
「いっせーの、いっせーの、せ」新宿駅のプラットフォームから飛び降り自殺した54人の女子校生。所属する高校も別々の彼女たちの不可解な行動に事件の匂いを感じとった黒田刑事(石橋凌)は、あるHPの存在にたどりつく。どうも赤丸は女性、白丸は男性の自殺者数をあらわしているらしい。(このHPに関係なく別の理由で自殺した人の数が含まれているかどうかは不明?)単なる事故なのか、それとも事件なのか?HPの予告どおり自殺者数はどんどん増えていくのだが・・・。
いつもどおり普通の生活をしている人々が、突如として自殺行動に移る様子が何とも不気味に描かれているが、その行動に至るロジックがあいまいなまま放置されているため、単なるオカルト話に終わってしまっている。その辺の反省は園子温監督自身にもあったようで、次作『紀子の食卓』を本作品の続編と位置づけて、クドイ説明を登場人物にさせていた。「あなたはあなたに関係していますか?」おそらく人間の外面と内面のことを言っているのだろうが、人間の外面としかつながっていない世界で内面が死んだところで何も影響ないんだよと、マセガキに言われたぐらいで簡単に自殺する大人がどこにいるっちゅうねん(なめんなよ)。
自殺率で世界トップ10に入る(先進国の中では№3)自殺大国日本。その理由はさまざまで一概にはいえないだろうが、場の論理を優先させるあまり内面を犠牲にしやすい日本人の性向が災いしているのではないか。良かれ悪しかれ強烈な自我を持っている欧米人に比べると、われわれ日本人は内面の鍛え方が少々足りないのではないか。外界に適応する小細工ばかりに長けて肝心の内面の鍛錬をおろそかにしてきた結果が、まさに数字となってあらわれているのような気がするのだ。「いっせーの、いっせーの、せ」一人で死ぬ(あるいは生きる)ことすらできないその自我の弱さこそ、われわれが克服しなければならない課題だと思うのだが。
自殺サークル
監督 園子温(2002年)
〔オススメ度

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いつもどおり普通の生活をしている人々が、突如として自殺行動に移る様子が何とも不気味に描かれているが、その行動に至るロジックがあいまいなまま放置されているため、単なるオカルト話に終わってしまっている。その辺の反省は園子温監督自身にもあったようで、次作『紀子の食卓』を本作品の続編と位置づけて、クドイ説明を登場人物にさせていた。「あなたはあなたに関係していますか?」おそらく人間の外面と内面のことを言っているのだろうが、人間の外面としかつながっていない世界で内面が死んだところで何も影響ないんだよと、マセガキに言われたぐらいで簡単に自殺する大人がどこにいるっちゅうねん(なめんなよ)。
自殺率で世界トップ10に入る(先進国の中では№3)自殺大国日本。その理由はさまざまで一概にはいえないだろうが、場の論理を優先させるあまり内面を犠牲にしやすい日本人の性向が災いしているのではないか。良かれ悪しかれ強烈な自我を持っている欧米人に比べると、われわれ日本人は内面の鍛え方が少々足りないのではないか。外界に適応する小細工ばかりに長けて肝心の内面の鍛錬をおろそかにしてきた結果が、まさに数字となってあらわれているのような気がするのだ。「いっせーの、いっせーの、せ」一人で死ぬ(あるいは生きる)ことすらできないその自我の弱さこそ、われわれが克服しなければならない課題だと思うのだが。
自殺サークル
監督 園子温(2002年)
〔オススメ度


