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遠山を望むが如く

しんちゃんの雑録

子どもに教えるべき試合の目的

2018-04-09 00:27:59 | 剣道
先日,とある市民剣道大会の審判を依頼された。
この半年ほどほとんど稽古ができていなかったので,あまり自信はなかったが,人手不足は分かっていたので引き受けた。

対象は小・中・高生であり,小学生のみ団体戦も行われた。
中・高生になると体の大小はあっても体力の差はそんなに大きくはないが,小学生では学年が違うと体力差は大きく感じる。
団体戦では3年生と6年生が対戦する場面があったが,体力差は歴然としており,その時の審判は難しかった。

小学生でも,基礎ができている子は打突もしっかりしており,試合運びも巧みであった。
本人の素質や努力もあるだろうが,どのように指導したらこんなに上手に試合ができるのだろう,と指導方法に思いを巡らした。
中・高生になると,なまじ体力がついてくるので,スピードに頼ったり,打つよりも打たれない受け方に徹したりして,面白味に欠ける試合が多かったような気がする。

試合では必ず勝敗が決する。(団体戦で引き分けが規定されている場合を除く)
試合をする以上,勝ちを目指すのはもっともではあるが,勝つことが試合の目的なのだろうか?

勝つためには,相手より先に2本,有効打突を繰り出すことができればよい。
1本勝ちもあるので,まず相手より先に有効打突を出すことを心がけるべきである。

ただ,どのような打突が有効と判定されるのか,小学生に教えることは難しい。
「有効打突」とは,充実した気勢,適正な姿勢,竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し,残心あるものをいうが,「気剣体一致」の打突と言う方がまだ分かりやすいかもしれない。
「気剣体一致」の詳細については稿を改めるが,要は気力,竹刀操作,体さばき・体勢が,タイミングよく調和がとれて一体となっていることであり,このように働くことで有効打突になる。

つまり,試合中に「気剣体一致」の打突を出せるかどうかが重要であって,出せたらそれは1本となり,それが2本あれば(あるいはそのまま時間になれば),勝ちである。
「勝ち」とは,結果であって,目的ではないのである。

したがって,試合で勝つために大事なことは,どんなときでも「気剣体一致」の打突を出せるような稽古を積むことである。
元立ちが打たせてくれる基本打ちで,竹刀が流れるようではお話にならない。
以前,講習会で「木刀による剣道基本技稽古法」を,防具をつけて竹刀でやったことがあるが,体さばきと竹刀さばき(手の内)が同時に体得でき,充実した気勢がともなえば,これは実に良い稽古法だと思った。

冒頭の大会で常勝の道場の稽古を拝見したことがあるが,子どもが大人に混じって稽古をしていた。
と言うか,大人が元に立って,子どもの「気剣体一致」の打突を上手く引き出していた。
逆に,子どもが元に立って大人の打突を受ける場面もあった。
どの大人も熟練者と見受けられた。
大人と対等に稽古する子ども達の気概に驚嘆したが,なるほど,これなら巧いはずだと思った。


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