ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

スタンリー・タレンタイン/アップ・アット・ミントンズ

2021-01-22 07:00:53 | ジャズ(ハードバップ)

本日はスタンリー・タレンタインの2枚組ライヴ盤をご紹介します。録音は1961年2月。前年にブルーノートに初吹込みを果たしたばかりながら、1年たらずの間にリーダー作を3枚(「ルック・アウト」「ブルー・アワー」「カミン・ユア・アウェイ」)、サイドマンとしてもジミー・スミス「ミッドナイト・スペシャル」、デューク・ジョーダン「フライト・トゥ・ジョーダン」、アート・テイラー「AT’s・デライト」と言った名盤に次々と参加するなど、破竹の快進撃を続けていた頃です。場所はニューヨーク、ハーレムのミントンズ・プレイ・ハウス。40年代にチャーリー・クリスチャンやチャーリー・パーカーらがプレイし、ビバップが生み出された場所として知られる伝説のクラブです。メンバーはタレンタインがデビュー以来何度も組んでいるホレス・パーラン(ピアノ)、ジョージ・タッカー(ベース)、アル・ヘアウッド(ドラム)のいわゆる‟アス・スリー”の面々。そこにチャーリー・クリスチャンを意識したのかギターのグラント・グリーンが入っています。グリーンもちょうどこの前月にブルーノートデビューを果たしたばかりで、この後タレンタインとともに60年代のブルーノートを支えていくことになります。

 

曲は全8曲。うちオリジナルは2曲のみで、他は全て有名スタンダード。"But Not For Me""Broadway""Yesterdays""Come Rain Or Come Shine""Love For Sale""Summertime"と誰もが知るお馴染みの曲が続きます。これは考えようによってはチャレンジングな構成で、よっぽど演奏のクオリティが高くないと、どこかで聞いたような陳腐なものになってしまう危険性があります。ただ、そこはデビュー以来勢いに乗っていたタレンタインに売り出し中のグリーン、そして盤石のアス・スリー・トリオという組み合わせのおかげで十分鑑賞に堪えうるものになっています。中でもお薦めは1枚目の”But Not For Me”と2枚目の”Love For Sale”、そしてオリジナル曲でおそらく即興で演奏したであろうスローブルース”Later At Minton's”です。ソウルフルでありながら歌心あふれるタレンタインのテナーはもちろんのことホーンライクなグリーンのギターも最高です。

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