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アンサンブル市川第30回定期演奏会

2015-06-23 | コンサート&ライヴ

一年ぶりに「アンサンブル・市川」の定期演奏会へ。 (※前回の記事はこちら

◆第30回を記念して、トランペット奏者の太田恭史さんを独奏者に迎えての3部構成です。

 

いつものように2階席前方へ。

会場の2階は毎回「お子さん連れ席」として開放されています。演奏中に時おり声が聴こえますが、はじめからそのつもりでいるとあまり気にならない。席の区別がなくて子どもの声が聴こえるとすごく気になるのに人間とは勝手なものです 笑。

 

★第1部は吹奏楽のオリジナル作品4曲

1曲目は「GODSPEED!」(S.メリロ)

打楽器の一撃で始まるエネルギッシュでスピード感のある演奏は幕開けにぴったりです。重心の低いサウンドと充実した編成はアンサンブル市川ならでは。

※この曲の冒頭と後半に現れるトランペットと木管のフレーズを聴くと、いつも映画「E.T.」(音楽:J.ウィリアムス)を連想してしまいます。

2曲目は趣を変えて「森の贈り物」(酒井格)

以前、ある中学校の爽やかな演奏を聴いて好きになった曲ですが、大人のバンドがやるとこうなるのか、と感じ入りました。まずソロの皆さんが上手い。特にトランペットはブラヴォー!

各セクションが混ざり合った柔らかな響きも心地よく、中学生の演奏が若葉の季節の小さな森だとすれば、今日の演奏は深い緑をたたえた大きな森、そんな演奏でした。(ほめすぎ?笑)

3曲目はマーチ「春の道を歩こう」(佐藤邦弘)

お~、いかにも課題曲 笑。

これも落ち着いた演奏で特に後方の打楽器(個人的にこの配置は好きです)がぴりっと要所を決めています。

4曲目は「ル・ピトレスク ~ウインド・オーケストラのために~」(光田健一)

「ル・ピトレスク」ってどこかで聞いたような?あ、私の好きなマスネの組曲「絵のような風景」と同じですね。なるほど。

音色や曲想など変化のある作品で打楽器の使い方も面白い。でも音楽としてまとめるのは大変そうな気がしました。

 

★第2部はゲストを迎えての共演

トランペット奏者の太田恭史さんのソロで「トランペット協奏曲」変イ長調(A.アルチュニアン)

コンテストなどでもよく演奏される曲ですが、いやいや、さすがです。音量、音色、テクニック、歌い回し、脂がのっております 笑。

吹奏楽で協奏曲の伴奏をするのはなかなか難しいものですが、大人数にもかかわらずバランスがよくソロもgood!

会場の拍手に答えてのアンコールはどこか懐かしい「エレジー」(A.アルチュニアン)

なかなか贅沢なステージでありました。

 

★第3部はオーケストラからのアレンジ作品

今回のメインはバレエ音楽「青銅の騎士」より(R.グリエール)

グリエールといえば「ロシア水兵の踊り」(バレエ音楽 《赤いけしの花》より)が有名ですね。

◆ロシア水兵の踊り 

ロシアものは大好きなのですが、繰り返しが多く音量も必要で体力がいります。ついつい「吹く方は大変だろうな~」と考えてしまいます。特にこの「青銅の騎士」は最後がきつい。金管いじめのようなffのロングトーンがこれでもかと続く 笑。それでも挑戦するアンサンブル市川、目指すは青銅の騎士ピョートル大帝のように「ブルいち帝国建設」の野望? 笑

演奏は重厚な低音楽器群で始まり、各ソロも美しい。ポルカワルツ、躍動的な「踊りの場面」、そして最後の壮大なコラールまでたっぷり楽しませてくれました。これで弱音部分にさらに磨きがかかればさらに素晴らしいと思います。

 

そしてアンコールはまず「ヴィリアの歌」(F.レハール)でしっとりと歌いあげていったん気持ちを静めてからお約束の「ギャロップ」(A.リード)へ。

いつも大喝采の「ギャロップ」ですが、今回は特に打楽器が際立っていました。中でも繊細で切れ味鋭いシンバルと、深さを変えた(たぶん)3台のスネア・ドラムが興奮モノ!遠目ではっきりお顔はわかりませんでしたが横山やすしさん似(失礼)のスネアドラムの方の見事なスティックワークにはシビれました!目が釘付け。いや~気持ちよかった。

 ◆横山やすし師匠 笑

 

次回の定期演奏会も楽しみです。

(2015.06.21)

 

第31回定期演奏会は2016.2.11(祝)14時から市川市文化会館大ホールにて。


神の手 ● ニッポン展

2015-06-15 | アート&クラフト

目黒雅叙園で開催中の「神の手●ニッポン展」 まさに神技です。

ジオラマやミニチュア系は大好きなのでたいへん楽しみでしたが、期待どおりの展覧会でした。

 

◆エレベーターからして芸術的

 ◆入口の谷川俊太郎さんの詩

 

会場の「百段階段」は板張り廊下に畳敷きのため靴を脱いで入場です。

◆上へ続く百段階段 趣があります

 

まず最初の部屋は太田隆司さんのペーパーアート

初めから驚きの連続。

◆「東京雷門 西暦2007」(入口に展示中)

◆近くで見るとこんな感じ この遠近感!

◆これすべて紙

◆服、車、樹、石などの質感もみごと

◆で、横から見ると!

たったこれだけの奥行きしかないのに、この立体感・遠近感。しかも写真でははっきりしませんが人物一人ひとりの表情がまたいい。

どこか懐かしい田舎や街中の風景、結婚式の一家の一日を綴る連作、車や機関車などどれをとってもストーリーを感じさせる素晴らしい作品ばかりでした。

卓越したデッサン力と三次元的な頭脳の持ち主なんだろうな~。

 

次は金谷美帆さんのビーズアート

◆ビーズで織り上げた1枚

◆これで680000粒使用!

◆設計図にしたがってつなぐそうです

これはもう気が遠くなる作業です。最高で2063738粒(ギネス認定)の作品もあるようですが、もし途中で修正したくなったらどうするんだろう???

 

続いては島木英文さんのミニチュアハウス

◆実在する建物の1/20サイズ 芸が細かい!

建物だけでなくちょっとしたモノにも神経の行き届いた作品ばかりです。

◆奥に向かって上下左右が台形になっていて遠近感を表現

◆入口からのぞくと!

しかし太田隆司さんもそうですが、この遠近感の表現、いったい頭の中はどうなっているのか?

 

4人目はSouMaさんの立体切り絵アート

◆1枚の紙から切り出した作品

すべて1枚の紙からカッターで切りだされた、と言われてもにわかには信じがたいテクニックです。

どう考えても0.1~2ミリ単位での作業。本当にもう人間技じゃないです、これ。

◆なんと京都の地図!驚愕です。

 

それぞれの作家のみなさんに圧倒されつつ、HIROKOさんのポップアップアートへ。

 ◆こんなふうに開いていって

◆完成!

相当綿密な設計をされるとのことですが、種明かしされて全部見ているのにいまだに仕組みがよくわかりません(笑)

◆こちらは作者自身による動画です

紙ですからちょっとした湿気でもズレや誤差が出るはずですし強度も必要。どういう計算をしているのでしょう?

 

いよいよ最後は山田卓司さんのジオラマアート

◆この表情、この場面 

山田さんは「TVチャンピオン」に出場されていた時から好きで見ていたのですが、本当に場面と表情がいい。

世代が同じせいか「そうそう、こういうのあった」と思わずうなずいてしまいます。

 ◆懐かしさを感じさせる一場面

もちろんこういう作品ばかりではなく、制作中の自分と家族のひとコマミリタリーもの、映画「エイリアン」などジャンルは幅広く、造形力も素晴らしい。もっとたくさん見てみたくなりました。

 

6人の作家の部屋を3時間近く見続けてようやく百段階段を上りつめましたが、たっぷり楽しめて満足感いっぱい。まさしく「神の手」のとおり、超絶技巧を堪能できました。

百聞は一見に如かず。ぜひ間近で実物をごらんください!

 

◆雅叙園の廊下もアート

(2015.06.14)

 


ベン・シャーン展

2015-06-10 | アート&クラフト

茨城県近代美術館で開催中の「ベンシャーン展」に行ってきました。近代美術館は一昨年の「ワイエス展」以来です。

 

◆茨城県近代美術館

 

ベン・シャーンを見るのは昔池袋パルコで行われた展覧会から30年ぶり(!)

和田誠さん山藤章二さんなど著名なイラストレーターの方たちも多くの影響を受けたそうですが、自分も若いころベン・シャーンにはまって、作品を模写したり「ベン・シャーン風」にイラストを描いたりしていました。今回久しぶりの展覧会でしたのでたいへん楽しみでした。

会場に入ってまず新鮮だったのは、ベン・シャーンがあの独自のスタイルを作る前のドローイング(素描)作品。

◆女の顔と手

いや~、こりゃうまい。一瞬ワイエスかと思いました。他にも10点ほど素描が展示されていましたがけっこう緻密な描き込みでデッサン力抜群。やっぱり美術でも音楽でも書道でも「まず基礎をがっちりマスターしてから自分のスタイルをつくる」ってことですね。「型があるから型破り、型がなければ形なし」って名言(どなたかは忘れましたが)の通りです。

 

さて、これらの素描に始まり、水彩、油彩、テンペラ、インク、版画(リトグラフ)、ポスターなど幅広い作品が展示されていて、ベン・シャーン好きにはいずれもたまらないものばかりですが、やっぱりこの人の最大の魅力は「線」だとあらためて思いました。

◆一篇の詩の最初の言葉 (『マルテの手記』のための版画)

 ◆9人の笛を吹く笛吹き(絵本の下絵)

線一本一本が生きていて(楽しそうでもあり哀しそうでもあり)感情や温度まで伝わってくるというか。。。原画に近づいて見ると特にそう感じます。そしてその線で描いた「手」「顔」「人」が素晴らしい!

◆レーニン (Time紙表紙)

 ◆ガンディーと『不思議な少年』

このガンジー。。。ため息モノです。

◆扉Ⅰ(『マルテの手記』のための版画)

たったこれだけなのに。。。

◆チェロを弾くカザルス

「鳥の歌」や「無伴奏チェロ組曲」が聴こえてきそう。

 

そしてベン・シャーンといえばこの麦畑

◆麦の穂

 

昔、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を読んだ時、ベン・シャーンの麦の絵がずっと頭に浮かんでいました。

 

さて、ずっとモノクロの作品ばかりですが、水彩やグァッシュなどの作品もたくさんありました。そんな中からいくつか。

◆アルビン・フラー

この表情。ボカシが絶妙。

◆スポレート音楽祭 ポスター原画

色もですが、文字がとても効果的です。

◆ほんとうに偉大な人たちをわたしは忘れない

この白い鳩もベン・シャーンの作品によく登場しますね。

 

この他にも「ラッキードラゴン」(被爆した第五福竜丸)の連作やポスター、壁画、記事の挿絵や絵本の原画など全300点近くが展示されていて、ベン・シャーンの世界を堪能できました。

◆美術館のすぐ前は干波湖

 

茨城県近代美術館はエントランスやロビーが広々としていて快適です。しかも空いている 笑。駐車場料金も受付で返金してくれますので車での来場にも便利です。また、お隣は「県立文化センター」なので、コンサート&美術展という豪華コース?も可能です 笑。

(2015.06.10)

 


行進曲「美中の美」(J.P.スーザ)小編成版

2015-06-08 | 出版楽譜:マーチ(小編成版)

6月8日より「ミュージック・ベルズ」さんから発売となりました。

「雷神」「士官候補生」「忠誠」に続き、スーザの有名な「美中の美」を小編成吹奏楽用にアレンジしました。



「マーチ王」スーザの名曲の数々は今なお世界中で演奏され続けており、オリジナルからアンサンブルまで様々なスタイルによる優れた楽譜が出版されています。ただ楽器編成や人数、初級者の技術などが十分でない中学高校バンドなどにとっては、音域(クラリネットが高い、逆にサクソフォンが低い、など)やバランスなどで変更や追加調整が必要な場面が多いように思います(私の経験では)。そこで20人程度の小編成バンドでもできるだけ無理なく演奏ができ、いろいろな場面で活用できる楽譜をと考えました。

「美中の美」は、スーザが毎年出演していたボストンの見本市で巡り合った美しい女性の印象をもとに作曲されたというマーチで、歌心にあふれた流麗なメロディーがたいへん心地よく、人気の高い曲です。体育祭や入学式などの学校行事、コンサートのオープニング、合奏の基礎練習、新入部員と上級生による合同演奏などでぜひご利用ください。難易度的には「士官候補生」「雷神」より若干高めですが、中学生で十分演奏できます。


・調性は原調のまま(E♭/A♭)。
・少人数でも演奏できるようパート内のポジションは最小限とし、Cla、Trp、Hrn、Trbは各2、他は1またオプションとしました。(編成表参照)
・バスクラリネットとバリトンサックスはどちらか一方あるいは無しでも演奏可能です。
・どこのパートもできるだけ無理のない基本の音域で演奏できるようにしました。
・初心者には難しいと思われる音形や音域、アーティキュレーションなどは豆符、( )、点線などオプションで指示してありますので、メンバーの技術や編成に応じて選択してください。

 ・演奏時間:約3分

楽器編成、音源などについては上記販売ページでご確認ください。

お知らせ
この楽譜がサクソフォーン奏者の須川展也氏が指揮する長野芸術館専属のプロ吹奏楽団「NAGANO12」の演奏会のメインプログラムに採用され、演奏されました!(2023年10月12日)
https://www.nagano-arts.or.jp/events/2746.html