ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

クリフォード・ブラウン/コンプリート・パリ・セッションVol.1

2012-11-21 23:59:09 | ジャズ(ビバップ)

本日は伝説のトランペッター、クリフォード・ブラウンをご紹介します。1956年にわずか25歳の若さで交通事故死したブラウンは、死後半世紀以上たった今でもその完全無欠な演奏テクニックでジャズファンの絶大な支持を集めています。かく言う私もブラウンの大ファンで、ことトランペットの腕前に関しては未だに彼を超える者はいないとすら思っています。惜しむらくは残されたレコードの数が極端に少ないことでしょうか?実働期間はわずか3年で、生前に発表されたリーダー作はマックス・ローチとのブラウン=ローチ・クインテットでの5枚のアルバムのみ。死後になって発表された録音を含めてもせいぜい10数枚と言ったところでしょう。



本作はそんな彼の貴重な録音の一つで、1953年にライオネル・ハンプトン楽団の一員としてパリを訪れた際に、同僚のアルト奏者ジジ・グライスらと共に現地フランスのミュージシャンと共演したセッション集です。録音の機会を設けたのはピアニストとしても有名なアンリ・ルノーで、コンサートで聴いたブラウンのプレイに魅せられた彼がツアーの合間を縫って録音したものだとか。セッションは2つに分かれており、前半がジジ・グライスのアレンジによるビッグバンド演奏。総勢17人なので全員列挙はしませんが、ブラウンとグライス以外にもアート・ファーマー、ジミー・クリーヴランド、珍しい所ではまだ若きクインシー・ジョーンズがトランペッターで参加しています。もちろんのことながら一番目立っているのはブラウンで、冒頭“Brown Skins”では哀愁漂うビッグバンドのアンサンブルの後、4分近くにも及ぶ圧巻のトランペットソロを聴かせてくれます。“Keeping Up With Jonesy”ではアート・ファーマーとのミュート奏法によるチェイスが聴きモノです。

後半はブラウン、グライスにジミー・ガーリー(ギター)、アンリ・ルノー(ピアノ)、ピエール・ミシュロ(ベース)、ジャン=ルイ・ヴィアール(ドラム)から成るセクステット。こちらの方がよりストレートアヘッドなジャズです。グライス作曲のキャッチーな“Conception”、美しいバラード演奏“I Cover The Waterfront”、そしてラストの痛快ハードバップ“Goodin' With Me”がお薦めです。なお、このパリ録音にはVol.2とVol.3があるようですが、残念ながら入手できませんでした。またどこかで見かけたら続編も聴いてみたいと思います。


コメント    この記事についてブログを書く
« ボビー・ジャスパー・クイン... | トップ | ドナルド・バード/フリー・... »

コメントを投稿