大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

ドル安の背景

2018年02月18日 | 日記

 

 ドル安(円高、ユーロ高)が進んでいる。

 米長期金利が上昇すると、ドルの魅力がまして(高い利子が得られるため)ドル高になるのが普通なのに逆にいまはドル安が進んでいる。

 これについて日本では、市場が不安定なので安全通貨の円が買われているとかインフレでドルの価値が目減りすることが嫌われているとか説明されることが多いが、どうも腑に落ちない。

 そこでこの一週間、いろいろと欧米のメディアをみているのだが、欧米の人たちもおなじように困惑しているようだ。

 数日前にウォール・ストリート・ジャーナルに、キャリートレード(低金利の日本でお金を借りて海外の高利回りリスク商品に投資)していたお金が利益を確定させて日本に戻ってきているとの説明がでたが、データの裏づけがなくやはり腑におちない。

 そんな中、フィナンシャル・タイムズ(2018/2/17)におやっと思う説明がでてきた。

 FTはドル安の理由を2つ挙げている。

 一番目は中国の通貨政策である。

 中国は膨大な貿易黒字をためこんでいるが、米国債を買うとドル買い=元安(ドル高)になるのでできない(世界から為替操作と非難されるし、2015年のチャイナ・ショック時のように中国から大量の資本流出がおこる可能性がある)。

 FTは、そのため中国は米債券の購入をひかえ、アメリカ以外の外貨準備を増やし、それがドル安につながっているとしている(ただしデータの裏づけはなし)。

 二番目は、債権利回りの上昇(=債券価格の低下)が進行中のため、海外からの投資がためらわれているというものである。

 もし今後も金利が上昇を続けるなら、いま米債券を買うと債券価格が低下して含み損が発生してしまう。こうした様子見がなくなるまでは、セオリーのように金利が上昇してもドル高にならないというわけである。

 これも、ひとつの考え方にすぎないのであるが、これまでなかった説明で(とくに一番目)面白かったのでここに記しておく。



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