 直近7日間の生産台数は2,020台と目標の週2,500台にかなり近づいた(米メディアは先週、テスラがモデルXとモデルSのラインを休止して、人員をモデル3のラインに投入していると報じていた)。

 テスラは、リチウム電池の自動化生産ラインに問題があり量産が遅れていた。しかし、NYTによれば現在、エロン氏は工場に泊まり込んで生産アップの陣頭指揮に立ち、ドイツからはこばれた新設備も順調に稼働しているようだ。

 ほかのモデルにもふれておけば、第1四半期のモデルXとモデルSの納車実績は21,800台(前期比23%減)。

 テスラは、今後、モデル3の生産は順調に増加していき、3か月以内に週5千台に達する見込みであり、その結果、今年中にあらたに株式や債券を発行して資金調達する必要はないとしている。


GM、自動車販売の月報を廃止: 今後は4半期報告へ

2018年04月04日 | 日記

 2018年4月3日(火)、GMはこれまでおこなってきた月ごとの自動車販売台数の公表をやめ今後は4半期ごとに販売台数を公表すると発表した。

 GMはその理由として、月単位の販売台数では販売実勢を正確に反映するのが難しいためとしている。

 米オートモーティブ・ニュース(2018/4/3)によれば、米メーカーは以前は10日ごとの自動車販売台数を公表していたが、1991年にクライスラーがそれを中止。GMも1994年に10日ごとの報告を中止した。

 GMの決定は、時間をかけて他メーカーにも広がる可能性が高い。

 GMの今後の販売台数発表予定は、2018年7月3日、10月2日、2019年1月3日となっている。