遠山を望むが如く

しんちゃんの雑録

越前大野 ハーフマラソンと酒

2017-06-01 00:05:23 | 酒食
先週末に,第53回越前大野名水マラソンに出場した。
3月の和倉マラソンで自己新を更新できなかったので,今秋シーズンの前にもう一回走って自分の走りを確認したかったからだ。
このマラソン(ハーフ)は例年5月第4週日曜に開催されており,3月でもエントリーできるおそらく唯一の夏前の大会(ハーフ)ではないかと思う。

夏前とはいえ,5月下旬は暑い。
昨年も出場したが,ゴールする頃には30℃近くまで気温が上がっており,熱中症の一歩手前かと思った。
給水所が多いので助かるが,暑さに強くない方にはあまりおすすめできない大会である。

今春は花粉症が長引き,和倉マラソン後はゴールデンウィーク明けまで全く練習できなかった。
とりあえず完走できるかどうかの手応えをつかむために,大会の前週に20kmジョグをやってみた。
走り切れたし,体調も悪くない。
何とかなりそうだと思い,とりあえず1時間半の目標設定で当日臨んだ。
当日は比較的涼しく,曇りで時折陽が射す程度の良好なコンディションであったせいか,目標は達成できた。

今回,ハーフマラソンのほかに,もう一つ越前大野を訪れる目的があった。
それは,大野の銘酒を調達することである。
福井県の酒では「黒龍」や「梵」が有名であるが,上原浩氏の著書(純米酒を極める)に大野の酒「花垣」が紹介されていたことと,昨年に買った「真名鶴」がなかなか良かったので,今回は「花垣」を中心にいくつか買って帰ろうと思っていたのである。

ゴール地点の大野市役所から北に約500m行くと,大野市の観光拠点「結ステーション」がある。
ここには大野の酒が勢揃いしているようだ。

まずは「花垣」。
私は基本的に純米酒の60%前後精米の旨口を好んで飲んでいるが,ここでは「超辛純米」と書かれたラベルが目についた。
完全発酵させて日本酒度+12を目指し,その味わいは軽くドライで味切れのいいものだが,米のうまみをしっかり残し,味幅も感じられる,というもの。
完全発酵させたら,どれくらい米の味が残るのか興味があり,まずはそれを買った。
そして普通の「純米」も1本。

大野には「花垣」のほかには「真名鶴」「源平」「一乃谷」の銘柄があるが,今回は「源平」の特別純米も買ってみた。

さて,帰宅後の飲み比べ。

「花垣 超辛純米」は器に注いでみると,結構黄みが強かった。
見た目から想像するに,味が濃いだろうと思っていたら,穏やかな芳香と後味のすっきりさに驚いた。
確かに辛いが,しっかり米の味も残っている。
謳い文句は嘘ではなかった。
超辛口で有名な奈良の「春鹿」や岐阜の「三千盛」とは,似て非なるものと思った。

「花垣 純米」も黄みが強く,超辛に比べればずいぶん甘味が残っているが,全然甘ったるくない。
酸味とのバランスがよく,ふうわりした感じが「綿屋」に似ていると思った。
和食全般に合う食中酒に適していると思った。
「花垣」はどちらも味切れがよく,余韻が少ないと思われるかもしれないが,次に何かを飲み食いするのに邪魔しないので,どんどん盃が進みそうな酒だ。

「源平 特別純米」は複雑な味の酒だ。
通常の仕込みは三段仕込みだが,これは三段階で仕込んだ上にもう一度三段乗せて醸した,六段仕込みが謳い文句である。
香気や甘みが凝縮されているが,麹の味も結構強く,後味が残る感じだ。
「花垣」とは対照的な味で,クセの強い酒を好む方にはよいだろう。

昨年飲んだ「真名鶴」は,どちらかというと「花垣」寄りの印象だったと記憶しているが,同じ地域の酒でも随分味わいが違うものだ。
「一乃谷」も買っておけばよかったと思ったが,それはまた次の機会にしよう。