外科医(9年目)日記

自分さえ我慢すればいいと思って頑張ってきた。そんな僕には家族が出来た。患者も大切、家族も大切。わがままだろうか?

患者をみて、家族に喜ばれず。。。

2007年05月12日 18時19分20秒 | 日記

僕はいままで不自由ない生活をしてきたと思っている。

 仕事も充実しているし、生活も贅沢も少しばかりできる程度。。。

 

 患者には優しい先生とか、話を聞いてくれると喜ばれるほうだと自分では

 思う。そんなことに満足感を得ていたが、、、

 

 そういう医者になれと望んできた両親、親戚にいま、この現状をわかってもらえ

 ないジレンマがある。。。僕は故郷を離れて医者をしている。。。

 

 遠くの親戚より、、、なんてことばがまさにそのとおりだろう。。。

 遠くに医者の孫がいても何の役にも立たない。。。

 しかも、有名でもないので自慢もできない。。。

 

 そんな親不孝な、じいちゃん、ばあちゃんに恩を返せない自分が悲しい。。。

 ふとおもう、土曜の夕回診。。。


89歳大腸がん

2007年05月12日 10時59分52秒 | 日記

昨日は90歳前の大腸がんの認知症のばあちゃんの手術だった。

 以外に太っていて、癒着も激しく大変だった。2時間40分。右半結腸切除。

 大手術だった。。。

 

 癌は小さいが進行がん。ほっておけばそのうち腸がつまって腸閉塞に

 なるだろう。しかし、実際にそれがいつ起こるかはわからない。。。

 

 もしかすると、来月あたり、脳梗塞が再び起きて、ぽっくりと死んでしまうかも

 しれない。。。心臓の病気でなくなるかもしれない。。。

 

 手術したら脳梗塞、心筋梗塞になるかもしれない。

 今は症状がないのだ。何が本人にとって一番の幸せだろう。。。

 

 聞くところによると、本人はたいていは家にいるのだという。家の中で

 ご飯をだされれば食べ、普段は寝てるか、コタツでぼーとテレビを見ている。

 トイレと食事は自分で何とかできるという。。。

 

 そういった人に全身麻酔の手術。。。

 

 いまのところ経過は良好だ。。。

 ただ、手術中には原因不明の血圧低下があったり、術後、麻酔からさめない

 ということもあり、さすが超高齢者という気がしたが、、、

 

 不穏が予想されたので患者の家族にあらかじめついていてもらった。

 患者の家族は看護婦や病院スタッフが術後はずっとついていてくれると

 勘違いする人もいるが、そうではない。。。

 みんな同じ患者さんだ。一人に付きっ切りというわけにはいかない。

 聞き分けのない、認知症の患者の管理は看護婦1人を戦力外にさせる。

 それほど迷惑だ。。。

 

 なので、患者の協力が得られない部分は、万が一患者になにかあると

 患者の不利益なので、患者を一番に考える家族に負担を背負ってもらう。。。

 僕はこれが道理だと思う。。。

 

 患者の面倒が見れないのであれば、人を雇えばいい。。。

 病院は病気に関する部分でサポートはするが、患者はひとりひとり同じ

 権利を持っている。一人の患者のためにほかの患者さんの権利が侵される

 のはひどいと思う。。。

 

 大腸の手術は順調であれば退院まで術後10日だ。。。

 このままトラブルなく患者が治ってくれればよいと思う。。。