ミュージカル「ヨセフと色とりどりのコート」

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10月23日(月)
故きを温めて新しきを知る (21)
映画をおもしろく見る方法
 原作の旧約聖書「創世記」を読んでからこの映画をDVDで見た。というより,読まされ見せられたのであるが,そのわけは講習会の1日の講座の内容であるからだ。そして,映像表現とテキスト表現の違いを比較してレポートにまとめる課題がある。これを一晩で清書して他者にプレゼンせよというきつい課題である。それはともかくとして,この映画がミュージカルであることから,この映像が現実味を持っているかどうかは問題にせず,監督がどこまでも独自の基準による美やパワーを追求しようとする意図に注意を払って鑑賞し,そういう場面を見つけることにした。

 「ミュージカルを見る会場すなわち講堂の舞台が物語の進展によって,急遽,児童たちが物語の出演者の中に溶け込んで一体化したり,場面が牢獄の中へ吸い込まれていったりする。」この映像表現は映画の中で何度も使われることから,これがこの監督の素材の様式化とも言うのだろう。また「父親ヤコブのもとに兄弟全員が集まったとき,あろうはずのないカメラで記念写真を撮る場面を入れている。」―――他者の目にはどのように映るか気にしない。これも様式化の例だ。
 「ヨセフが穴に投げ込まれるが,穴の中は見せることができない。一工夫として,蛇を出して水のたまっていない草むらもどきの中を表現している。野獣が蛇に変わっているが食われる場面はないので何でもよいのである。」このシーンも現実にはありえないが様式的に凝っている部分のひとつである。

 形式や技術よりむしろ内容こそが最も重要であるする通常の映画に対してミュージカルは台詞にメロディーをつけ,振りを加えて意思表示するという手法はまさに表現の仕方の最も特徴的なところである。文字通りミュージカルのミュージカルたる所以である。この映画ではナレーターの歌もうまいがヨセフ役の男声も聞きほれる美声である。柔らかい声帯から発する音は日本人からは聞かれない独特の雰囲気をかもし出してくれた。今回一つの視点から映画を見たのであるが,別の観点,例えば「明と暗」の効果を担当するライティングの手法に目を向けて見るのも映画をおもしろく見る方法である。
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10/23 (38ip)
2006-10-25 07:19:45
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