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クリムト展

2019-06-25 | アート&クラフト

「ウィーン・モダン展」に続いて「クリムト展」に。

◆残り2週間となりました

前日の日曜日は「入場待ち40分」というお知らせもあり、ちょっと怯んで?いたのですが、梅雨寒に朝からの雨もあったせいか、チケット売り場も入場口も待ち時間は無し。会場内は混雑していましたが少し待てば見たい絵の前に並べるという感じでした。

テレビでもいくつか特集番組が組まれたりいろいろな場で取り上げられていたので、全体的な印象と気に入った作品などをランダムに少し。

自分の中では今までクリムトというと「装飾」「官能」「黄金」というイメージが強かったのですが、これが同じ作家なのかと思うくらい画風に変化があるのに驚きました。(これは「ウィーン・モダン展」でも思ったことですが。)

 

◆ヘレーネ・クリムトの肖像 1898年

繊細なタッチで少女をとらえていて好きです。顔以外はさらっとしているのがクリムトらしい。

 

◆雨後(鶏のいるザンクト・アガータの庭)1898年

同じ年の風景画。まるっきり印象派です。

 

◆ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)1899年

同じ時期に同じ画家が描いたとは思えません。

 

◆ユディトⅠ 1901年

いよいよクリムトの本領発揮「黄金様式」!この表情!

 

◆女ともだちⅠ(姉妹たち)1907年

こちらは日本美術の影響を受けた構図や装飾的な表現、色調が印象的。

 

◆家族 1909-1910年

。。。華やかな「黄金」はどこへ行ったのでしょう?なんだか先日見たエゴン・シーレを思わせます。

 

ところで今回自分がいちばん引き込まれたのはクリムトが亡き息子を描きとめたこの素描です。

◆亡き息子オットー・ツィンマーマンの肖像 1902年

ちょっと言葉が出ません。悲しみ、愛しさ、後悔、無力感、どんな気持ちでこれを描いたのか。。。モネが妻の死にあたって描いた作品も有名ですが、これは生後間もない子どもだからかいっそう胸に迫ります。そしてクリムトの卓越した画力がさらにその哀しみを見る者に伝えているように思います。

今回の目玉は油彩画や壁画ではありますが、「ウィーン・モダン展」もこのクリムト展も素描にとてもいいものがあります。

 

そしてこんな哀しい絵を描いていたころにこんな巨大な壁画も。

◆ベートーヴェン・フリーズ (オリジナルは1901-1902年)

展示室の壁全面に配置された壁画はかなりのスケールでした。

他にも弟との彫金作品やクリムトが描いたラブレター(情熱的!)なども面白かったです。

 

ミュージアムショップは展示室以上の混雑。ミュシャ展のときのように女性がいっぱい。お洒落な商品が多く、ちょっといいなと思ったものは品切れ状態が多かったです。

 

「ウィーン・モダン展」と併せて見るのも良いと思います。(~8月5日まで)

(2019.06.24)

 

 

 


ウィーン・モダン展

2019-06-20 | アート&クラフト

「クリムト、シーレ 世紀末への道」と題する「ウィーン・モダン」展に行きました。

◆新国立美術館で開催中

19世紀末から20世紀にかけてのウィーンの絵画・建築・工芸・グラフィック・音楽などの文化芸術の軌跡をたどるというこの展覧会、見ごたえ十分です。出品数は500点近くあり、じっくり見ているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。

絵画ではやはりクリムトとシーレ。

◆クリムト「エミーリエ・フレーゲの肖像」は撮影可

◆文化服装学院の学生が再現したドレスと帽子も展示

◆シーレ「自画像」は小品だが引き込まれます

特筆すべきはクリムトとシーレの素描が数多く展示されていること。これが素晴らしい!

◆シーレの素描「マリア・シュタイナーの肖像」

(この素描の前でしばらく立ち止まっておりました)

それにしてもクリムトもシーレも女性を描くのがまあなんと巧いことか!

他にも印象派や新印象派の影響を受けた?ものやミュシャやエッシャーによく似たものなど、いろいろなスタイルの作家の作品が展示されています。

◆クルツヴァイル「黄色いドレスの女性《画家の妻》」

ちょっと珍しいところではシューベルトの肖像画。

◆リーダー「作曲家フランツ・シューベルト」

音楽室によく飾ってあるものですが、シューベルトが実際に使っていた丸眼鏡も横に展示されています。

マーラーやシュトラウスの彫像、シェーンベルクやベルクの肖像画などもありますので、音楽好きにも楽しめると思います。

(なんとシェーンベルクが描いた絵もあります!)

 

そしてポストカードやポスターなどグラフィック作品は今見てもカッコいいものが多いです。

◆クリムト「第1回ウィーン分離派展ポスター」

また、画像はないのですが、現在でも十分に通用するシンプルで機能的な洋食器、ポット、椅子、テーブル、ランプなどの工芸品のデザインには感心させられます。個人的にはかなり楽しめました。

ちょっと面白いところではクリムトが愛用していたあのスモックの「実物」もありました。よく残っていたものです。(ミュージアムショップでTシャツとしても販売中

 

あまりにも多すぎて紹介しきれないのですが、都市計画に基づく図面や模型、当時の写真、装飾品、図案集、服飾品、家具など、他にも見どころ満載。

それほど混雑もなく回れますのでお勧めです。

※都美術館の「クリムト展」の一件があったせいか、展示室内はいつもの女性の学芸員のほか警備の男性も巡回していました。

(2019.06.19)