郷土の歴史と古城巡り

讃岐 丸亀城をゆく

(2019.3.28~2019.10.31)




   今回は、讃岐富士の近くにある丸亀城にやってきた。四国を始めて訪れたのは小学校の修学旅行で金比羅さん行きであった。そのとき琴平に行く途中にお伽話に出てくるような山をいくつか見た記憶があり、きっと讃岐富士(飯野山)もそのとき見たのだろう。ご飯を盛ったような形のため、飯(いい)を使う山は全国に無数にある。讃岐には富士を称する均整の取れた山が七つあり、讃岐七富士として昔から親しまれている。これらは富士山のような火山ではなく、海の隆起によってできたのだという。




▲天守 三重三層


         




▲大手門と天守        
 



 




丸亀城のこと  香川県丸亀市一番丁

 丸亀平野の北端の亀山(標高66m)にあって、北側の大手門前の内堀周辺から山頂を望めば数段の高石垣群の上に天守が聳え立つのがよく見える。12の現存天守の中の三重三層では最も小さなものであるが、天守を取り巻く高石垣群の頂点にあって見ごたえがある。この城は螺旋状の築城法を用いて、扇勾配の石垣などに特色がある。北山麓には大手一の門、ニの門、長屋等が残る。外堀はほとんど埋め立てられているが、水をたたえた内堀(東西500m、南北約450mのほぼ方形)が城を取り巻いている。



 
▲丸亀城絵図 江戸中期~後期 国立国会図書館蔵 






香川県の12郡の時代

 丸亀市には明治7年(1874)より丸亀営所(兵所)が創設され、明治29年(1896)には城内に丸亀連隊区司令部が置かれるなど軍都として栄えてきたが、終戦は運良く戦災を免れている。



▲香川県の12の郡の時代



うちわと金比羅参り

 金比羅大権現の信仰が盛んになった江戸中期には、讃岐の象頭山(ぞうずさん)に全国から参詣者が訪れ,四国では金比羅道が整備された。天明年間(1781~89)にうちわが江戸屋敷の下級武士の内職として作られはじめ、金比羅みやげとして販売され参詣の活況の中で生産は急増した。安政年間(1854~60)の生産は年間80万本に達したとある。『西讃府志』


塩飽(しわく)水軍

 丸亀城の北方に位置する塩飽諸島は古くからの海賊(水軍)の島・拠点であった。9世紀には藤原純友の乱や源平の争乱では彼らの協力の有無が戦況を左右した。
 室町期には大内氏に属し勘合船に乗り込み、一方で倭寇として朝鮮や明沿岸に進出し、膨大な利益を得た。幕府の実権が細川氏から三好氏に移り、それを機に三好の水軍として戦列に加わり、三好氏が織田の軍門に下ると、塩飽水軍は織田の水軍として活躍している。豊臣・徳川時代を通じて塩飽の島民には塩飽七島等の所有と自治権が保障され、特権的地位が与えられた。

 


▲北からの鳥瞰  (by google earth)



アクセス


大手一の門、二の門をくぐり、左に登って行くと迷わず三の丸二の丸と続き、本丸に到る。
 


 
 

 南の搦め手から登ってみるとこれもりっぱなもので、それもそのはず山崎氏のときは大手道で、ここにあった大手門が京極氏のときに北側に移し替えられたという。




 ▲搦手道
 


 
▲讃岐富士が東方面に               
 



▲左上に瀬戸大橋が見える




▲天守の梁 
    

▲天守の瓦 京極氏の家紋 四つ目結び




雑 感

 曲線の整った美しい高石垣を見上げながら、天守に登るとその景色は360度のパノラマの世界で、北麓には瀬戸内、東に讃岐富士が見える格好の場所であった。
 城の東を流れる土器川の河口にある丸亀港は、江戸時代中期以降全国からの金比羅参りの詣客であふれていたというが、讃岐名勝図会に描かれている舟の多さでその繁栄ぶりがわかる。
 


▲讃岐名勝図会  丸亀城下 川口



 金毘羅船々追風(おいて)に帆かけてシュラシュシュシュまわれば 四国は讃州 那珂の郡(なかのごおり)象頭山金毘羅大権現・・・と何時のころか唄っていたことを思い出した。

 藩主山崎氏が有名な生駒騒動によって改易されると、京極氏が播磨龍野藩から丸亀藩に入封した。そのとき飛領地として播磨国揖東郡の6村と揖西郡の22村で1万石をもらい受け、石高は龍野藩のときと同じ6万石であった。山崎氏が5万石であったので、不足分が旧領地内で補われたのだろう。

 播磨と讃岐については、『播磨国風土記』(奈良期)に讃岐国宇達(うえり)郡の飯神の妾(め)で飯盛の太刀自(いいもりのおおとじ)という神が、播磨の揖保の地に渡りきていたという。この神は丸亀市飯野町の飯神社の祭神イリヒヨリヒコ命であるといわれている。そんな古くから播磨と讃岐の繋がりがあったこともわかった。


 参考:『角川地名大辞典』
 
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