怒りに満ちた表情でベンチを睨みつける主役-。
いや、主役と思われたのは配役表でのことであって、演出家にとっての主役は別の人間であった。
鹿島戦でのマッチデイプログラムの表紙を飾る男は、観客にとってゴールを決めてほしい一番の男でもあった。
ただ、チームの事情は別の部分にあった。これから戦い続ける者がペナルティスポットに立つべきである、と。
邪推は、確かにある。報道で聞こえるものが正しければ、乾の一連の行動から「起用しない」決断の流れだ。
一度は天才ドリブラーを構想外とした指揮官の信念は、乾の「変身」によって曲げられることとなった。
だとすれば、曲げた信念を元通りに戻すタイミングを見計らっていたことになる。
ボギョンの強行指名にも感じられた場面は、指揮官の立ち位置を改めて示す機会だった、ということは
考えすぎだろうか。
いずれにせよ、乾にとってのセレッソ最終章は幕を下ろすこととなった。
ここで、試合前のつぶやきを引用したい。
天才を操縦することの難しさは、多くの指揮官が直面する問題。
ファンタジスタ不要論ともリンクする問いは、しかし個人能力での打開という答えにも到達する。
和を以て個を活かすー。乾貴士とレヴィー・クルピの最終章がはじまる。
「和を以て個を活かすー」。
乾貴士とレヴィー・クルピを語る上で外せないキーワード。
最後は双方の主張が真正面から衝突する結末が生んだモヤモヤならであることは間違いない。
北朝鮮戦「きちんとやる」=小倉会長―サッカーW杯アジア3次予選(時事通信) - goo ニュース