「仕留める」思いの強さは、この男も持っていたに違いない。清武弘嗣である。香川真二の後継者-。スポーツマスコミから発せられた第一報は、実際にエースが不在となったことでサポーターの期待へと変化していくことになる。リーグ屈指の得点能力を持った者の代役して、だ。ポジションは1トップの後ろと、確かに前任者と同じものである。足下の技術を生かす突破が魅力なのも重複する。しかし、3シャドーとして組み込まれたことで、チームにもたらす攻撃的な化学反応は、「8番」を凌駕する部分も少なくない。それまで、エースを生かすべく構築された1トップ3シャドーという組織が、清武弘嗣が組み込まれたことで連動性という名を以て機能する。ドリブル突破にダイレクトプレーを織り交ぜた攻撃は、スペクタクルなこと、この上ない光景だ。アドリアーノの強引な突破がアクセントとなっていたこれまでの攻撃は、清武弘嗣で変幻さを加えることとなった。香川真二に追いついた、ということではない。香川真二が持ち得ない技能を披露した上で、代役の看板を外したかった。それだけに、勝負強さを見せつける得点は、何よりも必要であった。乾貴士が思いを「満たした」ことも後押しになったのかもしれない。家長昭博の縦パスに鋭く反応し、胸トラップ後に左足から放たれた放物線。「8番」の忘却、である。
小倉新会長GOサイン!ビエルサ監督口説く(スポーツニッポン) - goo ニュース