旅に出よう。恋をしよう。

世界一周一人旅。見て、触れて、感じたもの。恋をするように旅をする。

6本の存在感[バールベック]

2009年12月06日 | 14ヶ国目レバノン

シリアを抜け、隣国レバノンへ。
一言で言ってしまえばそれだけの事。

ただ、実際に行くとなると

セルビスと呼ばれる乗合いタクシーの発車を待ち(いつ出発するのか分からない)、
シリアの出国税を多めに払わされ、
「着いた!」って思ったら違う町で途方に暮れる...
そうして辿り着いたバールベックの町。

腹いせに「宿の値段を下げてくれ」って交渉したら、
おやじにキレられたバールベックの町。


アラビア語の看板しかなかったシリアに比べると、英語で書かれた看板が増えた気がする。
とはいえ街や人の雰囲気はシリアと大きく変わらない。
みんな明るく迎えてくれた。

ただ街には迷彩服に自動小銃を持った軍人が配置され、
自分達の乗ったタクシーも含め全ての車両で荷物の検査を行っていた。
何も無いって分かっていてもやっぱり気分はよくない。

しかも夜になるとどこからともなく聞こえる銃声...

この国の首都・ベイルートは最も戦闘の激しかった地域のひとつ。
今は大部分が復興し、整然とした街並みに生まれ変わりつつあるらしい。


そしてバールベックには2000年近く前、ローマ帝国時代に造られた遺跡が残っている。
正直遺跡にはあんまり興味の無かった自分。

行く前は「ここまで来たんだし、一応行っとくか」程度のテンションの低さ。



ここでも偽造学生証が効力を発揮。格安でチケットを購入し、中へ。



ゲートを抜けて階段を登ると目に飛び込んできたのは足元に転がる崩れた石。
それらは1つ1つが2メーターを越える巨大なもの。

それらを積み上げ柱にし、さらには屋根をかける。
重機も何も無い時代の大工事。

何より入口に入った時点で遠くに見える6本の巨大な石柱。
その石柱に一歩一歩近づく程、その存在感に圧倒される。



直径2.5m、長さ20m。
今は6本しか残っていない柱が当時は54本並び、巨大な神殿となっていたらしい。
同じ敷地内にあるバッカス神殿がその姿を思い起こさせる。



それだけじゃなく、
石に彫られた装飾の細かさ。
柱の表面を触ったときの滑らかさ。
そのスケールと技術力の高さがよく分かる。


「仰ぎ見る」



この行為が人に抱かせる感情はは国や時代や宗教を越えて
普遍的なものなんじゃないかって思えてくる。


ビザの関係で1泊2日の強行日程で訪れたレバノン。
簡単に訪れる事ができないからこそ、十分にその価値がありました。

そして中東は遺跡の宝庫。
次はシリアに戻り、十字軍が残した城クラック・デ・シュバリエに向かいます。