[写真]ワールドグループへの“差”は実感したに違いない。
次回への戦いはこの瞬間から始まっているのかもしれない。
その“瞬間”、ビクトル・ハネスクはコートに仰向けに倒れながら
両手を天井高く突き上げた。
勝利の瞬間、彼が見せた行動は歓喜、というよりは
むしろ安堵、といった気持ちが強かったように感じた。
ポテンシャルで鈴木貴男と添田豪を圧倒しながら、
あわや敗退がちらつく状態に追い詰められても
決して崩れることがなかった精神力は、
勝利への理由となったひとつかもしれない。
しかし、
勝利への天秤が、日本そしてルーマニアのどちらに傾くか微妙な状況で
ターニングポイントとなるべき事柄といえば、
「国家を代表する誇り」の強さが上げられる。
アウェーゲームとはいえ、国家を代表する負けられない事情が
ルーマニア側が強かったような気がしてならないのである。
もちろん、敗戦後に見せた添田豪の涙が語るように
日本代表にとっても日も丸への思いは負けていなかった筈だ。
それでも、審判の判定が不利となろうが
試合の流れが日本に傾きようが、
ただ自国の勝利を目指すことのみを追求したことが
ルーマニアの大逆転劇に繋がったような気がしてならないのだ。
そこには、
日本人が知りえない“力”が加わっているのかもしれない。
海外を転戦し、切磋琢磨する人間がチームメイトとして
国を代表する戦いを繰り広げる。
思えば、サッカーのルーマニア代表も
イタリアやイングランドといった海外リーグに所属する選手によって
構成される。
普段は“国”を感じることが少ない人間が
ひとつの勝利への想いを集約させる。
事情が事情だけに、その想いの強さや形を
明確に説明できないことも事実である。
しかし、今回の戦いの勝敗を分けたのは
“見えない国家への想い”の強さが
ルーマニア側が勝っていたことのような気がするのだ。
少数ながら集まったルーマニア人サポーターと
輪になって歓喜の雄たけびを上げるコートの対面で
日本代表の選手、そしてスタッフが
雪辱の想いを誓っていた。
セルティック快勝の起点に俊輔、ACミラン破る…欧州CL(読売新聞) - goo ニュース