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オリジナル曲をやるって、そんなに凄い事なのか?

2005-02-27 21:17:05 | 音楽一般
このところ「Spring Can Really Hang You Up The Most」というスタンダードの名曲にハマってる。
59年に初演されたミュージカル、「ザ・ナーバス・セット」の中のナンバーなんだそうだが詳しいことは知らない(笑)。
Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド、vo)とかChaka Khan(チャカ・カーン、vo) 、Stan Getz(スタン・ゲッツ、ts)とかの吹き込みが有名かな・・・・・最近では日本の若手ボーカリストのAkiko(アキコ)もデビューアルバムで歌ってた。。
内容は「春が来たけれどもあなたはいなくて憂鬱だわ~」みたいな失恋もの。
これはいい曲だよぉ。
聴いててさ、あんまメロディいじって欲しくない。
まぁある意味歌物に限定しての話になるけどさ、曲の完成度があまりにも高いと、この内容をこのメロディに乗せて歌う、この曲はこの歌詞をこのメロディで歌うものだっていう・・・・・それ以外の可能性が考えられなくなる事ってない?。一発でその世界に引き込まれちゃって、過剰なフェイクで曲の世界を壊されちゃうと興醒めしてしまうって事。この曲はこういう曲なの!、余計なことすんじゃねぇ!、って(笑)。
ジャズで言えば「Stardust」とか「The Shadow Of Your Smile」とかね、もう「これ以外にどう歌えっての?」って、この曲もそんな感じ。

以前ライブ活動を頻繁にしてた頃、一緒にやってる人の中でやたらオリジナルをやりたがる人がいたのね。なんか「オリジナルをやる事に価値がある」「オリジナルをやる事がかっこいい」みたいな。今にして思うとね・・・・・チャンチャラ可笑しい(笑)。
僕も「オリジナルをやってこその音楽だ」みたいに思ってた事もあった。だけどね、音楽を聴く量が増えていけばいくほど「世の中にはなんていい曲が多いんだろう」って思うようになったのね。
特にジャズに傾倒してからはね、スタンダードというものが厳然と確立されてるじゃない。でさ、楽譜集とか買ってきてメロディや詞を追ってみたりするとさ、「こんな恐ろしくいい曲を作る奴がいるなんてなぁ」「こんないい詞を書く奴がいるなんてなぁ」って、しょっちゅう思うのさ。
その曲に興味がわいたら、その名演と呼ばれているものを買って聴くじゃない。それを繰り返してるうちに「俺らがここで偉そうにオリジナルオリジナルって言ったってねぇ」って、なんか馬鹿馬鹿しくなっちゃったんだよね。
オリジナルをやる事が悪いとか価値がないって言う気はないんだけどさ、人間一人、もしくはそれが数人集まったところでさ、感じられる情緒なんてたかが知れてるし、造り出せるものなんてハナクソみたいなもんだな、って。
ある人がある感情をもってそれを曲にするでしょ、それはそれで素晴らしい事だけど、その感情はその人だけのものではなくて、もうすでに誰しもが感じてきていて、有り余るほど曲になってるんだって事。
その感情を歌った曲ってのはたーっくさんあって、たくさんの人に演奏されて、たくさんの人に聴かれて、数え切れないくらいその感情を人に伝えながら受け継がれてきてるって事。
別にさ、近年書かれたオリジナルでもいい曲はあると思うよ。ただ、それは「オリジナルである事」に価値があるんでは決してない。

特に若い人のアマチュアのバンドやなんかで「オリジナルやってる」とか「いい曲ができた」みたいな事をステイタスみたいに言う人たちっているじゃん。あれって失笑ものだよね。その演奏者の音楽的な水準が低ければ低いほどそういう傾向が強いように、僕は感じるのね。
ああいう事が言えちゃうヤツは音楽をきちんと勉強してない証拠だよ。
J-POPのアーティストが他人の曲をほとんどやらなくて、たまにやったら「カバーアルバム」みたいに特殊な事のように扱われるのもおかしい。日本の音楽業界が、ひいては日本人の音楽的な感性が薄っぺらな証拠だよ。
書いててだんだんヒートアップしてきた(笑)。
なんかさ、ちょっとまた暴言系になるけど、「古今東西にいい曲なんてどのくらいあると思ってんだ。それに比べればお前の感性なんてハナクソみたいなもんなんだぞ」ってね、オリジナルオリジナルって騒いでる奴らにはそんな風に言いたいなって、思ったのでした。
以上(笑)。

PS
「Spring Can Really Hang You Up The Most」、これホントいい曲なんで、興味がある方は聴いてみてください。
あと、僕も自分で一生懸命訳したんだけど、まだ全体の細かいデティールがつかめていないところが多々あります。
一応全文を載せておきますので、英語力があってなおかつ「しょうがないなぁ、教えてやるか」と言う方がいらっしゃいましたら、ぜひ正確な訳詞を教えていただけたらと思います。
ではではん。

Once I was a sentimental thing
Threw my heart away each spring
Now a spring romance hasn't got a chance
Promised my first dance to winter
All I've got to show's a splinter for my little fling

Spring this year has got me feeling
Like a horse that never left the post
I lie in my room, staring up at the ceiling
Spring can really hang you up the most!

Morning's kiss wakes trees and flowers
And to them I'd like to drink a toast
I walk in the park just to kill some lonely hours
Spring can really hang you up the most

All afternoon those birds twitter twit
I know the tune "this is love. this is it!"
Heard it before and I know the score
And I've decided that spring is a bore!

Love seemed sure around the New Year
Now it's April, love is just a ghost
Spring arrived on time. only what became of you, dear?
Spring can really hang you up the most
Spring can really hang you up the most

Spring is here, there's no mistaking
Robin's building nests from coast to coast
My heart tries to sing so they won't hear it breaking
Spring can really hang you up the most

College boys are writing sonnets
In the "tender passion" they're engrossed
But I'm on the shelf with last year's easter bonnets
Spring can really hang you up the most

Love came my way, I hoped it would last
We had our day, now that's all in the past
Spring came along, a season of song
Full of sweet promise, but something went wrong

Doctors once prescribed a tonic
Sulphur and molasses was the dose
Didn't help a bit, my condition must be chronic
Spring can really hang you up the most
All alone, the party's over
Old Man Winter was a gracious host
But when you keep praying for snow to hide the clover
Spring can really hang you up the most

4 コメント

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その通りだなー。 (naruru21st)
2005-03-01 21:42:52
あたしもいっつも思ってました。



「餅は餅屋。なんで分業にしないの?」



その道のプロが作ればいいのに。

もちろん演奏家がいい曲を書く事もたくさんあるけど、

私から見れば、

演奏家と作曲家(創作家)は脳の構造が全然違うんだけどな~。

(その中でも歌い手は、作曲家よりも、

役者とかスポーツ選手の方が感覚が近いような気がするし。)



2つの才能はなかなか同居はしないような気もする。
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アスリート(笑) (TARO)
2005-03-02 23:15:51
>naruru21stさん



>演奏家と作曲家(創作家)は脳の構造が全然違う



演奏者の中でも、「演奏家タイプ」と「作曲家タイプ」に分かれますよね。

ジャズではアドリブソロを聴いてると結構それが顕著に出ます。

Keith Jarrettは前者、結構その瞬間の感覚で際限なく好きに弾く。

Chick Coreaなんかはとびっきりの後者。バチッと構成され尽くしたソロをとる。

どっちが上とかでなくて、タイプの違い(笑)。





>歌い手は、作曲家よりも、

>役者とかスポーツ選手の方が感覚が近い



歌い手ってのは結構フィジカルですよね。

体力を考えて曲目を決めたりとかしますもんね。

次はこの曲で小休止しよう、とか(笑)。
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千一 (画芦ュ院)
2005-04-26 10:16:40
スタンダードが沢山載った楽譜、歌本があります、これらの名曲は20世紀初期に生まれたもので、Rロジャース、Gガーシュイン、ティンパンアレイの無数の作曲家が時流に乗って生まれたものです50年以上経って現在の演奏家達に今でもインスピレーションを与え続け、ジャズヴォーカルではスタンダードがメインソ\ースですね、我々は遺産の継承者ですよ、スタンダードは永久廃れることがない、芸術は創造が活発になる時期とそうでない時期があるんです、火山活動みたいなものです、無理してチンケなオリジナルなんぞ聞くよりもスタンダードだけでも知らない名曲は一杯あるんです。ビルエバンスはそんな掘り出し物の演奏をいつもやってたんでしょうね。
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>画芦ュ院さん (TARO)
2005-04-26 16:55:27
はじめまして。

お名前は「があしュいん」さんとお呼びしてよいのでしょうか?(笑)。



1001ですか、コアなところですね。

日本では3巻ほど販売されてるんでしたっけ?。あとラテンの1001もありましたよね。

ジャズにとっかかろうという歌い手は、最初は大抵は全音から出ている「スタンダードジャズのすべて、上下巻」、所謂「赤本」と「青本」から買いますね。

1001には最初からはまず手を出さない。高いから(笑)。1冊10000近くしますもんね。



僕は個人的にはスタンダードを至上とする考えはありません。

ただ、オリジナルにこそ価値があるという意識は間違いだと思うんですね。

既製であれオリジナルであれ、いい曲に価値があるのだと思います。

ただ、スタンダードは時代を経てきた分より多くの評価に晒されて淘汰の末に残ってきたもので、すべての演奏者、リスナーの原点、指針、そして到達点になるべきものだと思っています。

これを疎かにする演奏者がいくらオリジナルを書いても、高が知れてしまうと、僕は思いますね。

スタンダードを大切にするアーティストは大好きです。



ではでは。
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