今日も、腹膜炎の手術があった。
83歳の高齢者。脳梗塞の既往もあり、血をさらさらにする薬をのんでいると
いう。発症は3日前。腹痛下痢があったが、今日、我慢できなくなり受診した。
近医にもかかり、胃腸炎として初日は帰宅させられたという。。。
腹を触る。。。
硬い。痛がる。反跳痛という、腹膜炎のときに起こる痛みもあるみたいだ。。。
しかし、CT検査をするとその原因がわからないという。。。
たいてい、この程度のひどさであれば、消化管に穿孔があっても、おかしくない
しかし、それを疑って行った精密検査である、CTではただの胃腸炎だと
いう。。。これはこまった。。。
この人の手術をするかしないかは僕の判断にゆだねられる。。。
誤診の危険もある。腹膜炎というだけで、根拠がないのだ。。。
患者と家族に正直に話す。
所見といままでの経緯からは、腹膜炎です。しかし、原因もわからないし、
証拠もないです。しかし、腹痛は確かだし、経験から言えば、腹膜炎の
可能性が高い。。。
手術をして、それを確認する必要がある。何もない場合もあるが、
それはそれで安心できる。 と。
患者も家族も今回は納得をいただき、手術に入った。
来院から3時間。うちの病院では異例の早さだろう。。。
予定手術も詰まっている。午後2時。。。
結果は、S状結腸の穿孔であった。膿性の腹水の貯留も認め、憩室が
確認できた。炎症で腫留様になってはいるが、癌ではないようだ。。。
S状結腸を部分切除して、人工肛門をつくる。
炎症のある手術では、縫合不全の確立が一段と高い。
ただでさえ、状態が悪い上に、術後の合併症がおきると、致命的だ。。。
さらに、腹腔内に膿瘍ができないように、予防的にドレーンを挿入し、
手術を終えた。洗浄に使った生理食塩水は7000mlだった。
いまのところ、血圧も保たれ、尿量も確保できている。
午後の2時に無理やり手術を入れてもらったが、こちらの準備があまければ、
6時といわれていた。。。それだったら、きっと今よりももっと、具合が悪かった
だろう。。。気まぐれな神に感謝である。。。
今日は、ゆっくりねれるといいな。