89歳の日々

home: http://kutani-mfg.jp

フランスの安楽死  「母、美しい老いと死」

2008-08-12 13:32:41 | 読書
フランスでの安楽死は普通に行われて居るようです。

 「母、美しい老いと死」は 1984年に母親の最終の5日を記録した本である。
著者;アンヌ・フリップは1947年に外交官の夫とシルクロードを旅した記録「シルクロードキャラバン」の著者である。以前読んだが、その旅行は60年前の事なので、駱駝に乗ったり不潔な旅籠に泊まったりの旅であった。

 この本は、南仏に滞在していた彼女が、90歳の母が自宅のベッドの中で卒中を起こしたのを知らされ見舞うが、始めは少し話せたが、3日目にはいよいよ最後の状態かと思い 評判の良い近所の医者に診て貰う。

 医者は下記の3つの案を示す。
 (1)入院させるが、回復の余地はない。
 (2)此の侭にしておく。6日位は生きられるが苦しむ。
 (3)辛い死を避ける為に深く眠らせる。
     
 この方法を選択するのは貴女です。と医師に言われる。
「入院は駄目だわ。助かる見込みのないのに苦しませるのもだめ。
第(3)の方法にします。」という。

“以前から母は「苦しませたり、衰弱したままで置かないで。延命も、入院もいや。声を出して誓って!」と言っていたが、いざとなると流石に自分にとって非常に難しいことだった。

その夜、看護婦が来て注射を打ったが、その前に母親は意識もなくなんの反応もない人になっていた。次の日医者が来てもう一度注射を打ち、「おそらく今夜の内でしょう。苦しむ事などありません」という。

寝苦しい夜が明けて、何をしても気が紛れる事もなく、今起こっている事がどうしても現実とは思えない・・・タオルをもって寝室に入ると母親は息を引きとっていた。”

 さて、日本でこんな事が容易に出来るなら、私共シニアにとって、なんと素晴らしいことだろう。友人たちもそれには大賛成。沢山の老人が意識もなく何年もベッドで薬づけされて生きていると言う。私の親戚はそんな状態で10年位過ごされた。

 医療関係者が「最終医療は一番費用が高く取れるのです」と言うのは本当のことですか?そんなお金を、産科医や救急医、などに使って欲しい。

 著者は、後に往年の映画俳優ジュラール・フィリップと結婚した事でも有名になった人です。・・・長くなるのでこれで終わり。