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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

レオ・ライト/ソウル・トーク

2013-02-11 22:58:15 | ジャズ(ソウルジャズ)
レオ・ライトと言われてピンと来る方はどのくらいいるでしょうか?何でもディジー・ガレスピーのビッグバンド出身で、アルトの他にフルートも吹くマルチリード奏者ですが、一般的な認知度はあまりないでしょう。私もブルーノートの隠れ名盤であるジョニー・コールズ「リトル・ジョニー・C」やトランペッターのリチャード・ウィリアムズのキャンディド盤での彼のプレイを知っているぐらいですかね。アトランティックには他にもリーダー作を2つ残していますが、内容は正直パッとせず中古屋に売り払ってしまいました。1963年録音の本作も正直あまり期待せずに買ったのですが、傑作とは言わないまでも意外と楽しめる拾いモノでした。



サポートメンバーはケニー・バレル(ギター)、グロリア・コールマン(オルガン)、フランキー・ダンロップ(ドラム)。ジャズギターの最高峰であるバレルの参加が何と言っても目を引きますが、謎の女流オルガン奏者コールマンも意外と活躍しています。何でもテナーのジョージ・コールマンの奥方らしいですが、シャーリー・スコットばりのソウルフルなオルガンを聴かせてくれます。もちろん主役のレオ・ライトも彼らに負けじと全編に渡って熱いブロウを聴かせます。曲は1曲だけスタンダードのバラード“Skylark”が入っている以外はどれもコテコテのブルースばかり。中でもコールマンの怒涛のオルガンで始まる“State Trooper”、フルートとギターで奏でる“Blue Leo”、コール&レスポンス形式で始まるスローブルース“Soul Talk”、バレルのブルージーなギターが冴え渡る“Blues Fanfare”あたりがお薦めです。
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アイケ・ケベック/ヘヴィ・ソウル

2013-01-21 23:15:29 | ジャズ(ソウルジャズ)
アイク・ケベックと言えば1940年代から活躍するベテランで草創期のブルーノートの看板プレイヤーの一人だったらしいですが、その割に録音数が少なくメジャーに成り切れない存在ではないでしょうか?原因はドラッグ。当時のジャズ界はジャンキーだらけと言っても過言ではないですが、ケベックは特に重症で、モダンジャズ全盛期の50年代をクスリでほぼ棒に振ってしまいました。デクスター・ゴードンも似たようなパターンですが、60年代の復帰以降は第一線で活躍し続けたゴードンに対し、ケベックは復帰して間もない1963年にガンのため44歳で世を去ってしまう不幸ぶり。その間に残したリーダー作はわずか4枚。ただ、吹き込んだのがブルーノートだったこともあり、比較的容易に再発盤を手に入れることができるのは不幸中の幸いというべきでしょう。



今日ご紹介する「ヘヴィ・ソウル」は4枚のうち最初の作品で、録音は1961年。サポートメンバーはフレディ・ローチ(オルガン)、ミルト・ヒントン(ベース)、アル・ヘアウッド(ドラム)が務めています。ピアノではなくオルガンが入っているのが特徴で、よりアーシーかつソウルフルな空気が漂っています。ケベックのテナーも豪快そのもので、メロディアスなアドリブを追求するというより、ひたすらワイルドに吹き切るといった感じ。当時主流だったハードバップとは一味違い、むしろベン・ウェブスターやイリノイ・ジャケーに近いスタイルですね。正直やや古臭く聴こえてしまうのは否めませんが、冒頭“Acquitted”のパワフルなテナーにはやはり圧倒されるものがあります。ローチのオルガンもノリノリですね。ただ、ケベックの真骨頂はむしろバラード演奏にありと言っていいでしょう。“Just One More Chance”“The Man I Love”“I Want A Little Girl”と言ったスタンダード曲におけるダンディズムあふれる雄大なテナーソロは素晴らしいの一言です。
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ローランド・カーク/カークズ・ワーク

2012-12-29 14:36:46 | ジャズ(ソウルジャズ)
ジャズ界には奇人・変人がたくさんいますが、その代表として真っ先に思い浮かぶのが盲目の奇才、ローランド・カークではないでしょうか。何本もの楽器を口に含んで演奏したり、フルートを鼻で吹いたり、時計のアラームや手回しサイレンを楽器代わりにしたり、とにかくエキセントリックなプレイスタイルで注目を集めていました。ただ、その分キワモノのイメージが強く、食わず嫌いになっているジャズファンも多いのではないでしょうか?かく言う私も実はそうでした。ただ、少なくとも彼の初期の作品、マーキュリー盤の「ドミノ」やプレスティッジ盤の本作(1961年7月録音)を聴いた限りでは、演奏そのものはいたって真っ当なジャズなんですよね。確かに使っている楽器は独特で、本作でもマンゼロというアルトサックスの変形楽器、ストリッチというソプラノサックスの変形楽器を使用していますが、そこから生み出されるフレーズ自体はメロディアスで誰が聴いても楽しめる内容です。



サポートメンバーはジャック・マクダフ(オルガン)、ジョー・ベンジャミン(ベース)、アート・テイラー(ドラム)。ピアノではなくオルガンが入ることにより、ソウルフルな空気が濃厚に感じられます。特に冒頭“Three For Dizzy”はマクダフの糸を引くような粘っこいオルガンが印象的なディープなブルース。カークがフルートを奏でる“Funk Underneath”、テナーとストリッチでワイルドにブロウする“Kirk's Work”もソウルジャズ路線です。かと言ってソウルジャズ一辺倒ではなく、軽快にドライブする“Makin' Whoopee”、歌心あふれる“Too Late Now”などスタンダード曲も充実。ラストの“The Skaters Waltz”は有名なワルトトイフェルのクラシック曲をジャズにアレンジしたもので、バラエティ豊かな楽曲構成で楽しいアルバムに仕上がっています。
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ジミー・フォレスト/オール・ザ・ジン・イズ・ゴーン

2012-10-05 22:27:32 | ジャズ(ソウルジャズ)

マイナーレーベル第2弾はテナー奏者ジミー・フォレストがデルマークに残した「オール・ザ・ジン・イズ・ゴーン」をピックアップします。デルマークはシカゴを本拠地とするレコード会社で、ブルースの世界ではそこそこメジャーなレーベルのようですが、ジャズの世界で省みられることはほとんどありませんでした。どうやらジャズと言ってもR&B色の濃いホンカー系の作品が多く、正統派ジャズファンからは評価されなかったのでしょうね。ただ、今日紹介する「オール・ザ・ジン~」は普通のハードバップ好きも大いに満足できる内容です。



1959年録音の本作ですが、まずメンバーがいい。リーダーのフォレストはお世辞にもメジャーとは言えませんが、他がグラント・グリーン(ギター)、ハロルド・メイバーン(ピアノ)、ジーン・ラミー(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラム)と精鋭揃い。特にグリーンはこれが記念すべき初録音とのことで、後にブルーノートの花形スターとなる才能の片鱗を感じることができます。メイバーンのスインギーなピアノ、エルヴィンの熱いドラミングもさすが。ただ、強調すべきは本作の主役があくまでリーダーのフォレストであるということ。メンバー全員が熱いソロを繰り広げる“All The Gin Is Gone”での力強いブロウ、“Myra”でのファンキー節全開のプレイもさることながら、バラード“You Go To My Head”やミディアムテンポに料理された“Laura”での温かみのあるテナーソロは絶品です。隠れた実力派の魅力を余さずとらえた貴重な1枚と言えるでしょう。

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デイヴィッド・ニューマン/ファットヘッド

2012-08-30 23:31:42 | ジャズ(ソウルジャズ)
本日はアトランティックの看板ミュージシャンの一人であるサックス奏者デイヴィッド・ニューマンの1960年の初リーダー作「ファットヘッド」を紹介します。彼の作品は以前にも「ストレイト・アヘッド」を取り上げましたが、そちらはウィントン・ケリー・トリオをバックにした正統派ジャズだったのに対し、こちらは彼が所属していたレイ・チャールズ・バンドのメンバーを中心にしたR&B色の強い内容。バンドの同僚であるハンク・クロフォードの「モア・ソウル」の兄弟作品と言ってもいいかもしれません。



メンバーはリーダーのニューマン(テナー&アルト)に加え、マーカス・ベルグレイヴ(トランペット)、ハンク・クロフォード(バリトン)、レイ・チャールズ(ピアノ)、エドガー・ウィリス(ベース)、ミルト・ターナー(ドラム)の6人。何と言ってもレイ・チャールズの参加が目を引きますが、ここでの彼は歌声も披露せずひたすら一ピアニストに徹しています。随所にソロも聴かれますが、意外と正統的なプレイです。曲目は当然のごとくファンキーなナンバーが中心。歌心あふれる冒頭の“Hard Times”、疾走感あふれる“Bill For Bennie”、ハードバピッシュな名曲“Sweet Eyes”などソウルフレイバーたっぷりのジャズが堪能できます。他ではキャッチーなスタンダード曲“Mean To Me”、マイナームードあふれるガレスピーナンバー“Tin Tin Deo”もいいですね。
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