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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

フランク・ウェス/オパス・イン・スウィング

2025-08-15 10:25:04 | ジャズ(スイング~中間派)

本日はフランク・ウェスです。彼については以前にプレスティッジ盤「サザン・コンフォート」をご紹介しました。そこでも書いているようにウェスは50~60年代のカウント・ベイシー楽団の重要メンバーであり、同じファーストネームのフランク・フォスター、トランペットのサド・ジョーンズ&ジョー・ニューマンらとともに黄金期のベイシー・サウンドを支えました。ベイシー楽団ではサックスとフルートを兼任していますが、どちらかと言えばフルート奏者としてのイメージが強く、特にソロ作品ではフルートをメインにしています。

今日ご紹介する「オパス・イン・スウィング」でもウェスはサックスは吹かずフルートに専念しています。ジャケットにはフルートと2本のギターがドーンと描かれていますが、この絶望的なセンスのジャケットデザインはサヴォイ・レコードならではですね。ちなみに2本のギターはケニー・バレル(ギター)とフレディ・グリーン(リズムギター)で、その他にエディ・ジョーンズ(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム)が脇を固めています。メンバーのうちウェス、グリーン、ジョーンズの3人がベイシー楽団のメンバーで、基本はスイング風のジャズですが、そこにバリバリのハードバッパーのバレルが絡むと言う面白い構図です。なお、ウェスは前年にミルト・ジャクソンの歴史的名盤「オパス・デ・ジャズ」にフルート奏者として参加しており、本作のタイトルはそれを意識したものと思われます。

全5曲。うちスタンダードは1曲のみで後はメンバーのオリジナルです。オープニングトラックはウェスの自作曲”Kansas City Side”。文字通りベイシー楽団の原点であるカンザス・スタイルのジャズで、フレディ・グリーンのリズムギターをバックにバレルとフルートが交互にソロを取って行きます。同じギターの名手でもひたすらズンズンとリズムを刻むだけのグリーンと、次々とメロディアスなアドリブを繰り広げるバレルが好対照で面白いですね。曲自体もスインギーな名曲で、本作のベストトラックと思います。続く”Southern Exposure”はバレル作のブルースですが、こちらはまあまあかな。

3曲目は唯一のスタンダードで「オズの魔法使い」の”Over The Rainbow”。お馴染みの旋律をまずバレルが無伴奏で奏で、その後はウェスとバレルが交互にソロを取ります。4曲目”Wess Side”とラストの”East Wind”はどちらもウェスのオリジナル。前者はおそらくwest sideと掛けていで、westとeastで対になっているのでしょうか?曲自体は特筆すべきものはなく、前者はミディアムスイング、後者はスローブルースです。以上、1曲目は素晴らしいですが、他は可もなく不可もなくと言った感じですかね。個人的にはウェスのフルートよりもケニー・バレルとフレディ・グリーンと言う全くスタイルの異なる2人のギタリストの妙技を楽しむアルバムだと思います。

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スペックス・パウエル/ムーヴィン・イン

2025-08-06 18:24:13 | ジャズ(スイング~中間派)

本日はスペックス・パウエルの「ムーヴィン・イン」をご紹介したいと思います。と言われても誰やねんそれ?と言うのが大方の反応でしょう。私も実際にこのCDを手にするまで全く知りませんでした。ビバップ~ハードバップ期のドラマーでよく似た名前のスペックス・ライトと言う者がおり、レッド・ガーランドやレイ・ブライアントらとの共演で知られていますが、全くの別人です。どうやらspecsはスラングで「眼鏡」の意味があるらしいですね。ジャケットにも眼鏡をかけたパウエルがトラックの荷台に家財道具を詰め込んでお引越し(move in)する姿が描かれています。

1940年代からプロとして活躍しており、特定のバンドに長く籍を置くのではなく、主にスタジオミュージシャンとして活躍したようですね。共演歴を見るとエロール・ガーナー、レッド・ノーヴォ、テディ・ウィルソン等どちらかと言うとビバップよりスイング系のミュージシャンが多く、今日取り上げる「ムーヴィン・イン」も録音年月は1957年2月ながらハードバップではなく、ビッグバンド風のスイングジャズです。

メンバーは総勢11名。小型ビッグバンドと呼んでいい規模の編成で、アレンジャーはレイ・コープランドがトランペットと兼任で務めています。他はレオン・メリアン(トランペット)、ジミー・クリーヴランド&ジム・ダール(トロンボーン)、アーロン・サックス(クラリネット&テナー)、ジョージ・ドーシー(フルート&アルト)、サヒブ・シハブ(アルト&バリトン)、プリチャード・チーズマン(バリトン)、ハンク・ジョーンズorナット・ピアース(ピアノ)、クライド・ロンバルディ(ベース)そしてパウエル(ドラム)です。

上記のメンバーのうちコープランド、クリーヴランド、サヒブ・シハブ、ハンク・ジョーンズあたりはジャズファンには比較的知られている名前ですが、他はマイナーですね。レオン・メリアンは白人トランぺッターでデッカに1枚だけリーダー作があるそうです。ジム・ダールも白人でジーン・クイル「3ボーンズ&ア・クイル」に参加していました。アーロン・サックスもスイング期から活躍する白人リード奏者で、ヘレン・メリルの元旦那です。ちなみに名前のサックスはSaxではなくSachsです。ナット・ピアースは”白いベイシー”と呼ばれたピアニスト、クライド・ロンバルディはベニー・グッドマン楽団等に在籍した白人ベーシストです。ただ、ジョージ・ドーシーとプリチャード・チーズマンはマイナー過ぎてネットで調べても詳しい情報が全く出てこず、黒人か白人かもわかりません。

全12曲、パウエルのオリジナル曲とスタンダード曲が半分ずつです。曲数は多いですが、ほとんどが2~3分ほどの曲なので総時間は36分強です。オープニングトラックはスイング時代の名トランぺッター、チャーリー・シェイヴァースの名曲”Undecided”。切れ味鋭いホーンアレンジに乗ってシハブのバリトン→メリアン→アーロン・サックス→クリーヴランド→コープランドと軽快にソロをリレーします。2曲目は歌モノスタンダードの”All Or Nothing At All”。ミディアムスイングのアレンジでアーロン・サックスのクラリネットとジョージ・ドーシーのフルートがテーマメロディを奏で、その後はメリアン→クリーヴランド→ハンク・ジョーンズがソロを取ります。続く"It's A Pity To Say Goodnight"も歌モノで、パウエルのブラッシュワークに乗ってメリアンがブリリアントなラッパを響かせ、クリーヴランドとアーロン・サックスが後を受けます。4曲目”You Don’t Know What Love Is"はロリンズやコルトレーンの演奏で知られていますが、ここではサヒブ・シハブがアルトサックスで哀愁たっぷりに歌い上げます。

5曲目からは4曲連続でパウエルのオリジナルですが、これがまた良い。まず"Spyder Blues"は文字通りブルースで、ベイシー風の重厚なアンサンブルが魅力です。ソロの記載はありませんが、テナーソロはおそらくアーロン・サックスで、カップミュートのトランペットはどちらかわかりません。6曲目”Rat Race”はアップテンポの曲で、切れ味鋭いホーンアンサンブルに乗ってシハブのバリトン→クリーヴランドとソロを取ります。7曲目”Suspicion”は美しいバラードで、ここでの主役はハンク・ジョーンズ。ホーンアンサンブルをバックに彼がロマンチックなピアノを存分に聴かせます。8曲”Locked Out”はベイシー風のリズムと魅力的な旋律を持った名曲。ソロはシハブのアルト→ナット・ピアース→コープランド→ジム・ダールの順です。

9曲目"He's My Guy"と10曲目"I'll Remember April"は再びスタンダード。前者はコープランドのトランペットが大きくフィーチャーされた演奏、後者はコープランドがテーマメロディを奏で、アーロン・サックス→シハブのアルト→ナット・ピアースとソロを取ります。最後の2曲はパウエルのオリジナル。”Dispossessed”も魅力的なメロディを持ったミディアムスイング。ソロは記載がないですが、カップミュートのトランペットソロ→おそらくサヒブ・シハブのアルトソロです。ラストはタイトル曲の”Movin’ In"で、パウエルのシャープなドラミングに乗ってハンク・ジョーンズ→クリーヴランド→アーロン・サックスと軽快にソロを取ります。以上、無名のリーダーが無名のミュージシャンを多く集めて作ったアルバムですが、オリジナル曲の質の高さに加え、メンバーの演奏も予想外に素晴らしく、モダンジャズの奥深さを感じさせてくれます。

 

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セルダン・パウエル・セクステット

2025-07-29 19:20:35 | ジャズ(スイング~中間派)

本日は通好みの黒人テナー奏者、セルダン・パウエルをご紹介したいと思います。1928年生まれでプロとして活動を始めたのは40年代後半。この頃のジャズシーンはビバップ最盛期で、若い黒人ジャズマンはこぞってビバップスタイルを身に付けましたが、このパウエルに関しては残されたレコードを聴く限りではスイング~中間派風のスタイルですね。人種は違いますがズート・シムズとかに似ているかもしれません。

リーダー作はもともと数枚しかなく、日本でCD発売されたのはルースト・レコードの2枚と、エピック・レコードのチャーリー・ラウズとの分割リーダー作1枚のみです。今日取り上げる「セルダン・パウエル・セクステット」はそのうち1956年録音のルースト盤です。タイトル通りセクステット編成で、ジミー・クリーヴランド(トロンボーン)、フレディ・グリーン(ギター)、ローランド・ハナ(ピアノ)、アーロン・ベル(ベース)、オシー・ジョンソンまたはガス・ジョンソン(ドラム)と言うラインナップです。リズムギターにカウント・ベイシー楽団の”心臓”と呼ばれたグリーンが加わっているあたり、ハードバップとは違うパウエルの音楽的志向がうかがえます。

曲は全12曲。なかなかのボリュームに思えますが、演奏時間はほとんどが2~3分台と短くサラッと聴ける内容です。収録曲は主に3つのタイプに分かれ、1つ目が”Woodyn' You"や"Undecided"等のスイング~バップの名曲のカバー、2つ目がパウエルがワンホーンで奏でるバラード曲、3つ目がパウエル自作のスイングナンバーです。以下、タイプごとに見ていきましょう。

まずはタイプ1ですが、最大の聴きどころは何といってもオープニングトラックの"Woodyn' You"でしょう。ディジー・ガレスピーのお馴染みの名曲をパウエルが素晴らしいテナーソロで料理します。短いフレーズを積み重ねていくような独特の奏法で、メロディアスなアドリブを矢継ぎ早に繰り出す様が圧巻ですね。クリーヴランドのトロンボーンソロ、ズンズンとリズムを刻むグリーンのギターも良いです。7曲目”Undecided”はスイング期の名トランぺッター、チャーリー・シェイヴァースの曲で、インストゥルメンタルではカーティス・フラーやレッド・ガーランドも名演を残しています。ここでもパウエルのノリノリのテナーが炸裂し、クリーヴランド→ローランド・ハナもソロで華を添えます。他では9曲目"It's A Cryin' Shame"もそうでしょうか?他では聞かない曲ですが、スタンダードの"Tangerine"に似ていますね。

次いでバラード演奏ですが、これらの曲はクリーヴランドは参加せず、全てパウエルのワンホーンです。2曲目"She's Funny That Way"はシナトラやビリー・ホリデイも歌った曲。女性歌手が歌うときは"He's Funny That Way"になるようです。5曲目"I'll Close My Eyes"はブルー・ミッチェルやディジー・リースの名演で知られていますが、ミディアムスイングのそれらの演奏と違いここではスローバラードで料理されています。8曲目"A Flower Is A Lonesome Thing"はデューク・エリントン楽団御用達の作曲家ビリー・ストレイホーンが書いた官能的なバラード。10曲目"Sleepy Time Down South"はルイ・アームストロングのヒット曲。どの曲もパウエルが変なひねりも入れずにストレートにメロディを歌い上げますが、どれも素晴らしい。テナーの音色の美しさに陶然とするばかりです。

それ以外はパウエルのオリジナル曲ですが、どの曲も30年代の香りのするスインギー&ブルージーな演奏です。中ではソウルフルなテナーが味わえる"11th Hour Blues"が秀逸ですが、他は可もなく不可もなくと言ったところ。聴きどころは何と言っても"Woodyn' You"と"Undecided"、そして渾身のバラード4曲でしょう。ジャズ界の隠れダンディここにあり!と言った感じの1枚です。

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コールマン・ホーキンス/ザ・ホーク・リラクシーズ

2025-07-08 17:46:19 | ジャズ(スイング~中間派)

昨日のベン・ウェブスターに続き、本日もテナーサックスの重鎮であるコールマン・ホーキンスをご紹介します。"モダンジャズ・テナーの父”と呼ばれ、1920年代から活躍する大ベテランですが、50年代のハードバップ期以降も積極的に若いミュージシャンと共演し、多くの作品を残しました。本作でもヴァーヴ盤「ジェリコの戦い」やインパルス盤「トゥデイ・アンド・ナウ」等を過去に取り上げています。

今日取り上げる「ザ・ホーク・リラクシーズ」はそんなホーキンスが1961年2月にムーズヴィル・レコードに吹き込んだ1枚。ムーズヴィルと言うのはプレスティッジ・レコードの傍系レーベルで、ハードバップやソウルジャズがメインのプレスティッジと異なり、ムーディなバラード演奏を専門にしたレーベルです。このコールマン・ホーキンスやレッド・ガーランド、エディ・ロックジョー・デイヴィス、ジーン・アモンズらが作品を残しています。

メンバーはケニー・バレル(ギター)、ロンネル・ブライト(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、アンドリュー・シリル(ドラム)。注目はモダンジャズ最高のギタリストであるバレルで、バッキングにソロにと大活躍しています。ロンネル・ブライトも歌伴の名手として知られており、本作でもソロの機会こそ限られるもの、的確なバッキングでホーキンスを盛り立てています。ロン・カーターの参加も目を引きますが、当時の彼はまだ23歳で駆け出しの頃。ここでは大人しくバックでベースを弾いています。それにしても世代が2つぐらい違う印象のあるホーキンスとカーターが共演していたのが意外ですね。

全7曲、全てが歌モノスタンダードです。うち2曲目の"When Day Is Done"だけは他ではあまり聞いたことがないですが、後は定番曲ばかり。一歩間違えれば安易で没個性的な企画に終わってしまうところですが、そこは御年56歳のホーキンス御大の貫禄たっぷりのテナーと、バレル、ブライトと質の高い共演陣のおかげで聴き応えのある作品に仕上がっています。前半(A面)は全てバラードで、オープニングトラックの"I'll Never Be The Same"からホーキンスがマイペースで悠然とソロを紡いでいき、バレル→ブライトも短いながらもキラリと光るソロで華を添えます。続く"When Day Is Done""Under A Blanket Of Blue""More Than You Know"も同じようなバラード演奏です。

後半(B面)最初の"Moonglow"はミディアムテンポの演奏。この曲はロンネル・ブライトとケニー・バレルがわりと長めのソロを取りますが、どちらも素晴らしい出来です。"Just A Gigolo"は再びバラード演奏。この曲はジャンプ・ブルース歌手のルイ・プリマが"I Ain't Got Noboby"とのメドレーでヒットを飛ばし、そちらが古い洋楽好きには有名ですが、ここではしっとりバラードで演奏されています。この曲がまた素晴らしい出来で、ホーキンスの温かみのあるテナーとそれに続くバレルの美しいギターソロが最高です。ラストはクルト・ヴァイルの名曲"Speak Low"。この曲もミディアムテンポでややラテン調のアレンジで、ホーキンス→バレル→ブライトと味わい深いソロを取ります。ここで聴かれるホーキンスのテナーは当時時代の最先端を走っていたコルトレーンの"シーツ・オヴ・サウンド"とは対極に位置するようなオールドスタイルの演奏ですが、どちらも等しく素晴らしい!ジャズと言う音楽の懐の深さ、間口の広さをあらためて感じさせる1枚です。

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ベン・ウェブスター・アット・ザ・ルネッサンス

2025-07-06 19:04:45 | ジャズ(スイング~中間派)

本日はベン・ウェブスターがコンテンポラリー・レコードに残ったライブ盤をご紹介します。ウェブスターと言えば言わずと知れたモダンジャズテナーの重鎮。40年代はデューク・エリントン楽団で名を馳せ、50年代はノーマン・グランツのヴァーヴ・レコードに多くのレコードを吹き込みました。ただ、50年代後半に西海岸に移住。どうやらこの頃のウェブスターはハードバップ全盛のジャズシーンに乗り遅れ、仕事が減っていたようですね。

西海岸でのウェブスターは比較的好意的に迎え入れられ、ジェリー・マリガン、ベニー・カーター、バーニー・ケッセルらウェストコーストの大物と共演するだけでなく、自身もバンドを率い、ハリウッドの"ザ・ルネッサンス"と言うクラブを拠点に活動します。本作はそんなウェブスターらの1960年の10月14日のライブを記録したものです。メンバーはジム・ホール(ギター)、ジミー・ロウルズ(ピアノ)、レッド・ミッチェル(ベース)、フランク・バトラー(ドラム)。派手さはありませんが実力者揃いのメンツです。

収録曲はLPが全4曲で約34分。CDはさらに4曲追加で全部で64分もあります。普通ならボーナストラックは適当にスキップしながら聴くのですが、このCDはなぜか1曲目がボーナストラックの"Gone With The Wind"で始まり、出来も良いです。ミディアムテンポの演奏で、まずウェブスターが貫禄たっぷりにブロウし、次いでロウルズ→ホール→ミッチェルとソロをリレーします。続く"Stardust"はウェブスターの真骨頂とも呼べるバラード演奏で、スススッと息遣いが超えるような独特のテナーソロが堪能できます。歌伴の名手ロウルズのロマンチックなピアノソロ、ミッチェルの弓弾き(アルコ)ソロも素晴らしいですね。3曲目はエリントン楽団の名曲"Caravan"。曲自体はアップテンポの演奏ですが、ウェブスターのテナーソロはいたってマイペース。しゃかりきになって早吹きしないところがベテランの貫禄ですね。ロウルズ→ミッチェル→ホール→バトラーのソロが後に続きます。4曲目"Georgia On My Mind"は元々はホーギー・カーマイケルが書いたスタンダード曲ですが、レイ・チャールズのカバーが全米No.1ヒットとなり、今ではそちらの方が有名になりました。レイ・チャールズのシングルが1960年9月のリリースで本ライブとほぼ同時期なので、ここでの演奏も何となくそちらを意識したようなソウルフルなバラード演奏です。

5曲目"Ole Miss Blues"は"ブルースの父"と呼ばれたW・C・ハンディの曲。Ole Missとはミシシッピ大学の愛称ですが、何か関係があるのでしょうか?曲はアップテンポのブルースで、ウェブスター→ロウルズ→バトラーと力強いソロをリレーします。6曲目以降は再びボーナストラックでまず"Mop Mop"。スイング期のドラマーJ・C・ハードとテディ・ウィルソンが共作したブルースで、ウェブスター→ロウルズ→ホール→ミッチェルとソロを取りますが、中でもジミー・ロウルズのスインギーなピアノが最高です。7曲目はコール・ポーターのスタンダード"What Is This Thing Called Love?"で、スローテンポの演奏の中ウェブスターが悠然とテナーを吹きます。ラスト"Renaissance Blues"は作曲者にメンバー5人全員の名が書かれていますが、おそらく即興で演奏されたブルースでしょう。ソロはロウルズ→ホール→ウェブスターの順です。全体的に録音状態はそこまで良いとは言えず、特にマイクのセッティングが悪いせいかウェブスターのテナーが奥の方で聞こえるのが欠点ですが、演奏の方はオールドスタイルなジャズに抵抗がない人なら間違いなく楽しめる内容だと思います。

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