アメリカでは、使用電力の検針等をインターネットでおこなうスマートメーターが広く普及している。上の写真は、私の住んでいるアパートに設置されているGE社のスマートメーター。これが広く普及すると、人を介さず、コンピュター(ネットワーク)が自動的に電力のもっとも効率的な供給方法をリアルタイムで調整し続けるスマートグリッドができあがるそうだ(日本でも普及を目指す動きがあるようだが、その時には、現在の無骨な電力計の再現だけはとにかくやめて欲しい。こちらのメーターは、おしゃれな家の表にあっても、まったく問題ないようなデザインと小さなサイズになっている)。
ところで、アメリカの電気代は日本よりかなり安い。地域(会社)によって価格は一様ではないが、たとえば私の先月の電気代(268KWH)は次のようになっている。ちなみに暖房代は家賃に含まれているので、これには含まれていない。
発電料 17.95ドル
送電料 28.66ドル(再生可能エネルギー料 0.13ドル含む)
合計 46.61ドル=3962円 (1ドル=85円で計算)
ちなみに東京で30Aの契約をしていたら、次のようになる。
基本料金 819円
電気量料金 約5994円
合計 約6813円
アメリカの電気が安いのには多くの理由がある。もっとも大きな理由はアメリカが石油や天然ガスの産出国だということだが(注1)、割り切ったサービスも低価格に大きく関係している。アメリカでは大きな災害でもないのに停電が多い。日本から来た人のなかには、アメリカ社会のダメさ、いいかげんさが表れていると言う人もいるが、それは違う。アメリカの電力会社は、停電を予防するために必要な投資と、停電の復旧などにかかる費用を比較して、投資をしないことを選択しているのである。それは、電気代を安くすることにつながり、電力会社だけでなく利用者のためにもなっているとされる。
あたりまえだがサービスにはかならずコストがともなう。日本では停電がおきないのが普通なので、停電をなくすために多くのコストがかかっていることに気づきにくい。しかし、それはかならず電気料金に反映されている。
日本の「高」サービスに慣れていると、停電の多さ以外にも、アメリカでは憤慨することが多い。でも、気づきにくいが、その「高」サービスは値段に反映されているか、そうでなければ労働者の無償労働によって支えられている。値段に反映されている場合、しらないうちに需要を減らし、消費者の負担を増やしている面があるのではないか。労働者の無償労働に支えられている場合の問題は言うまでもないであろう。
サービスと価格(コスト)のあるべきバランスについて、もう少し考えてみたい。
注1: 電力売買の自由化をしている州の電気料金は、自由化していない州の電気料金より高いことが多く、自由化が電気料金を安くしているとは言い難い。