くぬぎ橋の緊急調査
高槻成紀・加藤嘉六・桜井秀雄
鈴木さんがお仕事で野菜などを運んでいる武蔵野市の桜堤調理場の前の樹木に赤テープが巻かれているという報告がありました。それで本日(9月15日)、高槻と加藤さん、桜井さんで調査をしました。くぬぎ橋からその下流の境橋までの約200メートルの範囲の樹木を調べました。この範囲では南側(右岸)が武蔵野市、北岸(左岸)が西東京市になります。
調査したくぬぎ橋と境橋の範囲
まだ集計していませんが、一言で言えば、ほぼすべての樹木に赤テープが巻かれていました。この場所は私たちの詳細な調査で、ヒメニラ(絶滅危惧II類)やアズマイチゲ(絶滅危惧I類)などもあることがわかっている場所です。
ここに巻尺を張り、樹木の位置、樹種、直径、テープの有無、生育地が法面の「肩」であるか、斜面、平坦地であるかを記録しました。
巻尺を張る加藤さん
ここはかつて伐採されたようで、今は肩部に直径20程度の木が育ち、ヒガンバナなどが咲いていました。
玉川上水南側(右岸)の樹林。ヒガンバナが見られる。
歩道には点々とサクラの木が植えられており、そんそ外側には小金井のように桜の列はなく、小平のように樹林帯はありません。すでに樹林帯が失われた部分もあり、そこではススキ、メヒシバ、セイタカアワダチソウなどが生えており、こういう場所ではアズマイチゲやヒメニラなどは育つことができず、消滅するのは確実です。
樹林がなく、草原的な群落が広がる場所
調査をしていたら「高槻せんせーい!」という声が聞こえたので、見ると桜堤調理場に荷物を届けにきた鈴木さんでした。後で合流したので、話を聞くと、長いことここで仕事をしているが数年前にはいいケヤキなどがあったが、切られてしまい、やっと少し木が育ってきたということでした。その緑陰に挟まれた玉川上水は緑のアーケードになっていましたが、この樹林帯が伐採されたらこの景色は失われ、野鳥なども住めなくなると思われます。
もみじ橋から上流を見る
小金井市は桜のために他の雑木は皆伐という方針ですが、武蔵野市は緑を大切にする方針だと聞いています。そうであれば、このようなせっかく緑陰を作れるまでに育った若い木の全てを伐採するという望ましくない管理をすれば、後悔が残るだけだと思います。伐採作業をする前に、少なくとも、多くの市民に意見を聞くべきです。その時、今の樹林がなくなれば、夏の気温が50度近くにもなるような灼熱の環境になること、そうなれば散歩を楽しんだり、自然を眺めるのを楽しみにする人の喜びを奪うことになることを熟慮して欲しいと思います。
私たちはこのデータをまとめて武蔵野市の議員さんになんとか皆伐を回避するよう訴えてもらいたいと思っています。こちら
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ヒメニラ
ヒガンバナ科のネギなどの仲間です。とても小さく、草丈が10 cmくらいで花は5 mmほどしかありませんから、他の草の中にあるとよく見ないと見落としてしまうほどです。
ヒメニラ(加藤撮影)、ヒメニラの花(高槻撮影)いずれも2020年3月中旬
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