玉川上水みどりといきもの会議

小金井の玉川上水には林の鳥は住みにくい – 2021年1月の鳥類調査

2021.1.19

小金井の玉川上水には林の鳥は住みにくい – 2021年1月の鳥類調査

 

大石征夫、大塚惠子、大出水幹男、菊地香帆、鈴木浩克、高槻成紀

 

 玉川上水は東京を流れる貴重な緑地だが、植生の管理や元々の樹林の状態などにより、場所によって植生が大きく違う。この調査は玉川上水の鳥類がこのような場所ごとに違う植生によってどう違うかを明らかにすることを目的とした。選んだ4カ所は東から、杉並区、三鷹市、小金井市、小平市である。杉並は最も都心寄りであり、上水の緑地の幅は狭いが、状態の良い林も残っている。三鷹には井の頭公園があり野鳥保護の林もあるため、緑地の幅が最も広く、常緑樹林もある。小金井はサクラだけを残す管理をしているため、開けた場所が多い。小平には雑木林のような良い状態の林が残されており、緑地の幅も広い。

 

方法

 調査は2021年1月16日または17日に行い、杉並は大塚、三鷹は鈴木と菊地(ここだけ16日)、小金井は鈴木と大石、小平は大出水と高槻が担当した。それぞれの場所で1.6 kmの調査範囲をとってゆっくり歩きながら発見した鳥類の種類と羽数を記録した。調査時間は1時間前後とした。

 

結果

 4カ所で25種、581羽が記録された(表1)。表1を見ると杉並ではヒヨドリ とメジロ、三鷹ではツグミ、ヒヨドリ、シジュウカラ、カワラヒワ、小金井ではムクドリ、ヒヨドリ、ドバト、小平ではヒヨドリ、シジュウカラ、ハシブトガラスが多かった。

 

表1 4カ所での各種の発見羽数

 そこで、水鳥のカルガモ、アオサギをのぞいて、林にすむ鳥類と林の外にもいる鳥類にわけ、後者を「オープンの鳥」として4カ所を比較した(図1)。これを見ると、林の鳥は、杉並ではメジロが多く、三鷹ではシジュウカラとメジロが多く、小平ではシジュウカラをはじめとするカラ類とキジバト、メジロが多かったが、小金井でやや多かったのがキジバトだけだった(図1a)。

図1a. 4カ所で記録された林の鳥類の羽数

 

 これに対して「オープンの鳥」はヒヨドリは4カ所で拮抗したものの、そのほかは小金井で多く、特にムクドリとドバトが多かった(図1b)。

図1b. 4カ所で記録されたオープンな場所にもいる鳥類の羽数

 

 これを見て明らかなように小金井ではオープンな鳥がはるかに多いのに対して、そのほかの3カ所では林の鳥が多く(図2a)、その割合は小金井が10.8%と特に小さかった(図2b)。

図2a. 4カ所で発見された林の鳥類とオープンにもいる鳥類の合計羽数

図2b. 4カ所での林の鳥の割合(%)

 

 4カ所の鳥類群集の多様性をシャノン・ウィーナーの多様度指数(下記)で比較した(図3)。この指数は種数が群集内で特定の種が多い場合は小さくなり、各種の数が同程度であれば大きくなる。指数は杉並、三鷹、小平では3程度であったが、小金井だけは2.1に過ぎなかった。

図3. 玉川上水4カ所の鳥類群集の多様度指数

 

 小金井では桜の木が10 mほどの間隔で植えられ、それ以外の樹木は徹底的に伐採されている。このため林にすむ鳥類が生息しにくい環境になっており、出現種数も9種と4カ所中最低であった。そして、その内訳も、ムクドリ、ヒヨドリ、ドバトなど、オープンな場所にいる鳥類に強く偏っており、多様度は低かった。これに対して他の3カ所ではコナラ、クヌギ、イヌシデなどの落葉樹が豊富であり、しかもその下にムラサキシキブ、マユミ、ネズミモチなどの低木も豊富である。三鷹の一部には井の頭公園があり、常緑広葉樹も多い。このため、三鷹では種数(19種)も多様度も大きかった。このように樹林のあり方は少なくとも冬の鳥類の豊富さと多様性に大きい影響を与えていることがはっきりと示された。

今後、桜の季節、新緑の季節、渡り鳥が来る季節、去る季節などにも調査をしてこのことをはっきり示したい。

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Shannon-Wienerの多様度指数H’

H’ = -Σpi×log2 Pi

Piは種iの占有率(全体を1とした割合。例えば20%なら0.2)

 

付図1. 玉川上水の代表的な鳥類。上段:林の鳥、下段:オープンの鳥(ブログ「玉川上水花マップ」より こちら

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