アメリカでは減税をおいかぜに企業業績が大きく向上。海外からの利益還流やそれを使った莫大な自社株買いもあり、DOWやS&P500といった代表的な株式指数は連日最高値を更新している。
新興国の通貨安や経済不安も、アメリカへの資金流入をうながすことで逆に米株高の一因になっているという見方さえでている。
しかしブログでもたびたび触れてきたように、こうした動きに賃金がついていっていない。その原因のひとつとして労働組合の退潮が指摘されるが、ここにきてようやく労働組合の動きが活発になってきたようだ。
ウォールストリートジャーナルによると、今年にはいってストライキが増加。ストによる損失日数(スト参加者×スト日数)は、昨年が44万日だったのが今年はすでに63万日にたっしている。
同紙によれば、今年2月にはウエスト・バージニア州で教員のストライキがおこなわれ5%の賃上げが実現された。
これがきっかけとなり、その後、オクラホマ州、ケンタッキー州、アリゾナ州、コロラド州、ノース・カロライナ州でも教員ストライキがおこなわれ、それぞれ賃上げが獲得された。
アメリカの東海岸や西海岸の教員は日本以上に手厚い待遇を受けているが、南部州では同じ国なのかとおもうほど教員の待遇が低い(教員ライセンスは州ごとに独立しているので教員は簡単に他州に移動できない)。
多年にわたり冷遇されてきたこうした教員のたちあがりは、しばしば生徒や保護者からの支持もうけ社会的に大きな注目を集めることになった(当時はメディアもよく教員ストを取り上げていた)。
また2018年9月初旬には、シアトル港湾でクレーン・オペレータ―のストライキが17日間続き、最終的に3年で17.8%の賃上げで決着した。
さらにウォールストリートジャーナルによれば、シカゴでは26ホテル・5千人以上の清掃員が9月7日からストライキに入っている。
ホテル関係者を組織する労働組合(UNITE-HERE)は、新規採用者の医療保険適用の改善、閑散期(冬期)のレイオフ中にも医療保険を継続すること、作業ノルマの改善(1直あたり16部屋から14部屋)などを要求している。
こうした動きを受け今後、賃金上昇にはずみがつくか注目される。