埃立つ未舗装の道を走るハイエースはぎゅうぎゅう詰め。
クーラーもなく、ジリジリと日に焼かれ、ほこりにまみれる。
マラウィ、モザンビーク、ジンバブエと無理やり1日で3ヶ国を走り抜け、
到着したのはジンバブエの首都ハラレ。
![](https://public.bay.livefilestore.com/y1pp0vG-QEIsWV-aZM3u038N5LV-N0ONpIl1m_znbOTco2vEjFkG6ADftaKSGQGeoeKALdCGXyi5VO_1Vm4vYT7yw/blog%EF%BE%8A%EF%BE%97%EF%BE%9A2.JPG)
高層ビルが建ち並び、お店には品物が並ぶ。
「おぉ、都会じゃん!」
正直もっとさびれていると思っていた自分。
まずはそのギャップにやられてしまいました。
とはいえ、最初の印象はあっさり覆される。
街に並ぶ商店、値札は全てドル表記。
買い物をしてみると見慣れない小銭。
よく見てみると南アフリカのランド。
そして結構な頻度で登場する飴ちゃん。
飴ちゃんでお釣返されるなんてアジア以来!!(ひとり感動)
当然米ドルと南ア・ランドの為替レートなんて調べてないから、
小さくボラれてる気もする...
「そもそも飴ちゃんで返ってくるって事は」
と思ってレジを覗いてみると小銭が1枚も無い...
他のお客さんが出した小銭を次来た人に渡しているだけ。
場合によっては
「小銭無いから何か買って」
「え~じゃぁ、このお菓子で」
「それだと金額超えちゃうから他のにして」
みたいなやり取りがちらほら。
ジンバブエは元々自国通貨、ジンバブエ・ドル(ZM$)が流通していました。
が、ハイパーインフレで高額額面の発行とデノミを繰り返し、とうとう2009年利用停止。
以前から闇で流通していた米ドルと南ア・ランドなど他国の通貨が正式に流通するようになったようです。
そこはある意味『リアル・北斗の拳』
![](https://public.bay.livefilestore.com/y1pO5oRAO2MXi8kCTQ3AtqyIc_P29OfheqbKn7y0gJWpp_iPWksoSWZRONYoMNQZDfZx915Rv6tGehBQZJG7V3o2A/blog%EF%BE%8A%EF%BE%97%EF%BE%9A.JPG)
そんな「ケツをふく紙にもなりゃしねぇ」元・紙幣。
現物がこちら。
![](https://public.bay.livefilestore.com/y1pIh3-v2Bnd-2mOp7BejT3HyyUGoBqQKP6Qv5LIwGyl__BZlEYzI_PM-Z086nfzPiI04IrTfdTRO5cs62217hlYA/%EF%BC%BA%EF%BC%84.JPG)
100,000,000,000,000Z$札ほか
情報ノートにも
「闇チェンで1ドル=1億Z$でした」の書き込みの後、
「両替したら1ドル=6億Z$。1ヵ月で1/6の価値...いつか暴動が起きる」
とか、
「銀行のATMを使うと公定レートで計算されて破産するよ」
とか、
「毎月の給料が変わらないからめちゃくちゃ目減りしたね~。
でも、店によって値札変わってないとこがあるから探すんだよね~」
ジンバブエで働く友人の話
とか。
まぁ、ありえない情報が盛り沢山。
その辺の情報はこちら(リンク→Wikipedia)を見てみてください。
「兵士の給料を900%、その他公務員の給料を600%昇給させるために、
さらに1兆ジンバブエドルの発行をするようムガベ大統領から命じられた」
など、よく分からなくても何かスゲー事になってたってのは伝わると思います。
この流通しなくなったジンバブエ・ドル。
その額面の大きさから今はみやげ物として売っています。
しかも土産物屋ではなく、売ってるのはその辺にいるお兄ちゃんたち。
中には両替商よろしく、大量のピン札を持ってる人もいますがほとんどは
自分の財布から取り出して、
「5枚で1ドルだ」
「この束で2ドルだ」
「これは額面が大きいから価値が高い!1枚1ドルだ」
もう最後は意味不明。全部紙切れだっつーの!
そんな中、自分は物々交換で手に入れる事に成功。
ハラレの次に向かったビクトリア・フォールズの町でおやつに買ったビスケットを持って歩いていると、
「ハロー ボス!俺にそのビスケットをくれないか?マジでめちゃめちゃ腹減ってんだ」
って言われ、
町を歩く度
「そのスニーカーをくれ」
「そのGパンをくれ」
「そのTシャツをくれ」などと言われ続け、
「自分、服着てるじゃん!靴履いてるじゃん!!」
と答えると、
「いや、これは兄弟のやつだ。俺のじゃない。」とか
「新しいのを買うお金が無いんだ。」とか、
ホントかウソか分からない返事の数々。
そんなやり取りを繰り返していたので、
「じゃぁ、ジンバブエ・ドルと交換しよう」と提案したらあっさりOK。
その姿を見た人たちにも囲まれ、徳用ビスケットの多くは大量のジンバブエ・ドルに化けたのでした。
実はジンバブエ・ドルだけではなく、木彫りの置物やアクセサリーなど他のお土産でもいけます。
平日の昼間から何をするわけでなくたむろする人たち。
その人たちが真顔で「ビスケットくれ」って言う姿。
最初こそ笑ってやり取りをしてましたが、
よくよく考えてみればこの国の根本的な貧しさ、その一端を見た気がします。
この国は様々なありえないを全て乗り越え、今がある国でした。
次は世界三大瀑布のひとつビクトリアの滝へ。