光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

写真作品 横浜美術館コレクション展から

2015年09月27日 | アート 写真

7月25日(土)横浜美術館のコレクション展の紹介です。

企画展の蔡国強展も素晴らしかったのですが、コレクション展も劣らず素晴らしいものでした。

 

今日は、「戦争と美術」のテーマから写真作品を紹介します。

 

瑛九は昭和11年頃に、写真の現像技術を使って抽象作品を制作していた。

以降は、絵画や版画が多くなりますが、制作手法を問わず、鋭いアート感覚にあふれた作品は素晴らしい。

 

 

 

 

次は名取洋之助の満州での作品。
上段は、日本軍の騎馬部隊でしょうか。
中段以降の、中国農民の方の綿花の収穫作業がいい。

 

 

 

左下の写真が、グラフ誌「NIPPON」の表紙を飾りました。(この表紙写真は展示とは無関係です)

植民地化した満州で農民が喜々として収穫している・・・当時の日本の対外宣伝に利用されたことは明白です。

でも、私個人としては、そうした政治的な色眼鏡をとおして見るのではなく、農民の収穫の喜びを写した

コンタクト写真の一枚一枚が輝いて見えます。 名取洋之助の撮影意図とは無関係に、そこにあった一瞬を写真として

見られることに感慨深いものを感じます。

 

 

次は、桑原甲子男の作品。 いいですね。

 

 

 

桑原甲子男の傑作「皇居前(2.26クーデターの翌日)」

 

昨年、世田谷美術館で開催された「桑原甲子男展」でも紹介しました。 憲兵の目をかいくぐって、袖の中のカメラでめくら撮りしたもの。

そうした背景を知らずにこの写真をみても、不穏と清澄が同居した写真にインパクトを受けると思います。

背景を知ると、また別の深い感慨が湧いてきます。

以前、米田知子の写真展「暗なきところで逢えれば」を鑑賞したときも、同様な違いを痛感しました。

芸術作品は、半ば、脳で見ていているんだ。

 

 

林忠彦のこの作品も、当時の国策に協力したものといえばその通りでしょう。

しかし、老若混じった女性達の、表情に嘘はありません。

 

 

 

林の戦後すぐの写真。

 
犬は、戦争でケガを負い、歩けなくなったのだろうか?
子供達と犬の表情・仕草に感慨深いものがあります。


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