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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

バルネ・ウィラン/バルネ

2014-03-12 23:23:05 | ジャズ(ヨーロッパ)
今日は久々にフランスのジャズをお届けします。当ブログでもこれまでにジョルジュ・アルヴァニタスロジェ・ゲランアンリ・ルノーらフランスのジャズメン達を取り上げてきましたが、彼らに共通して言えるのは演奏が本場顔負けのハードバピッシュなプレイだと言うこと。おフランス的な上品さを想像していると良い意味で裏切られます。フランスを代表するテナー奏者、バルネ・ウィランによる本作も全編に渡って熱きハードバップが繰り広げられる白熱の演奏。1959年4月、パリのクラブ・サンジェルマンでのライブ録音です。



メンバーはリーダーのバルネに加え、ケニー・ドーハム(トランペット)、デューク・ジョーダン(ピアノ)、ポール・ロヴェール(ベース)、ダニエル・ユメール(ドラム)によるクインテット。バップ界の重鎮であるドーハムとジョーダンの参加が目を引きますが、まだ22歳だったバルネのプレイも実に堂々たるものです。オリジナルはラストの“Temoin Dans La Ville(彼奴を殺せ)”だけで(これも“Walkin'”のパクリのような気がするが・・・)、後は全て“Stablemates”“Lady Bird”等有名なバップ曲ばかりをカバーしていますが、メンバー全員の熱のこもった演奏のおかげで実に聴き応えのある内容となっています。ジョーダンの“Jordu”、ドーハムの“Lotus Blossom”とメンバーの代表曲が聴けるのも嬉しいですね。歌モノスタンダードでは冒頭の“Besame Mucho”だけは歌謡曲風のメロディがちょっとベタ過ぎますが、他はデューク・ジョーダンの長尺のピアノソロが聴ける“I'll Remember April”、バルネがソプラノサックスに持ち替えた美しいバラード“Everything Happens To Me”と出色の出来。全8曲、70分というボリュームですが途中でダレさせない充実の名盤です。
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アンリ・ルノー&ヒズ・オーケストラ

2013-05-03 22:22:43 | ジャズ(ヨーロッパ)

これまで何度も取り上げてきた澤野工房に新譜が出たので買ってみました。フランスのピアニスト、アンリー・ルノーが1957年にデュクレテ・トムソンというレーベルに残した1枚だそうです。ルノーと言えば、ルネ・ユルトルジェ、ジョルジュ・アルヴァニタスとともに50年代のフランスを代表するジャズピアニストで、以前当ブログで紹介したクリフォード・ブラウンのパリ・セッションやズート・シムズとの2枚の共演盤(デュクレテ・トムソン盤とUA盤「ズート・シムズ・イン・パリ」)で名を知られています。本作はタイトル通り前半5曲で5人のホーン奏者が加わった小型オーケストラ編成になっています。なお、後半5曲は普通のピアノトリオです。



メンバーはリズム・セクションが全曲ルノーとジャン・ヴァルラン(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム)。前半はその3人にビリー・バイヤーズ&シャルル・ヴェルストラート(トロンボーン)、フェルナン・ヴェルストラート(トランペット)、アレン・イーガー(テナー)、ジャン=ルイ・ショータン(バリトン)が加わるオクテット編成です。聴き所はやはり前半部分ですね。曲は全てルノーまたはバイヤーズのオリジナルで、“Meet Quincy Jones”“Dillon”などスイング感たっぷりのビッグバンドサウンドが繰り広げられます。管楽器ではバイヤーズとイーガーが随所でソロを取りますが、あまり主張し過ぎることもなく、うまくアンサンブルに溶け込んでいます。後半はルノーの流麗なソロが堪能できるピアノトリオ。スタンダード曲も演奏していますが、ここでもお薦めは自作曲の“Klook's Clock”“Wallington Special”です。譜面にペンを走らせるジャケットの通り、ルノーの作曲センスが強く感じられる1枚ですね。

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ビャーネ・ロストヴォルド/ジャズ・ジャーニー

2013-01-14 22:53:04 | ジャズ(ヨーロッパ)
デンマークといえば以前にジャズ・クインテット60を取り上げましたが、今日ご紹介するのはその前年に発表された作品。メンバーもほぼかぶっていて、リーダーのビャーネ・ロストヴォルド(ドラム)を始め、ベント・アクセン(ピアノ)、アラン・ボッチンスキー(トランペット)と4人中3人が同一メンバーです。ベースだけがニールス・ペデルセンではなくエリック・モーゼホルムですが、彼もエリック・ドルフィーと共演したこともある実力者であり、当時のデンマークの俊英達が勢揃いした作品と言えるでしょう。



曲はオリジナルが多いジャズ・クインテット60とは違い、全てスタンダード曲またはアメリカのジャズメンのカバー。北欧ジャズメン達が抱いていた本場のハードバップへの熱い想いが溢れてくるような作品です。前半4曲がトランペット入りのカルテット、後半はリズムセクションのみのトリオとなっていますが、やはり当時ヨーロッパ屈指のトランペッターだったボッチンスキーのプレイが聴ける前半が素晴らしいですね。ラッキー・トンプソン作の隠れた名曲“Mister Man”、マイルスを意識したようなボッチンスキーのミュート奏法が冴える“I Love You”、コルトレーンのモード曲に一丸で挑んだパワフルな“Mister P.C.”、そしてボッチンスキーの歌心あふれるラッパとアクセンの飛翔するピアノが融合した“You Stepped Out Of A Dream”と名演揃いです。後半4曲はトランペットが抜け、一転してモーゼホルムのベースがクローズアップされます。ペダーセンほど有名ではないですが彼のベースも凄いですね。バド・シャンク作“Fluted Columns”とデューク・ジョーダン作“No Problem”はどちらもベースが主役と言ってよいナンバーです。通常よりかなりテンポの速い“Autumn Leaves”も出色の出来。リーダーのロストヴォルドはと言うと、ドラマーとして堅実に皆をサポートしていますが、あまり前にしゃしゃり出るタイプではないようですね。ジャケットはいたって牧歌的ですが、中身は熱きハードバップが詰まった1枚です。
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タビー・ヘイズ/タビーズ・グルーブ

2013-01-13 20:10:31 | ジャズ(ヨーロッパ)

今日も澤野工房のヨーロッパジャズ復刻シリーズからの1枚です。以前、ジャズ・クーリアーズの項でも取り上げたタビー・ヘイズの単独ソロ作品です。タビーと言えば60年代以降はフォンタナ・レーベルに「ダウン・イン・ザ・ヴィレッジ」を筆頭に多くのリーダー作を残しますが、本作は1959年12月にテンポ・レーベルに残した1枚。ちょうどジャズ・クーリアーズを解散した直後ですが、リズムセクションはクーリアーズ時代の仲間であるテリー・シャノン(ピアノ)、ジェフ・クライン(ベース)、フィル・シーメン(ドラム)が固めています。



内容はジャズ・クーリーアーズ時代と同様に潔いまでの正統派ハードバップ。ディジー・ガレスピー作のけだるいラテンナンバー“Tin Tin Deo”、スタンダードを朗々と歌い上げる“Like Someone In Love”“Sunny Monday”、自作のブルース“Blue Hayes”と全曲粒揃いの内容です。中でもイチ押しは“Surrey With The Fringe On Top”。ミディアムテンポで演奏されることが多いスタンダード曲を思い切ってスピーディ&パワフルに吹き切っています。ピアノやドラムとの掛け合いもスリリングですね。他では1曲だけヴァイブで演奏した“Embers”も要注目。複数の楽器を操るジャズメンは多くいますがテナーとヴァイブの二刀流と言うのは私の知る限りタビーくらいのものでしょう。ここでのタビーは一転してMJQを思わせるような典雅なバラード演奏を聴かせてくれます。

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ロジェ・ゲラン=ベニー・ゴルソン

2012-12-25 23:39:51 | ジャズ(ヨーロッパ)

前回に引き続き澤野工房発ヨーロピアン・ジャズの名盤です。本日ご紹介するのはフランスが生んだ名トランペッター、ロジェ・ゲランです。日本での知名度はあまり高くないかもしれませんが、ヨーロッパではデンマークのアラン・ボッチンスキー、イギリスのジミー・デューカーらと並んでハードバップ期を代表するトランペッターで、クラーク=ボラン・ビッグバンドにも在籍していました。本作の録音は1958年12月。当時ジャズ・メッセンジャーズの一員としてヨーロッパをツアー中だったベニー・ゴルソン(テナー)とボビー・ティモンズ(ピアノ)をゲストに迎え、ピエール・ミシュロ(ベース)、クリスティアン・ギャロス(ドラム)らの現地メンバーとの米仏混合チームで臨んだ力作です。



アルバムはゴルソンの代表的ナンバー“Stablemates”で始まり、続いて当時のジャズ・メッセンジャーズのレパートリーだった“Moanin'”“Blues March”“I Remember Clifford”と続きます。この頃のメッセンジャーズにはご存知天才リー・モーガンがいたわけですが、本作でのゲランのプレイはそのモーガンに匹敵する、とまではいかないものの十分に説得力のあるプレイを聴かせてくれます。ただ、個人的ベストチューンは1曲だけメンバーの代わったゲランの自作曲“Not Serious”。ゴルソンとティモンズが抜け、ヴァイブのミシェル・オーセ、ピアノのマルシアル・ソラルが加わったフランス人ばかりの演奏ですが、実にエネルギッシュな痛快ハードバップです。ゲランのブリリアントなトランペットソロが圧巻です。

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