ケイシロウとトークアバウト

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1.2.6(イチニイロク)goo編

2021-10-19 16:31:00 | 日記




風が湖面に強く吹き付けると、
水面が動く。
人はこれをさざなみがたったと言う。

平成12年4月15日。
とある中学の生徒会室で、
役員生徒がダベっていた。
なんでも、
1年生の新聞部が取材に来るという。
役員たちは、
どんな自慢話をカマすかと相談していた。

しばらくして、
1年生の新聞部所属のヨウイチが入ってきた。
生徒会長は快くむかえ、
取材は何でも受けると言った。
ヨウイチは何も答えず、
静かに生徒会室を見回した。
そして、
「昨年度の生徒会会計報告書を見せてください」と言った。
役員たちはガク(愕)😱が入ったけど、
取材は何でも受けると言った手前、
しぶしぶ、
会計報告書を出した。

ヨウイチは、
帳簿をしげしげと見つめ、
「5000円のL型三角定規とか生徒会室に不自然ですね。どこにあるんですか?」と問うた。
生徒会副会長が、
「ここには無いよ」と返答すると、
ヨウイチは、
「ここにいるから買ったんでしょう?ナンデ無いんですか?」と問い直した。
役員たちは沈黙した。

その気まずい沈黙を不自然な笑いで破った生徒会長が、
「実はさ、三角定規は買ってなかったんだよ」と答えた。
ヨウイチは、
悲しげに生徒会長を見つめ、
「生徒会長。いつからあなたは堕落したんですか?」と言った。
再び役員たちは沈黙した。
ヨウイチは冷ややかに、
「失礼します」と言って、
退出した。

ヨウイチは独自で、
L型三角定規の調査を開始した。

その間、
生徒会長の親が、
ヨウイチの家に何度もインネンを付けに来た。
また、
ヨウイチ宛の不幸の手紙が、
何通も来た。
更には、
深夜に、
宇宙人と名乗る人物から、
三角定規の調査を諦めないと金星に拉致すると言う脅迫電話📞まで受けた。

ヨウイチは落ち込み、
食事も取らずに、
自室にこもっていた。
そこに母親が来たので、
「風が吹いたら誰が止めるの❓」と言った。
母親はやさしく、
「あなたが真実だと確信して行うことが風なのよ」と力付けた。

そんなヨウイチを、
他の生徒たちが応援し出し、
その親まで、
ヨウイチの味方をした。
そしてついに、
生徒会役員たちが、
教師に隠れてうまい棒を持ち込み食べてたことが日常茶飯事やったという、
タレコミがあった。
ヨウイチの足は、
学校周辺のコンビニへと向かうこととなった。
そして、
各コンビニ店長に理由を話し、
防犯ビデオテープの記録を見せてもらい、
レジ上での記録を照合させた。

真実----

生徒会役員たちは、
生徒会の資金で、
うまい棒を毎日のように買い食いして、
挙げ句、
不自然な、
L型三角定規購入という帳簿上でのごまかしをした。

こうして、
一連のL型三角定規購入決済の謎は暴かれた。
ヨウイチのクラス委員長の男子生徒は喜んで、
ヨウイチに、
「ヨウイチ君ありがとう😊君の為に唱題するね」と言って、
数珠を取り出したが、
ヨウイチは、
「ぼく、浄土真宗だから」と、
丁寧に断った。

そしてその日に、
生徒会役員たちは、
校長室に呼ばれた。
役員たちは謝罪して、
うまい棒の袋で作ったL型三角定規を、
校長の机に置いた。
時は、
5月31日やった。

翌6月1日(平成12年6月1日)、
すなわち、
1.2.6(イチニイロク)。

この日、
臨時生徒会が開かれ、
校長が、
全生徒に謝罪した。
校門の校旗は反旗として掲げられた。
不正の帳は消えて、
真実の陽射しが、
校内を照らした。

多くの生徒たちは、
なにか新しいことが起こると期待したが、
なにも起こることなく、
平凡で退屈な日々が過ぎ、
やがて、
彼らは、
卒業していった。
が、
1.2.6(イチニイロク)を忘れるなという掛け声掛け合い、
大人になっていった。

1.2.6(イチニイロク)の出来事。
それは、
真実を知りたいという風が吹き起こした、
さざなみやった。