「空気」に異議あり!

世の中の「空気」のいくつかを相対化していきます。初めての方は、左下の「カテゴリー」の「注意事項」をご覧ください。

「空気」を読んだ選挙広告は?

2007-07-28 | 政治の空気
さて、今日は趣向を変えまして、このブログが相対的に見ている日本の「空気」を上手く読んだ選挙広告はどの党のものか、というお話です。結論から言えば国民新党の「正々堂々、抵抗勢力」は上手いと思います。もちろん私はこの党の政策は全く支持しませんけどね(笑)。あくまで選挙広告の話です。


近年マスコミの作り上げた空気として、「政治家が全て悪い」というものがあります。この空気のせいで、何も知らない小学生が、将来なりたくない職業として「政治家」を挙げていました。このことは、日本での政治家批判の一定部分は正当な批判ではなく、空気に流されているのに過ぎないことが分かります。

さてそのような時代に、政治家はどう国民にアピールすればよいのでしょうか?
私はそれは、まず
<自分たちを叩く空気を読んで、それを逆手にとること>
だと思います。
「空気」に直接反発しても無駄です。マスコミの権力は政治家よりも
はるかに強力ですし、一度いじめをはじめた国民は、批判された事実を
弁解する政治家を許さず、さらにいじめるからです。



かつて上手かった例として思い出すのは、小泉総理の郵政解散です。
あの時もマスコミは小泉総理を叩いていました。
「もうあのいい加減な人柄は飽きた」
という空気が、国民の間にも充満していました。
極端に飽きやすい日本人は、5年間同じ首相が勤めることに我慢できないのです。
(5年くらい、普通の国では決して長い期間ではないのですが。)

そんな中小泉総理は、郵政民営化法案が参院で否決されたことを利用し、

「私はこんなにいじめられ、孤立している。しかしガリレオのように、
私は味方がいなくても、正しいことしていると信じている。」

という孤独な姿勢をアピールして国民の共感を呼び、勝利を収めました。

またあの時は、敵側の攻撃を逆手に取っていましたね。
例えば小林興起が郵政法案反対票を喜々として高く掲げてアピールしたシーンが
メディアでも報道されました。メディアはそれだけ小泉総理が孤立している
ことを国民に見せたかったのでしょうが、それさえも小泉総理は逆手にとって
利用しました。正に天才ですね。



そういう意味で、今回の選挙広告で上手いと思うのは、国民新党の、

「正々堂々、抵抗勢力」

です。

いくらマスコミが反自民でも、「抵抗勢力」を応援するのは難しい。
国民新党は、小泉総理から抵抗勢力の筆頭として挙げられ、
自民党から追放された面々の党です。
彼等には「我々は抵抗勢力ではない」と主張する選択もありましたが、
それでは弱いんです。なぜなら彼等は明らかに古い体質を守る人達だからです。

そこで自分たちについてしまったマイナスのキャッチフレーズである「抵抗勢力」
を逆手にとったんでしょう。そして「抵抗勢力」はみんなから批判されるけど、
自分たちは信念を持って抵抗勢力を続けると。
ある意味、自分たちを滅ぼした小泉総理の戦略に学んだと言えると思います。

また自分たちが「古臭いオヤジ」であることを利用したCMを作っていました。
いかにも古臭い顔の綿貫党首が若者のところへ行って熱弁する。当然若者はシラ
けた顔で綿貫を見ます。ここも自分たちの欠点を逆手に取っていると思います。

ちなみにもう一度言いますが、私は国民新党のことは支持していません(笑)。
単に広告が上手いと言っているだけです。

もっともそれが選挙結果に結びつくかどうかは大いに疑問です。
国民新党は立ち位置が中途半端だからです。
マスコミの作るトレンドに乗っていないと思います。


それ以外の党の選挙広告で、上手いと思えるものは少ないですね。
民主党のテレビCMは、視覚に訴える意味ではまあまあだと思いますが、
キャッチフレーズはマスコミに乗っただけの平凡なものです。
それでも今はマスコミが民主をバックアップしているので、無難なやり方で
守りに入った方が得策なのかも知れませんが。


そして自民党はやはり、責められる者としての弱味を感じます。
あの広告では、マスコミや国民による「安倍いじめ」を跳ね返すことは
できないでしょう。
個別の候補を見ても、東京の丸川候補の選挙ポスターに
「日本に生まれてよかった」とありましたが、
いいフレーズなのですが、今回の選挙では何の効果もないでしょう。

もし私が自民党のCMを考えるなら、まず安倍総理がいじめられているのを
逆手に取ります。

パターン1

(拉致問題に必死で取り組む安倍総理)
(それを袋叩きにするマスコミ)

安倍「それでも私は拉致被害者を救いたい・・・」
(と一生懸命外交をやる)

・・・自民党

パターン2

国民A「安倍って、グズグズして何言ってるか分かんねーよな。」
国民B「前の小泉さんはイケてたのにな。安倍ってイケてねーよな。」
国民C「年金問題は全部安倍が悪いってテレビで言ってたよ。」
国民D「ああいう奴は痛い目に逢わせてやろうぜ!」
(国民10人以上が安倍総理へペットボトルなどを投げつける)

安倍「それでも私は拉致被害者を救いたい・・・」
(と一生懸命外交をやる)

・・・自民党


あるいはもっと逆手に取るのなら、最後に
「さあ、みんなで安倍総理をいじめよう!」
で終るとか(笑)。
「はなわ」が雪国まいたけを「高いから買うな」と言ったCMに近いですね。


もっとも日本最高権力者であるマスコミが、安倍総理を袋叩きにしている
現状では、どんなCMを作ろうとそれをまた袋叩きにされるので、
何をやっても無駄な面があるでしょう。

例えば私が例に挙げたCMですと、マスコミは散々低次元な「いじめ」を
やっておきながら、「正当な批判をいじめに矮小化しようとする卑怯なCM」
などと言って袋叩きにするでしょうね。

とにかく小泉氏のような「世紀のカリスマ」でないと総理が務まらないような
異常な国が、今の日本だと思います。

2 コメント

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Unknown (ハーグ竹島)
2007-07-28 17:45:54
なるほど、キャッチコピーは上手いと言えるでしょう。
しかし、旧態依然とした選挙カーで名前連呼の
やり方は、聞いていて五月蝿いです(苦笑)。
もちろん、それも戦術のうちなのでしょうが。
抵抗勢力が、やれネットだ何だと言っても却って
ヒキますからね(笑)。

それ以上に、自民のPR案の方が笑えました。
もちろん、単純にウケたというに留まらず、本当に
これをやれば、少なくとも今よりはずっと選挙民に
受け入れられるのではないでしょうか(特に新潟県民に)。
返信する
抵抗勢力の限界 (太一)
2007-07-28 19:52:19
ハーグ竹島さん、コメントありがとうございます。

>旧態依然とした選挙カーで名前連呼の
>やり方は、聞いていて五月蝿いです(苦笑)。

そこが彼等の限界なんでしょうね。
所詮「抵抗勢力」ですから(笑)。

逆手に取ることはできても、
やはり何の改革もできないようです。
返信する

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