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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ベン・ウェブスター・アット・ザ・ルネッサンス

2025-07-06 19:04:45 | ジャズ(スイング~中間派)

本日はベン・ウェブスターがコンテンポラリー・レコードに残ったライブ盤をご紹介します。ウェブスターと言えば言わずと知れたモダンジャズテナーの重鎮。40年代はデューク・エリントン楽団で名を馳せ、50年代はノーマン・グランツのヴァーヴ・レコードに多くのレコードを吹き込みました。ただ、50年代後半に西海岸に移住。どうやらこの頃のウェブスターはハードバップ全盛のジャズシーンに乗り遅れ、仕事が減っていたようですね。

西海岸でのウェブスターは比較的好意的に迎え入れられ、ジェリー・マリガン、ベニー・カーター、バーニー・ケッセルらウェストコーストの大物と共演するだけでなく、自身もバンドを率い、ハリウッドの"ザ・ルネッサンス"と言うクラブを拠点に活動します。本作はそんなウェブスターらの1960年の10月14日のライブを記録したものです。メンバーはジム・ホール(ギター)、ジミー・ロウルズ(ピアノ)、レッド・ミッチェル(ベース)、フランク・バトラー(ドラム)。派手さはありませんが実力者揃いのメンツです。

収録曲はLPが全4曲で約34分。CDはさらに4曲追加で全部で64分もあります。普通ならボーナストラックは適当にスキップしながら聴くのですが、このCDはなぜか1曲目がボーナストラックの"Gone With The Wind"で始まり、出来も良いです。ミディアムテンポの演奏で、まずウェブスターが貫禄たっぷりにブロウし、次いでロウルズ→ホール→ミッチェルとソロをリレーします。続く"Stardust"はウェブスターの真骨頂とも呼べるバラード演奏で、スススッと息遣いが超えるような独特のテナーソロが堪能できます。歌伴の名手ロウルズのロマンチックなピアノソロ、ミッチェルの弓弾き(アルコ)ソロも素晴らしいですね。3曲目はエリントン楽団の名曲"Caravan"。曲自体はアップテンポの演奏ですが、ウェブスターのテナーソロはいたってマイペース。しゃかりきになって早吹きしないところがベテランの貫禄ですね。ロウルズ→ミッチェル→ホール→バトラーのソロが後に続きます。4曲目"Georgia On My Mind"は元々はホーギー・カーマイケルが書いたスタンダード曲ですが、レイ・チャールズのカバーが全米No.1ヒットとなり、今ではそちらの方が有名になりました。レイ・チャールズのシングルが1960年9月のリリースで本ライブとほぼ同時期なので、ここでの演奏も何となくそちらを意識したようなソウルフルなバラード演奏です。

5曲目"Ole Miss Blues"は"ブルースの父"と呼ばれたW・C・ハンディの曲。Ole Missとはミシシッピ大学の愛称ですが、何か関係があるのでしょうか?曲はアップテンポのブルースで、ウェブスター→ロウルズ→バトラーと力強いソロをリレーします。6曲目以降は再びボーナストラックでまず"Mop Mop"。スイング期のドラマーJ・C・ハードとテディ・ウィルソンが共作したブルースで、ウェブスター→ロウルズ→ホール→ミッチェルとソロを取りますが、中でもジミー・ロウルズのスインギーなピアノが最高です。7曲目はコール・ポーターのスタンダード"What Is This Thing Called Love?"で、スローテンポの演奏の中ウェブスターが悠然とテナーを吹きます。ラスト"Renaissance Blues"は作曲者にメンバー5人全員の名が書かれていますが、おそらく即興で演奏されたブルースでしょう。ソロはロウルズ→ホール→ウェブスターの順です。全体的に録音状態はそこまで良いとは言えず、特にマイクのセッティングが悪いせいかウェブスターのテナーが奥の方で聞こえるのが欠点ですが、演奏の方はオールドスタイルなジャズに抵抗がない人なら間違いなく楽しめる内容だと思います。


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