岩田拓郎のほっとTIME

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中学校教科書採択について

2005-03-06 00:29:02 | 安来市議会
三月議会一般質問原稿②です
中学校教科用図書採択にあたって
次に本年4月から 開始される中学校用教科用図書採択に関して質問します。
はじめに、今回の質問は決して教育について政治的な介入をしようということでなく、むしろ不当な圧力を避けてほしいとの立場であることを断っておきます。
この中学校用教科用図書採択選定作業にあたっては、
「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。」という教育基本法の目的に従って、アイデンティテイ(自分が生まれ育った地域や、文化、歴史についての価値観)を重視し、学習指導要領に示す目標に最もかなう教科書はどれかとの視点で、採択を誠実に実施していただきたいと思っています。

以前のことではありますが民宿でお世話になった、イギリスのミセスデンマンさんや、我が家に民宿にやってきたアメリカのジャスティン君やバングラディッシュのサリムさん、仕事でお世話になった中国や韓国の会社の人々、その他フランス、西ドイツ、スイス、オランダ、ソビエトの人々、など私のつたない諸外国の人々との交流の経験から言っても総じて諸外国の人々は自分が生まれ育った国や郷土の自然環境、社会環境、歴史や文化、とりわけ民族の伝統文化などアイデンティテイを大切にし、誇りを持って生活していました。
それに引き替え私たち日本人は顔の見えない日本人、自信や誇りを失った日本人と評されています。
 戦後、アメリカ社会を第一と考えて追随してきた我が国は、世界中が目を見張るほどの経済発展をとげた一方で、人心の荒廃と精神的な空洞化においても世界に注目され、中国の首相に、近い将来「かつて日本という国があった」と言う存在になるであろうといわせるまでになり下がってしまいました。
今の日本の若者は何のために勉強するのか、何のために働くのかが分からない人が多いといわれています。
中国や韓国のテレビでは現代日本の若者の風俗が紹介されていますが、それと対照的な家族や、国家といった拠り所の為にしっかりした目的意識を持った中国や韓国の若者たちから見れば確かに日本の同世代にはまったく負ける気はしないといったところが本音でありましょう。
留学生や縫製工場などに研修に来ている中国や韓国の人たちの学ぶ姿勢や働く意欲は、現代の日本人が失った姿を見る思いがします。

こうした違いはどこから来るのでしょうか。確かに経済や福祉の発展と共に生活の不安が少なくなり、目的・目標・価値観が違ってきたことに第一の要因があることは否めません。しかし、もう一点見逃せないのが教育の現場での郷土愛や愛国心といった自分が生まれ育った国や郷土の自然環境、社会環境、歴史や文化、とりわけ民族の伝統文化などアイデンティテイを大切にする教育の欠如にあるのではないでしょうか。
国が違えば自ずと自然環境、社会環境、歴史や文化が違い、又考え方も違って当然であります。コミュニケーションは一方的に主張するのではなく、又、迎合するのでもなく、お互いに自分が何者であるかを主張し、その違いを認識するところから始まるものだと思います。そして、この違いこそが異文化の魅力であり、そこに感動が生まれるのであります。そしてその刹那において、その環境の中での生き様においてこそ、お互いの信頼と尊敬が生まれるのであります。決して一方的な主張や、迎合において信頼や尊敬は生まれ得ないのであります。

さて、冒頭申しましたように、今年は4年に一度の中学校で使用する教科書採択の年であります。この3月には文部省の検定結果が公表されました。前回13年の採択過程で新規に検定に合格した歴史教科書をめぐって国論を2分する大論争がありました。
このことの発端は昭和57年の高校歴史教科書検定の際、文部省が「中華侵略」の記述を「進出」に書き換えさせた、とある新聞が報道したことにあります。このとき全てのマスコミがこのことを取り上げ、中国、韓国から厳重な抗議がまいったのであります。
この事件処理の為、宮沢官房長官談話が発表されました。
要約すると
・ 韓国に対しては「過去の関係は遺憾であって深く反省する云々」
・ 中国に対しては「戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことの責任を痛感し深く反省する云々」
・ 更に「学校教育教科書の検定に当たっても、当然尊重し批判に耳を傾け政府の責任において是正する云々」
そして、図書検定基準に近隣諸国条項の項が追加されたのであります。
曰く、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」であります。
この後、昭和61年、検定に合格した「新編日本史」は数次にわたって修正させら
れています。
平成8年、中学校歴史教科書7社全てに「従軍慰安婦」の記述が登場しました。
平成9年、国民の間で歴史教科書に関する疑問が高まる中で、国会では内閣外交審議室長が「慰安婦強制連行」はないと答弁しました。
平成11年、中学校の歴史教科書から「従軍慰安婦」の記述が消滅したのであります。
平成13年、町村文部大臣は、教科書誤報事件(昭和57年の侵略、進出記事のこと)はマスコミの誤報であったと公式発言をしたのでありました。
まさに、教育という主権が外国からの圧力により侵害された事実であり。自虐的記述が登場した経緯であり、ここに教科書の検定基準が紆余曲折してきた歴史があります。

平成10年の教育課程審議会の答申において
中学校社会科、歴史的分野において、「我が国の歴史に対する理解と愛情を深める」という指摘がなされました。
そして、平成10年度版学習指導要領、中学校社会科、歴史的分野では平成元年版ではなかった我が国の歴史に対する愛情を深めるという記述が追加されたのであります。
又、平成14年8月30日付けの文部科学省初等中等教育局長より各都道府県教育長宛文書「教科書制度の改善について」「教科用図書検定審議会の検討のまとめに」基づいた通知が出されています。
内容は
1. 調査研究の充実に向けた条件整備について
① 充分な調査研究期間の確保
② 調査研究のための資料の充実
③ 保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実
2. 採択手続きの改善について
① 市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化
② 採択地区の適正規模化
③ 静謐な採択環境の確保
④ 開かれた採択の一層の推進
3. その他
保護者や地域住民の教科書に対する関心に応えるとともに、教員による教材研究や児童生徒による学習の深化・発展に資する観点から、各学校の図書館や公立図書館に教材を整備するよう努めること。
であります。

こうした背景を認識した上でうかがいますが。今回の教科書用図書採択は、400冊に及ぶといわれる図書の中からの大変な選択作業であるとおもわれますが。

1点目の質問は
今まで松江地区では松江市、安来市、八束郡、能義郡の2市10町村の教育委員会での協議会で調査・選定・採択されていたものが、合併により2市1町となりますが果たして充分な調査・選定・採択の作業が出来るものでしょうか。新たな枠組みについてのお考えがあるか、又、どのようにして調査・選定・採択されるかを伺います。

2点目の質問は千差万別の図書の中からどのような視点、観点、基準で選定されるかについて伺います。
3点目の質問は教科書展示会についていつどこで行われるのかを伺います。

さて、前段で日本の 憂えるべき現状を述べましたが。
1922年日本を訪れたアルバート・アインシュタイ博士が訪日した時の有名なメッセージがあります。

 世界の未来は進むだけ進み、其の間幾度か争いは繰り返され、最後の戦いに疲れ果てる時が来る。
其の間、人類は真の平和を求めて世界的な盟主をあげねばならない。
この世界の盟主たらん者は、武力や金力ではなくあらゆる国の歴史を抜き超えた、最も古く又、最も尊い家柄でなくてはならない。
世界の文化はアジアに始まってアジアに帰る。それはアジアの高峰日本に立ち戻らねばならぬ。
我々は神に感謝する、我々に日本という尊い国を造っておいてくれたことを。

と日本について延べています。歴史を振り返ってこうした見方で日本を見てくれた人もいます。正しい歴史認識の下で、再び日本が自信を取り戻し、自分が何者であるかを主張し、世界で信頼され尊敬される日が来ることを念じて私の質問とさせていただきます。


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