国会でも核心触れぬ首相、自民党政権「劣化」の実態
>第1に、国葬の法的根拠が乏しいこと。明治の元勲らの国葬の根拠となっていた「国葬令」は、現行憲法の施行とともに1947年に廃止され、その後は国葬を規定する法律はない。
>確かに「国葬」というからには「国」を構成する立法、行政、司法三権の合意が必要という考え方は妥当だ。にもかかわらず、今回、岸田首相は内閣府設置法の「国の儀式を行う」という規定によって国葬を決定。これには法律専門家たちからの異議が相次いでいる。
>第2に、国葬の予算に不信感が募っている点だ。
>官僚たちは、予算上は2.5億円という金額を公表して批判をかわそうと考えた。しかし、国民が知りたいのは国葬全体としていくらかかるかである。警察庁や外務省の予算に含まれているとしても、国葬の経費であることに変わりはない。官僚の思惑を見破って、国民の目線で国葬の予算の全体像を示すのが政治家の役割のはずだ。
>第3に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係である。安倍氏を銃撃した山上徹也容疑者は、犯行の動機に関連し、母親による旧統一教会への多額献金で家庭が崩壊、旧統一教会の友好団体の集会にビデオ出演した安倍氏に殺意を抱いたと供述しているという。
>旧統一教会との関係で安倍氏が果たしてきた役割については調査しない考えだ。一連の動きが「安倍氏が国葬にふさわしいのか」という国民の不信感につながっている。
>国葬の法的根拠を明確にできない政権スタッフ、全体の予算をまとめるように指示できない官房長官、国葬の是非や旧統一教会との問題を議論しない自民党……。国葬が岸田自民党の弱さを浮き彫りにしている。