外科医(9年目)日記

自分さえ我慢すればいいと思って頑張ってきた。そんな僕には家族が出来た。患者も大切、家族も大切。わがままだろうか?

緊急手術

2008年08月27日 15時49分43秒 | 日記
これから緊急手術だ。
20代前半の急性腹症。

CTでは、消化管穿孔はあきらかではないが、腹水が著名にたまっていて、
所見も汎発性腹膜炎だ。

クローン病とか炎症性腸疾患の極期の可能性もあるが、
腹腔穿刺で混濁した腹水が見られた。。。

腹腔鏡でおなかの中を観察して、必要があれば腸をきったりという、
緊急手術。。。

何が起きるかわからない。
手術をすれば、余計具合がわるくなるかもしれない。
でもはやくよくしてあげたいし、
手遅れになる前に手術しなければならない。。。

外科医のうでのみせどころだが、リスキーなところだ。
本人、家族は同意しているので、あとは結果がどうなるか。。。

では、手術にむかいます。。。


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47歳

2008年08月22日 05時56分42秒 | 日記
3時から病院にいる。
昨日は僕の誕生日だった。準備ができず、昨日は夫婦で、軽く酒を飲んだ
くらいだったが。。。

気持ちよく寝ていた3時前、電話が鳴った。
「。。。さんの息が止まりそうです。」

。。。さんは、がんの終末期の方だ。
詳しいことはのべられないが、がん性腹膜炎という状態で、
抗がん剤も使いつくし、最後は緩和ケアをということで、うちの病院に
こられた患者さんだ。。。

腹水はたまって、おなかは苦しいし、腸閉塞もあるので、吐き気がする。
足は、血管が詰まりかけていて、パンパンに腫れている。。。
そんな状態で、病院に来られた。。。

いままで、苦しい治療を頑張ってきたから、楽になりたい。
初診でそう、はっきりと言っていたのが印象的だ。。。


子供は2人。一人は大学生。一人は中学生だ。
お父さんは、たまたまか、病気でなくなったばかりということだった。

癌の終末期の患者さんは、わがままになって、自我をなくす人も
少なからずいる中で、その人は、痛み、苦しみに耐えて、母親であり続けた
気がする。。。

娘さんは、お母さんが入院中の間は、ずっと付き添っていた。
きっと、それが、一番の親孝行であり、一番娘にしてあげられることであり、
大切な時間だっただろうと思う。。。

外科医として、何もしてあげられなかったという無力感はある。
でも、人生の最期を穏やかな形で、時間を取らせてあげられたのも、
こういう仕事について、少なからずの経験をしているからだと思う。。。

家族と、本人、娘さんが本当に感謝しているかはわからない。
死への、別れへの悲しみ、怒りが、僕に向くのは仕方ないと思う。。。

ただ、数年たって、良い時間を過ごせたのかもなあと思ってもらえれば、
緩和ケアが少しでも役に立っているのかなと思う。。。

ご冥福をおいのりします。。。



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帰るところ

2008年08月18日 12時19分24秒 | 日記
僕は、親元をはなれ、地元をはなれ、結婚して、夫婦とも地元から離れて
暮らしている。知り合いはいるが、転勤族で近くにはいなかったり、
そこまで親密でなかったり。。。

91歳のおばあちゃんが乳がんになった。全身麻酔で手術をして、1週間でよくなった。手術前と同じ生活。ただし、寝たきりだったので寝たきりのままだ。。。

息子夫婦は、手術前には、手術に関し、かなり反対で、入院も手術も本当に
必要なのか?とかなり詳しい説明を求められた。。。
時間もかなりとったし、回数も重ねた。。。

僕の熱意が伝わったのか、手術は同意され、入院が決まった。
とたん、全然病院に来なくなったのだ。。。

91歳寝たきり。このまま、家族からほっておかれるとどんどんボケが
進んでしまうだろう。。手術前にはその話もしたし、体の具合がよくなったら、
元の環境に早く戻してあげるのが、本人のためだろうといった。

家族も手術でさらにとぼけるのが心配だと言っていた。
だからこそのきちんとした手術、術後のリハビリ。
病院では最高のパフォーマンスで患者は良好に回復した。。。

術後、1週間。乳がん術後としては退院して当たり前の時間だろう。。。
術前説明でもそう説明していた。。。

が術後、全然顔を出さないので、退院後の予定を聞いたら、
「20日以上いさせてもらわないと困る」というのだ。。。

結局は、保険が下りないというのと、今後は施設に預けたいから
これから探すというのだ。。。

患者さんはわかってかわからずか物寂しげな表情をしていた。。。

僕も帰るところがないと言えばない。。。
いいようのない寂しさがこみ上げる時もある。。
でも、妻がいて、子供が笑顔で迎えてくれる。。

帰るところ、入院の時から考えていてもらわないと、お互いにこまって
しまうことがある。。。

お盆に思う

2008年08月15日 11時00分38秒 | 日記
お盆だというのにうちの病院はやすみでない。
患者さんも休みだからかちゃんとくる。。。

一歩外に出るとたくさんの家族連れが、楽しそうに買い物して、
笑っている。。。

なんだか寂しくなる。。。


患者さんに言われる。
「先生は休みないんですか?」

僕の夏休みは9月だ。。。
良い時期には上の先生が夏休みをとる。。。

でも、術後の患者さんが、「先生に診てもらってよかった」といってくれると
自己満足だけど、がんばってるかいがあったかなと思う。。。

けど、家族にはそんなのつたわらないだろうし。。。

仕事と生活の両立はむずかしい。。。

急変 続編

2008年08月05日 10時41分22秒 | 医療の裏話
家族はこういった。
「ここまでの2か月がんばってきたのだから後はくるしませたくない。
挿管して人工呼吸器で管理することはやめてもらいたい。。。」

もちろん、急変なのだが、癌は進んでいるし、状態も急変前よりはよくなるわけ
ではない。
家族は毎日の看病で、そういったことが分かっているようだった。
もちろん、僕たちも患者さんを簡単に死なせるわけにはいかないので、
できることならやれる限りのことはしてあげたい。

しかも、この患者の主治医は僕ではなく、夏休み中の先生だった。
勝手なことはできないが、家族の意向、本人の意向には背けない。。。

主治医の先生に連絡を取り、当然のように挿管しろと言われた。
「でも家族が望んでないんです。」
その先生もどうしていいかわからないようだった。
通常であればできる限りのことをしてください。お願いします。
といわれる。

僕の説明が悪かったのだろうか?いや、客観的に検査結果を状態を説明した
つもりだ。。。

その間にも親族がどんどん集まってくる。。。
みんなふだんからお見舞いに来てくれていたのだろう。。。
「もうひと踏ん張りだからがんばれなあ」
そう声をかけている。
息子さんから親戚たちに、かなり悪い状態であること、人工呼吸が必要である
ことが説明された。
でも、そこまで自分の父親を苦しめたくないともいっていた。。。

親戚の意見も同じようだった。
小学生くらいの孫もいた。じいちゃんの名前を必死で呼びながら泣いていた。

どうにかしてあげたいが、そうなると、挿管してICUだが、状態があまりにも
わるい。。。最後の時間を家族と一緒に過ごさせてあげたい。。。

外科医として、僕の考えはそうだった。。。

もちろんいろんな先生がいて、そんな説明もなしに、処置をしてしまう先生、
僕みたいな先生、別の考えの先生いろいろいるだろう。

正解はないと思うし、少ないコミュニケーションの時間で人が亡くなっている
ので、疑問におもっている家族もいるかもしれない。。。
でも、少ないながらの僕の経験の中での考えはある。。。

今後、今回の急変がどのように病院内で扱われていくかはわからないが、
間違ったことはしていないと思う。

。。。さんにご冥福をいのります。。              終わり



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急変

2008年08月04日 22時16分06秒 | 医療の裏話
外科に急変がつきものだということを忘れていた。。。

仕事が終わって帰宅して、なんと子供が朝は歩けなかったのに
帰ったら歩けていることに驚いていたら、電話がなった。

「。。。さんの血圧が60代で意識レベルがダウンしています」と

子供の初歩行のお祝いをする間もなく、病院に直行。
汗を拭く時間も惜しんで、病室に向かった。

状況はかなり深刻だった。

酸素3lで、PaO2が45 CO2が30だ。かなりの呼吸不全だ。。。

実は、胃がん術後の人だったが、術後に食道裂孔ヘルニアによる
逆流症状がひどく、誤嚥を繰り返していたのだ。

最近は嘔吐もへり、小康状態を保っていたのだが、少しずつ元気がなくなって
いたのも事実だ。。。

家族を呼んでもらいその間に胸のCTをとる。
かなりきたないはいだ。
採血をする。 WBCは2万を超え、CRPも20を超えていた。
肺炎によるSIRS、敗血症性ショックなのだろうか?

家族がついた。呼吸不全であること、かなり進んだ肺炎であること。
低酸素の状態が少し長いことを説明した。

このままでは死んでしまう。挿管しての人工呼吸が必要だ。
その旨を家族に伝えた。。。すると、、、
家族の反応はこうだった。。。              

                                つづく

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