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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

クインシー・ジョーンズ/私の考えるジャズ

2013-04-17 19:38:19 | ジャズ(ビッグバンド)

クインシー・ジョーンズと言えば、ジャズの世界にとどまらず洋楽好きの人なら知らない人はいないでしょう。マイケル・ジャクソンの「スリラー」「BAD」のプロデューサーであり、自身名義でも「愛のコリーダ」や「バック・オン・ザ・ブロック」などヒット作を多数残しています。ただ、それは70年代以降の話で、50年代から60年代にかけてのクインシーは多くのビッグバンドを手がけるモダンジャズ界屈指のアレンジャーでした。1956年にABCパラマウントに残した本作はインパルス盤「クインテッセンス」、マーキュリー盤「ビッグ・バンド・ボサ・ノヴァ」と並んで、ジャズ時代のクインシーの代表作です。



「私の考えるジャズ」なんて大仰なタイトルがつけられていますが、内容は当時のハードバップシーンの俊英達を集めたオールスターセッションで、各人のソロとビッグバンドのアンサンブルが見事に融合した大傑作です。参加メンバーは総勢21人に及ぶので、全員列挙はしませんが、凄いメンバーですよ。中心となるのはアート・ファーマー(トランペット)、フィル・ウッズ(アルト)、ラッキー・トンプソン(テナー)、ジミー・クリーヴランド(トロンボーン)、チャーリー・パーシップ(ドラム)ですが、曲によってさらにミルト・ジャクソン(ヴァイブ)、ズート・シムズ(テナー)、ジーン・クイル(アルト)、ハービー・マン(フルート)、フランク・リハック(トロンボーン)、アービー・グリーン(トロンボーン)、ハンク・ジョーンズ(ピアノ)、チャールズ・ミンガス(ベース)、ポール・チェンバース(ベース)らが加わるという超豪華ラインナップ。クインシー自体は黒人ですが、白人ジャズマンが多く参加しているのも特徴で、当時23歳だった彼がこれだけの人脈を駆使することができたということに驚嘆します。

曲も全て良いですよ。3本のトロンボーンを加え、マイルスのバージョンより重厚さを増した“Walkin'”、軽やかなフルートのテーマが印象的な“A Sleepin' Bee”、ミルト・ジャクソンのヴァイブをフィーチャーした“Sermonette”、クインシー自作のキャッチーな名曲“Stockholm Sweetnin'”“Boo's Bloos”、ズート・シムズのテナーが美しいバラード“Evening In Paris”。全6曲、どれもハズレなしです。メンバー、演奏、楽曲、どれを取っても文句のつけようのない名盤中の名盤ですね。

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