日常と考えるヒント < By Taki Katayama >

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米国の大統領選挙、トランプ現象について思うこと

2016-03-28 | 述懐
米国の大統領候補者選びが進んできた。 民主党は、予想通り、クリントン女史が優位だが、サンダース上院銀員が若者の心を捉え予想以上に健闘している。

共和党は、トランプ氏が今のところ最も優位な位置にいる。本命候補であったジェブ・ブッシュ氏が初戦から苦しみ、早々撤退している。共和党主流派のルビオ氏も地元フロリダ州の党員選挙でトランプ氏に敗れ、撤退を表明している。



当初、トランプ氏は、当初走るが、最後に息切れすると言う前評判であったにも拘わらず、善戦、いや善戦どころか勝利を確実にしてきている。何故、トランプ氏がここまで優位に選挙戦を戦っているのだろうか。

トランプ氏の人気は、トランプの右派ポピュリズムを狙ったところではないかと指摘する人もいる。トランプ支持者は、思想傾向では右も左もなく、高卒以下の白人が主体のようだ。トランプは、社会福祉を維持し、雇用を海外に流出させる企業を罰し、ヘッジファンドに重税を課すと誓って、経済苦境にある下層中産階級の喝采を浴びている。

共和党主流派がトランプに太刀打ちできないのは、白人労働者階級の共和党支持者らの期待にほとんど応えてきていないからだと分析している。



三浦瑠麗女史は、トランプ外交を以下4つの視点から予測しているが、もし、この様な外交を進めるとしたら国際秩序が大きく壊される恐れがあり危険だ。タブーへの挑戦は、確かに、閉塞感のあるテロ問題、シリア問題を解決してくれる期待を抱かせてくれるが、国益だけを優先する外交だと思われ、そこまでの期待は抱かない方が良かろう。

1.第一は、米国の国益を短期的・直接的に定義する発想、
米国が国際的な制度作りを主導することが米国自身の長期的な国益につながる発想から、米大企業の経営者が四半期ごとの成果をウォールストリートのアナリスト達に求められているのと同じ様な米国の貿易赤字をいくら減らし、防衛費をいくら節約できたかによって評価される発想。
2.孤立主義、
イラクや中東のゴタゴタに巻き込まれるくらいであれば、米国内のインフラ整備や公衆衛生を優先するべきであるとし、トランプ外交は、オバマ外交の中途半端さを塗り替え、「普通の大国」としての外交を目指す。
3.タブーへの挑戦する姿勢、
米国の既存の条約体系はテロの脅威を正面から見据えたものとなっていない。北大西洋条約機構(=NATO)についても、日米安全保障条約についても、冷戦期のソ連の脅威への対処を想定している。トランプ氏は、これまでの経緯論に縛られたごまかしを白日の下に晒し、このような事態を合理的に解決してくれるのではないかと言う期待。
4.属人的なヒロイズム外交、
自らのヒロイズムを貫徹するために、中国と、あるいは北朝鮮と筋悪の合意を取り仕切ってしまう事態も想定される。北京に乗り込んだ「トランプ大統領」が、中国と「手打ち」をしてしまう事態もありうる。

ギュスターヴ・ル・ボン(1841〜1931)が群衆について以下の様に語っていた。
1.群衆は、感染する
2.群衆は、過激に走りやすい
3.群衆は、衝動的である
4.群衆は、暗示に弱い
5.群衆は、時に高い徳性を示す
6.群衆は、反復・断言に弱い
7.群衆は、同一化する
8.群衆は、服従する
9.誰しも群衆化する

もし、トランプ氏が、米国の病巣を認識した上で、この群衆心理を上手く利用して、大統領選挙に臨んでいたとすると、抜き差しならぬ大戦略家でもある。ただ、彼の今迄の言動、スピーチの表現内容からして、そこまで深く考えているとは思えず、偶々、結果的に、そうなっているのかも知れない。

米国の大統領選ではあるが、誰が大統領になるかで国際政治が大きく変わり、日本にも大きな影響が出てくる。米国が大衆化、群衆化した選択をするのではなく、合理的な選択を望みたく、そうしてくれるものと期待している。

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