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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ブロッサム・ディアリー/ワンス・アポン・ア・サマータイム

2012-11-07 23:45:47 | ジャズ(ヴォーカル)

本日は久しぶりにヴォーカルものということで、ブロッサム・ディアリーを取り上げます。ジャズシンガーと言えばどうしてもヘレン・メリル、クリス・コナーなどハスキーな歌声を思い浮かべますが、このブロッサム・ディアリーはアイドル歌手かと思うようなキュートで舌っ足らずな歌声で女性ヴォーカリストの中でも特異な存在と言えます。一聴したところちょっとお洒落なポップスって感じなんですが、アドリブの絶妙な崩しの感覚といい、バラードでの豊かな感情表現といい、ジャズ歌手として必要な要素をきちんと兼ね備えてます。弾き語りで聴かせるピアノの腕前もなかなかのものです。



本作は「ブロッサム・ディアリー」「ギブ・ヒム・ジ・ウーララ」に続き、彼女がヴァーヴに残した3枚目のアルバムで1958年の録音(ちなみに上記2作もお薦めです)。サポートメンバーはマンデル・ロウ(ギター)、レイ・ブラウン(ベース)、エド・シグペン(ドラム)が務めています。全12曲、有名スタンダード曲が中心ですが、どの曲でもブロッサムの可憐で甘い歌声が存分に堪能できます。特にサイ・コールマンとのデュエット“Doop-Doo-De-Doop”はコケティッシュでポップな彼女の魅力が凝縮された名曲と言えるでしょう。ただ、ジャズヴォーカルという観点からはむしろバラードの方をお薦めしたいです。冒頭の“Tea For Two”、続く“Surrey With The Fringe On Top”に加え、通常アップテンポで演奏されることの多い“Manhattan”のしっとりした歌声には心癒されること間違いなしです。“Moonlight Saving Time”“If I Were A Bell”“Down With Love”などアップテンポの曲ではスインギーなピアノソロも聴けます。キュートなだけじゃないブロッサムの魅力がいっぱいつまった1枚です。

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