テンフォワード

浮き草みたいなヤツが、本当にどうでもいいような戯れ言をほざきます。さっさと死ねばいいのにね。

イニシエーション・ラブ

2007-05-30 01:31:34 |  未選択
 乾くるみ作。
 バブル全盛のころの、どチープな恋愛小説を装ったミステリー。最後の2行で「えっ?」と思わされる。
 のだが、いわゆる考えオチなので、読後、仕掛けが瞬時に氷解せず、「ヤラレタ」感は薄い。

 わかったあとで反芻してみると、構成がじつによく練られていることに気づかされ、主人公の恐ろしいまでのしたたかさが次々に見えてくる。あれこれ深読みしながら「こいつ超コウェー」などとオゾケをふるって楽しむことができる。2日ほど、御茶ノ水~職場までの往復路は退屈しなかった。

 作者が静岡出身者ということもあり、実在の地名や店名などが多数登場する。静岡市出身者・在住者は、実写の風景を目に浮かべながら「あるあるあるあるw」などとニヤニヤしながら読めるであろう。楽しさ3割増だ。ただ、方言がなぜか抑えめなのはなぜだろう。この点をもう少し押し出していれば、俺の評価はさらに上がったのだが。

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