大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

下院の民主党、最低賃金を15ドル(1650円)に引き上げる法案の可決目指す

2019年07月11日 | 日記

 米下院で過半数をにぎる民主党は、来週、2025年までに連邦最低賃金を15ドル(1650円:1ドル=110円)にひきあげる法案を可決することをめざしている。

 上院は共和党が過半数をにぎっているため、実際に法案が成立する見込みはないが、投票にさきだって中立のCBO(議会予算局)は、最低賃金引き上げが雇用に及ぼす影響の予想を公表した。

 CBOによれば、2025年までに最低賃金を15ドル(1650円)にひきあげた場合、全米で130万人の雇用が失われる

 CBOは、その一方で、最低賃金引き上げにより、全米で130万人が貧困から抜け出せるとしている(各種の福祉給付が不要となる)。

 ちなみにCBOは、2025年までに最低賃金を12ドル(1320円)に引き上げたときの影響も予想しており、全米で30万人の雇用が失われるとしている。<ちなみに、現在、アメリカでは毎月20万人前後の雇用が新たに生み出されている。>

 なお、アメリカでは州、郡、市レベルで最低賃金の引き上げが進んでおり、雇用への影響が調査されている。

 ウォールストリートジャーナルで「もっとも引用される研究」とされるマサチューセッツ大学の調査は、1979年から2016年にかけて州レベルでおこなわれた138の最低賃金引上げを調査し、低賃金職への影響はなかったことを明らかにしている

 つけたしであるが、トランプ大統領もさきの選挙期間中は最低賃金を10ドル(1100円)に引き上げることを支持していた。

 来年の大統領選挙では、トランプ大統領が最低賃金引き上げにどのような立場をとるのか注意してみていきたい。

2019年7月19日追記

  2019年7月18日(木)、米下院は2025年10月までに最低賃金を15ドル(1650円)に引き上げる法案を可決した



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