光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

東京国立近代美術館(2014.12.7)工芸館 「名品展」から人形作品

2014年12月08日 | アート 人形

久し振りに東京国立近代美術館へ行きました。  2014年12月7日(日)

地下鉄九段下駅から、北の丸庭園を通って、工芸館、本館という順番です。

武道館横の大きなイチョウ。

 

 

千鳥ヶ淵沿いの道から

 

 

北の丸庭園の池にそそぐ渓流部の紅葉

 

 

工芸館の手前の池にあるススキが美しい。

 

 

今日は無料観覧日でした。 しかし、それより、乾門開放の見学者の一部が、工芸館へ立ち寄ったようで、館内はあふれかえっていました。 年配者が多かった。

 

 

 

ポスターのメインになっている野口光彦作の「陽炎(かげろう)」が入口、最前列に置かれていました。

前回見たときに述べた、「表面的な可愛さや美しさを通り越した、情念のようなものを表現したかったのでしょうか。」という思いは今も変わりません。

 

 

 

 

平田郷陽の「長閑(のどか)」も、いいですね。  生き人形風の「桜梅の少将」も別コーナに展示されていました。

 

今回初めて見た、秋山信子の「大月」。 英語表記のタイトルを見ると、八重山島の満月とあります。  

琉球風の衣装と髪形、日本的な美女の顔立ち・・・素晴らしい。

 

 

 

人形の展示コーナです。  堀 柳女の「瀞(とろ)」や鹿児島寿蔵の作品など、見慣れた名品が並んでいます。

 

さて、乾門。 通り抜けの出口になっていて、こんな密集状態に。

 

 

乾門横の塀沿いに見える黄葉。

 

竹橋に向かって帰る人々。 観光バスで来ている人も多かった。  皇居の周りを走るランナーも、さすがに今日は少ない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 工芸館 人形#3 大島和代、アクセル・ルーカス、平田郷陽

2013年08月15日 | アート 人形

大島和代の「夏の雨」も久しぶりでした

リアリティが素晴らしく、大好きな作品です。  気になっているのは少女が持っている人形。 これも大島の作品だと思うのですが、少女のあどけなさと

手に持つ人形の、近未来のおじさん顔のミスマッチが面白い。

 

 

 

横からみると、駆け出そうとして傾いた姿勢がわかると思います。  これで、倒れないのだから制作時にかなり苦労して、バランスを保ったのですね。

 

 アップで。

 

 

アクセル ルーカス は、新しい人形造形を目指しているドイツの作家です。 以前のブログでも採りあげていて、名前は忘れていましたが近未来的な不思議な顔貌の人形は記憶

にありました。

大島和代の少女の持つ人形の顔とイメージが近い。・・・このルーカスの人形が2000年の作で、2003年の大島の作品と近いので、パリ住まいの大島は何らかの影響を受けたの

だろうか? 

 

 

一転、平田郷陽の人形。  若い頃の生き人形作品(今回も桜梅の少将は展示されていました)から、晩年はこのようなシンプルな人形に作風が変わっています。

この頃私は、晩年の作品のほうが好きになりました。

 

 

 バドミントンの用具を持っているのが面白い。

 

 見上げるように撮ってみると、眼の仕上げが?   光の加減かな。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 工芸館 人形#2

2013年08月13日 | アート 人形

前回の人形と同じ部屋にあった「赤い手袋」で、今回の作品展のパンフレットに載っている作品です。

親子でタッチ&トークと題したイベントで、工芸館ガイドスタッフが子供達に説明していました。 (毎週水、土14:00~15:00で行っています。)

  

 

織物による立体造形(ファイバーアート)。 細いナイロン線で吊っています。

 

 

 

赤い手袋とスキンヘッドの手、対比してみました。

 

 

人形の写真。  ドラマチックな演出です。

   

 

 

浜いさおの「箱の男」

  

 

 イラストでよく見るような人体スケッチを立体化して面白い。

この部屋の人形は大きめのものでしたが、次回は、小さめの人形を紹介します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 工芸館 人形 北川宏人、天野可淡、川上南甫、吉田良

2013年08月12日 | アート 人形

8月7日と10日に東京国立近代美術館 工芸館に行きました。

今回は所蔵作品展ですが、ボディ3と題したテーマで、人体の形、人体を尺度とした造形作品、人体の発する技が作り出す造形という視点で選ばれた作品です。

ヒトガタの人形が素晴らしい。  これだけ粒よりの人形が見られるのはもうないかも。   会期も9月1日まで残り少ないので、是非、ご見学をお勧めします。

 

メインの人形のコーナです。 (別の部屋にも素晴らしい人形がありますが、それは別の日に) 

 

手前の、細身の若者。  左が水玉、右はスキンヘッドと題されています。

  

 

8月7日の撮影の際、子供達に学芸員が説明をしていました。 横で聞かせていただくと、作者の北川がイタリアで14年間彫刻を学んで日本に帰ってきた時、若者の姿を見て、その変わりように驚いて作ったとのこと。   異様に細身の人形ですが、特徴が的確に捉えられていて、唸ります。  手びねりのテラコッタの質感も素晴らしい。

 

近未来のクールな青年人形と、奥の妖艶な人形の対比が面白い。

 

妖しい雰囲気の人形では、天野可淡の作品も久しぶりです。  今回はペアの怪猫の展示がないのが残念です。

 

 

 

 

口元など幼児の雰囲気もあり可愛い感じなのですが、目と耳に鋭い動物の凄味を感じ、冷や汗です。

 

 

 

 

一転、和人形の川上南甫の作品も久しぶり。    可愛い幼児の人形ですが、怖さを秘めているような・・・・両サイドの人形の影響かな?

 

 

 

 

吉田良のすぐりも久しぶりでした。

 

 

前回見たときは、暗い照明のなかだったので、妖しさもひとしおでしたが。

 

アップで、顔を撮ると何か語りかけるものを感じます。

 

 

人形なのですが、ヒトガタが発する妖気はアートならではです。

ただ、吉田と天野の作品は、展示環境が大事だと思います。 暗い部屋の畳の間(すぐりの場合)、板間(天野の作品)に置き、LED等でスポット照明をすれば、妖しさも更にます

でしょう。  夏休み期間とあって、子供達の鑑賞を考えて明るくしているのでしょうが、もったいない感じがしてなりません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国立近代美術館 工芸館(2013.3.23) 人形 鹿児島 寿蔵

2013年04月01日 | アート 人形

鹿児島 寿蔵の人形作品です。   2010年にこの「延寿雛」と次の作品「地久」を紹介しており、当時の私は緻密で大胆と感じました。

気になる作家でしたが、特に調べてはいませんでした。  今回、寿蔵について調べると、人間国宝である人形師と共にアララギ派の

歌人でもあり、宮中の歌会始めの撰者にもなっている。 

人形と短歌の二つの道を究めた芸術家だった。 

紙塑人形も、寿蔵が独創で作り上げた技法※

※「紙塑人形」とは、和紙の原料である楮などの繊維を分離したものと種々の材料を臼で長時間搗き手でこね上げ
本体にし、独自に染色した「寿染和紙」を幾重にも貼り重ね、さらに気の遠くなるような工程を経て作り出される。
細かな衣装の模様まで指でちぎった和紙を貼り表現される。
柔らかな光沢、質感、優美にして堅牢、和紙のもつ力を究極までに高めた人形である。
(福岡県人会 会報(抜粋) 2011年5月号より引用)

この作品名の地久とは、舞楽の曲名 。   延寿雛もそうですが、赤と緑の色が鮮烈。

寿蔵の和歌作品で人形を歌ったものがあります。 

紙塑のわざは夢にあらざる夢なりき 求め求めて求めえし夢  (第十四歌集『海と花』)

 

 

「大森みやげ」はとりわけ完成度の高い作品。   切手の図柄にもなっています。(日本美術切手に本作と「地久」が選ばれています)

 なお、大森みやげとは、江戸時代、川崎大師参詣の帰りに、大森の名産品麦わら細工を土産に買って帰ることが流行したことに因む。

 

 この作品は可愛らしい。  頭にのっている二羽の鳥が仲睦まじく、その鳥と少女が仲良しのようだ。

ここでも、赤を中心とした色合いが絶妙。

 

 次の「さぬのちがみのおとめ」は、恥ずかしながら、?と思った題名でしたが、調べると万葉集 巻15の詠み人で、昔、読んだ記憶がありました。

狭野茅上娘子(きぬのちがみのおとめ)とその夫、中臣朝臣宅守とのあいだで交わされた贈答歌63首・・・夫が越前の国へ流罪となり、離れ離れになる思いを歌ったもので、一部を紹介すると

◆ あしびきの 山路越えむと する君を 心に持ちて 安けくもなし

◆ 君が行く 道の長路を 繰り畳ね 焼き亡ぼさむ 天の火もがも

◆ 逢はむ日の 形見にせよと 手弱女の 思ひ乱れて 縫へる衣ぞ
  

燃え上がるような恋心、身も心も夫に捧げた狭野茅上娘子の歌は、現代人の私の心を打ちます。

さすがに、超一流の歌人でもある寿蔵が、つくるわけだ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国立近代美術館 工芸館(2013.3.23) 人形 野口光彦

2013年03月30日 | アート 人形

花とは関係がないと思うのですが、御所人形師の野口光彦の作品を紹介します。

 

女の子のかわいらしさだけでなく、しっかりとした現実的な生活感を持った表情・・・がうかがえます。  作家の力量でしょう。

 

公達・・・やはり、御所人形として、宮中と関係が深いので、この名称を使ったのでしょうか。  でも何となく違和感を感じる。

 

 

 

この作品は、普通の御所人形と違って、表情に内面的な深さを感じます。  次に紹介する雛人形にも共通するのですが、表面的な可愛さや美しさを通り越した、情念のようなものを表現したかったのでしょうか。

 

女性の春巻きのような衣装もさることながら、表情に迫力を感じます。

 

 

美男、美女の雛人形が多いなか、少し異色です。  昔からの貴族の描き方に配慮したのでしょうか。   

 

 この存在感がいい。

 

衣装のデザインと色が素晴らしい。  頬が膨らんだ表情は、微妙なところで美しさとバランスがとれている。   ただ、経年劣化でしょうか顔面にヒビ割れが見えます。 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国立近代美術館 工芸館 「桜梅の少将」

2013年03月27日 | アート 人形

3月23日(土)に行った国立近代美術館の工芸館での作品紹介です。

「花咲く工芸」と題した作品展を堪能しました。

上のパンフレットにある作品はほとんど写真に収めることができましたので、これから紹介していきます。

 

まず、「桜梅の少将」、過去にも2回紹介していますが、何度見ても素晴らしい作品です。

 

 

写真も今回が一番よく撮れていますので、少し大きくしました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国立近代美術館 工芸館 天野 可淡

2011年06月28日 | アート 人形

工芸館の人形で紹介するのは、天野 可淡の人形一作のみです。 
見た途端、昨年紹介した
現代の人形展 妖艶での吉田 良のすぐり と繋がるものを感じました。
実際、二人は吉田氏の工房で一緒に活動しています。
天野 可淡はオートバイ事故で37歳で世を去りますが、彼女の残した人形は強烈です。
この作品も妖気を放っていますが、Webで調べると、もっと強烈な魔性的な作品もあります。
しかし、この作品には妖気を感じはするものの、少女の夢のような優しさも感じます。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立博物館 ワヤン - インドネシアの人形芝居

2011年03月31日 | アート 人形

 



東京国立博物館シリーズ。 今日は「 ワヤン - インドネシアの人形芝居」 (H22.11.20撮影)



誇張・デフォルメした顔や冠、飾り。  歌舞伎もそうですが、芝居はどこの国でもそうした傾向があるようです。
その誇張やデフォルメに、文化の違いが如実に顕れて面白い。



爬虫類のような髪とウロコのような装飾、迫力があります。



どの人物も、鼻が尖って出ています。 奇妙に思えたのですが、慣れるとそれが文化の違いと納得。



目や口の表現も独特です。



冠や飾りの華麗な装飾が、芝居の効果を上げるのでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 現代の人形 ラスト

2010年12月17日 | アート 人形

現代の人形のラストです。 人形展ではまだまだ紹介していない作品も多くありますが、この辺で締めとします。



トッポイ感じの顔でいい味。



グラマラスな浴衣姿で、健康的な色気。



木の芽時は早春の頃、一方、木の芽はサンショウの若葉の別名、これは五平餅の甘辛のたれにも使われているので、その意味もあるのかな。  それにしても、表情がいい。



外国人の方の人形で合作によるもの。 オベロンはシェークスピアの「夏の夜の夢」にもでてくる妖精の王。
文化の違いで衣装や形態は日本の人形と異なりますが、独特の個性を感じます。



これも合作?  素材が磁器、鋳込みとなっており、衣装を作った方との合作のような気がします。
首をかしげた何ともいえぬ表情、不思議な雰囲気を感じます

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 現代の人形 大林蘇乃、小松 康城

2010年12月16日 | アート 人形

大林 蘇乃    1910-1971
「あね」
1951  桐塑



「西銀座 昼の顔」
1962  桐塑

独特の味がある人形に感心しました。



小松 康城     1915-1979
木彫布貼人形 捲髪(かんぷう)
1966   桐、布、木彫

沖縄の女性を題材にしたのでしょうか、ボリューム感がいい。



「かんぷう」とは、「男の子の髪型。髪が短くて結えない場合に、折りまげて小さく結うもの」と『沖縄語辞典』(財務省印刷局刊)に。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 現代の人形 妖艶

2010年12月15日 | アート 人形

今日は、妖艶な人形を紹介します。

吉田 良 (1952-)
すぐり
1986  石塑粘土、胡粉、人毛、ガラス義眼

ガラスの義眼が光っていて、観たときドキっとします。



友永 詔三(ともなが あきみつ)       1944-
初夏
1977  木彫

本作品は撮影禁止だったため、展示会リーフレットからのスキャニングです。
実物の迫力は凄かったですね。 私にとっては、この人形展のベストワンでした。 

川崎 プッペ    1905-1978

1959   布きれ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 現代の人形 堀 柳女

2010年12月14日 | アート 人形

堀 柳女の作品も独特のムードを持っています。 昭和30年に前出の平田郷陽とともに衣装人形で人間国宝となった。



堀 柳女    1897-1984
「瀞(とろ)」
1957  桐、木彫、木目込



「古鏡」
1963  桐、木彫、木目込

古代ぎれが実に効果的!

堀 柳女は幼い頃に父が亡くなり、祖父の孫養女となる。 8歳のとき、日本橋西河岸で運送業を営んでいた堀家の養女となった。 昭和の始め頃、姉の婚家に引き取られ、病弱な姉や義兄(後に柳女の夫となる)を慰めてあげたいと小さな人形を作ったら、非常に喜ばれたのが人形制作の始まりであった。 昭和11年には第1回帝展(現,日展)の工芸部に初めて人形部が設けられ 「平田郷陽」「鹿児島壽蔵」ら6名の入選者の中に「堀 柳女」も入った。 人形を芸術に引き上げた功労者のひとりであった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 現代の人形 川上 南甫

2010年12月13日 | アート 人形

展示作品数が多かった、  川上 南甫(1898-1980)の作品です。

「凝視」
1966    紙、桐塑



畳の間の陳列。
「三つ折れ」
1978  紙,紙塑



「清爽」
1954  紙、紙塑



  









一貫した個性が感じられます。 気品を備えた日本人形

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立近代美術館 現代の人形 平田 郷陽

2010年12月12日 | アート 人形

人間国宝・平田 郷陽は初代の父が生き人形師であり、その技法を土台に独自の作風を極めた。
 ※生き人形:江戸末期から明治初期にかけて、生きている人間そっくりに作られた人形。 見世物などで人気があった。



平田 郷陽            1903-1981
「桜梅の少将」 (ローマ字表記はTaira-no-Koremori)
1936  桐、木彫、着せつけ
素晴らしい作品。 端正な日本人形の顔が特に気に入ってます。
(写真は3月に撮影したものを使っています。 今回も撮影したのですが、照明がイマイチでカットしました)



{洛北の秋」
1937    桐、木彫、着せつけ




戦前までは京都市内に薪を売りに大原女がいたようですが、今は見られない。  ただ、顔が貴族の女性のようで違和感があります。

「長閑(のどか)」   
1958 桐 木彫 木目込



解説のとおりで、この作品は高い芸術性を感じます。



平田 郷陽をWebで調べていると、下のような作品がありました。(今回の展示には無いものです)
リアルさに驚きます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする