日常と考えるヒント < By Taki Katayama >

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新しい年のゴーン・ショック

2020-02-03 | 論及
2020年、新しい年が始まった。毎年、新聞を開き新年に想いを巡らすのを楽しみにしている。今年は、趣きがチョット異なっていた。日経コラムには、新年に相応しくない内容が掲載されていた。

こうだ、

日本経済新聞、2020年1月1日付、1面コラム春/秋




コラムニストも新年に相応しくないと分かって掲載していたが、新年にインパクトを与えた元日産会長ゴーン被告の遁術を使った逃亡劇だ。ゴーン問題に関しては、以前、ここで取り上げたが、またしても話題を提供してくれている。




今回の逃亡劇は、いくつも問題を投げかけており、そう簡単に語れない事件だ。
有価証券法違反の問題に加え、日産自動車は、業務に関係ない目的で390万ユーロ(約4億7800万円)を不正に使ったこと明らかにしており、また2009年から18年にかけ、レバノンの学校や非営利団体など約10機関に対し、ルノー日産合弁会社が元会長個人の代わりに約237万ユーロ(約2億9千万円)を寄付したことも明らかにしている。家族同伴など個人的な渡航の社有ジェット代510万ユーロ(約6億2500万円)も合弁会社に負担させていたらしい。



さらに、1月8日には逃亡先のベイルートで2時間半近くに及ぶ長丁場の記者会見を開き、その後も手記出版やハリウッド映画化などを行うような情報が飛び込んできている。
ゴーン被告は、会見後も各国メディアの取材に応じ日本への批判を強めている。フランスのメディアに対しては「私のような罠にかかるな。日本にはもう誰も行くな」と発言しているようだ。また、CNNビジネスは、専門家の言葉を引用し、今回のケースが「日本のブランドは多大な損害を受けるだろう」と報じている。外国人幹部の採用は、日本企業にとっても外国人にとっても今後はリスクになるだろうと指摘している。

そもそも、当初の逮捕は、2011年から2015年の5年間で98億円の報酬を得ていたにもかかわらず、48億円の報酬と過少申告をしたことによる有価証券報告書の虚偽記載であった。加えて、多額の公私混同や不正があった疑いで取り調べのため逮捕されたのであった。
この裏には、以前記載した理由も背景にありそうではあるが、ゴーン被疑者の法令違反は明らかに存在しており、これは、疑いの無い事実のようであり、今回の遁術を使った逃走劇は、日本の法令違反であり大きな問題である。





ゴーン被告の勾留は計130日に及び、会見で「独房に入れられ、長い間身柄を拘束された」と不当性を訴えているが、日本での勾留は、その必要性を裁判所が厳正に判断しており、批判は当たらない。
今回の会見では、日本のメディアの大半が参加を拒否された。意に沿わないメディアを意図的に排除したとすれば、ご都合主義以外の何ものでもない。注目されていた逃亡の経緯について、ゴーン被告は詳細を語らなかったが、今後、出国手続きを厳格化するなどの対策を講じる必要がある。

ゴーン被告は今後、自らの嫌疑を晴らす証拠を出すとの考えを示したが、主張したいことがあるのなら、日本に戻り、公開の法廷で正々堂々と語るべきだ。裁判で真相を解明するためにも、日本政府はレバノン政府に対し、身柄の引き渡しを求める働きかけを続けねばならない。
さもなくば、2020年の元日からスッキリしない1年が続くことになる。オリンピックも楽しめない。





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