空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

本のメモ・『山月記』

2019-01-31 10:37:12 | 本・論文・研究メモ
本のメモ:「漢字の民俗誌 丹羽基二 著(大修館書店)」
本のメモ:「星座で読み解く日本神話 勝俣 隆 著(大修館書店)」
本のメモ:「『「山月記」はなぜ国民教材となったのか』 佐野幹 著(大修館書店)」



 これはよい参考文献を教えてくれてありがとう、というところ。



 うんまあ、ここまでの問題提起はよいのだが



 …いや突っ込むべきはそこじゃないだろ、という感が凄い。
 別にそんなところは構わんのである。ヤン・ウェンリーの”色男ぶり”について述べられることがなくとも『銀河英雄伝説』は成立するのである。ラインハルトの美形ぶりを縷々のべなくても構わないのである。シュタインメッツについて語られることがあまりに少なくとも、まあ多少の描写から、シュタインメッツの武人ぶりはあまりにも明らかになるのである。
 欠如の機能とそぎ落としの技法と、そうまでそぎ落とす著者の意図・度胸…そんなあたりを語るべきだろう。



 ポイントはここだろう。夭折作家・中島敦の、まあ若書きとでもいうもので、まあ小説の技法等々の円熟度については賞賛するところ寧ろ少なし、とでも評価すべきところか。
 しかしそれゆえに味がある、というわけなのだ。まあ羅生門とかと比べれば、という視点を、学生の水準にあわせて教えるといいかな、とも思うが。




 まあしゃあねえべ,おたくさんみたいな高級知識人になる高校生ばかりじゃないんだし,とまあ、そういう程度の話と思う。さらに言えば、高校の先生だってピンきりというわけで、まあ一応そこそこの品質管理をせねばならぬわけであり、そりゃまあそういう「教材ガイド」みたいなもんは一定の必要性があるのであるし。
 …さほど気にしてませんでしたが、どこの先生ですかね。



 若い頃に読めば李徴を愚かと読むフツーの読み方もできるし、いや我は李徴なりと思ってわが道を行く決意をすることもあり、その辺は青春の思い出とも重なり、まあ思い入れが深いひとも多かろう。なので、評価すべきところを評価せず、また、なぜこれが国民文学扱いになっていったのか、歴史的に資料的に明らかにしていくという本を紹介するところ、「そこじゃねえよ」という突っ込みどころから説き起こすあたり、まあ感情的に説き起こしたわけで、感情的に突っ込んでいくひとたちはまあ発生するかなあと。




 ぽそっと(ほぼ愚にもつかない)感想文を書くくらいのことは許されてしかるべきだ―と言う一方,まあその,結構な権威者は多少「綸言汗のごとし」という言葉を思い起こして我が身を律せよ,というところでしょうか。天皇のような立場の方ではありませんから,という突っ込みは無しで。



 まあそういう読み方は割と多数発生するかとは。
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2019-02-08 16:07:08
「漢字の民俗誌 丹羽基二」
「『「山月記」はなぜ国民教材となったのか』 佐野幹」
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