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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ルー・ドナルドソン/ザ・ナチュラル・ソウル

2025-07-16 18:11:21 | ジャズ(ソウルジャズ)

1960年代に入ってハードバップが下火になってくると、ブルーノートのジャズマン達はさまざまなスタイルを模索し始めます。そのうち大きな柱となったのはモード~新主流派路線ですが、一方でR&B色の強いソウルジャズ路線に舵を切ったグループもいます。その代表格がルー・ドナルドソン。50年代はチャーリー・パーカー直系のアルト奏者として活躍した彼ですが、おそらくモードジャズが生理的に合わなかったのでしょうね。1961年の「ヒア・ティス」を皮切りにオルガン奏者を起用したコテコテのソウルジャズ路線を一気に推し進めます。

今日ご紹介する「ナチュラル・ソウル」は1962年5月録音の作品。ここでドナルドソンが起用したのがオルガン奏者のジョン・パットン。ニックネームを付けて”ビッグ・ジョン・パットン”と呼ばれることが多いですね。この後売れっ子となり、60年代だけでブルーノートから9枚のリーダー作を残しますが、デビュー作はこの作品です。他にトランペットにトミー・タレンタイン。言わずとしれたスタンリー・タレンタインのお兄ちゃんですね。弟に比べると地味ですがサイドマンとしてはブルーノート作品にちょくちょく顔を出しています。ギターは「ヒア・ティス」でドナルドソンが抜擢したグラント・グリーン。ドラムにベン・ディクソンと言う布陣です。

ボーナストラック1曲含めて全7曲。オリジナル4曲、スタンダード3曲です。オープニングはジョン・パットン作の”Funky Mama"。タイトル通りのファンキーなソウルジャズで、グリーンのソウルフルなギターにホーン陣が絡み、トミー・タレンタイン→ドナルドソン→パットンとソロをリレーします。いきなりコテコテの演奏ですね。ただ、それだけでは従来のファンが離れると思ったのか、続く”Love Walked In”はジョージ・ガーシュウィンのスタンダードで、ドナルドソンがお馴染みのメロディを歌心たっぷりに奏でます。ただ、その後はアーシーなソウルジャズでパットン→トミー→グリーン→ドナルドソンのソロと続きます。3曲目と4曲目はドナルドソン自作の”Spaceman Twist"と"Sow Belly Blues"。前者はそのままダンスフロアでかかりそうなドファンキーなジャズ、後者もブルースと銘打っていますが結構アップテンポな曲です。個人的には前者の”Spaceman Twist”がなかなか楽しい感じで良いと思います。ソロはどちらもドナルドソン→トミー→グリーン→パットンの順です。

5曲目"That's All"は再びスタンダード曲で本作中唯一のバラード。パットンのムーディなオルガンをバックにまずドナルドソンがメロディを吹き、トミー→グリーンのソロが続きます。6曲目”Nice 'N' Greasy"はピアニストのジョニー・エイシアの曲。本作には参加していませんが、グラント・グリーン「ザ・ラテン・ビット」でピアノを弾いていました。フランク・シナトラのヒット曲"Nice ’N' Easy”をもじったタイトルで、greasy=脂っこいとある通りコテコテのソウルジャズです。ラストはボーナストラックの"People Say We're In Love"。LP未収録ですが、この曲がなぜお蔵入りになったのかわからないぐらい魅力的な演奏で、ロジャース&ハマースタインのミュージカルナンバーを軽快かつソウルフルに演奏します。以上、日本のジャズファンの間ではとかく軽視されがちなルー・ドナルドソンのソウルジャズ作品ですが、私は楽しくて良いと思います!


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