サッカーにおけるルールは「聖域」なのか

　ルール改正というものは、どうも厄介である。その種目の持つ特性をも変えかねないからだ。バレーボールにおけるネットインサーブの有効化は、レシーブ側にとって守備の負担を増加させたことは間違いない。あるいは、既存のルールを厳格化させるという意味では、テニスにおける「チャレンジ」システムが挙げられる。ラインを割る、ということは攻撃側にとってのマイナスである。となると、ライン際でのインまたはアウトの判定は、勝負の分水嶺となるべき重要事項だ。微妙な判定への救済となるチャレンジシステムは、コート全体を俯瞰した、いわゆる“ホークアイ”カメラによって、審判の判定を再検証しようではないかというものだ。不利な判定を被った側が、今一度、「真実の目」に近い映像処理よって救われることになる。サッカーにおける「第４の目」の導入に対する検討も、チャレンジシステム近い議論なのだろう。
　攻守の切替が高速化することで、判定の難易度が上がっている。選手のフレキシブルな動き加え、ボールの出所を把握するオフサイドラインの見極めは至難だ。それでも、ルール改正に踏み切れないのは、サッカーという競技が持つ判定の「人間臭さ」を排除についての是非からなのだろう。人間はミスをするものだ、という見地から発せられる「判定ミスありき」という内容を含めた競技特性こそ、サッカーの魅力である考えが根強い。いわば、聖域である。それでも、判定を見過ごされたことで、敗者に直結した事態が多発した状況を見るにつけ、ルール見直しを含めた対策は必要不可欠だと感じてしまう。せめて、ゴールラインを割ったか、という判定の厳格化だけでも－。　

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