第４章 手術 １３．

１３．
　2005年4月7日。入院６日目。術後３日目。
　朝5時から採血で起こされる。昨夜はあまり寝られなかったというのに、なんでこんなに早くから？！　点滴がなくなったというのに、２時間ごとのトイレ通いが昼も夜も続いているのだった。それに加え、昨日向かいの個室に入ってきたおじさんがお行儀が悪く、消灯時刻を守らないばかりか、イヤホンで聞かなければいけないテレビを平気で大音量でお聞きになるので、寝たくても寝つけなかったのだ。看護師にやたらに馴れ馴れしい感じで話しかけるのも、印象悪い。オッサン、あなたの顔が見たいですな！

　また、管が１本ずつ減って楽になるにつれ、それに替わって別のことが気になり始めた。人間贅沢にできているものだ。患部が巨大なバンドエイドのような絆創膏に覆われているのだが、肌がだんだんつっぱるわ、痒くなるわで不快感が増してきたのだ。吸湿性がないのも心地悪くてうっとうしい。

　8：30　胸部と腹部のレントゲン撮影。こんなに度々レントゲンを浴びて大丈夫なの？

　9：00　洗濯物をコインランドリーに放り込むと、一人なので暇を持て余す。リハビリの後、また友人に便りを書いたり、歌を詠んだり…。セカンドオピニオンに応えてくれたN先生にも絵葉書を認めた。

　♪2407　私の病室良いナンバー　「西がラッキー７」なの！
　♪元気な人　しょんぼりの人　いろいろね　患者それぞれ抱えてる
　　んだ…♪
　♪チューリップ　原産はトルコなんだとか　名もトルコ語で「ターバン」
　　だって！♪
　♪留守の間庭はどうなっているのだろう？　ムスカリ・スイセン・
　　パンジー・ビオラ♪

　暇に任せてテレビを見ていると、ローマ法王が亡くなったと報じられている。次期法王を１２０名の枢機卿の中から選ぶという。「コンクラーベ」といって、上位２名が過半数を獲得するまで選挙が続けられるとのこと、「根くらべ」みたいだなと不謹慎ながら笑ってしまった。今夜も向かいのオッサンと根くらべかなぁ。