遠山を望むが如く

しんちゃんの雑録

能登半島の地形の特徴~能登半島地震に思う~

2024-01-08 12:43:30 | 環境
令和6年1月1日に発生した「能登半島地震」による甚大な被害が日に日に明るみになり,心が痛む。
自分にも何かできることはないかと考えても,余計なことをして現場に迷惑をかけてはならないので,今は情報収集に徹底している。

石川県のホームページでは「能登方面への不要不急の移動は控えて!」と強く呼びかけている。
能登半島では,車の通れる数少ない道で大渋滞が発生していると聞く。
何か支援したいという人たちが多く車で向かっているためと思われるが,2011年の東日本大震災や2016年熊本地震と違って,能登半島はその地形の特徴からしてアクセスが困難であることを念頭に置いていただきたい。

能登半島の海岸線は530kmにおよび(*1),三陸海岸の約600km(*2)に匹敵する。
しかし,能登半島の中腹(志賀~七尾間)の横断距離は15kmほどしかなく,ここがボトルネックとなる。
ここの南北を通る道は国道249号(外浦側・内浦側)とのと里山海道の3本しかなく,しかも地震でところどころ損傷を受けている。
さらに,半島の先へ向かえば向かうほど,被災して通れる道が少なくなっている。

能登半島へ入る主要道も,金沢方面からは国道159号とのと里山海道,氷見方面からは国道160号と能越自動車道の4本しかない。
現在通行可能にはなっているが,これらの道も損傷を受けており,通常走行はまだできていない。

東日本大震災や熊本地震では,被災地へ向かう,または被災地から脱出することのできる道は多方面から何本もあったが,能登半島ではかなり限定されている。
だから,現場での作業を円滑に進めるために「不要不急の移動は控えて!」なのである。

能登半島へ行ったことのない方にはイメージしづらいかと思われるが,伊豆半島や房総半島の先端で激甚災害が起こったと仮定してみるとよいだろう。
どちらも,海岸沿いと山中を通る3本程度しか道がない。
伊豆半島の海岸線は318km(*3)と一回り小さく,房総半島は千葉県下の海岸線が約530km(*4)と能登半島と同等であるが,どちらも先端ほど面積は小さくなっており,途中にボトルネック部分は存在しない。
能登半島ほどではないにしろ,どちらもアクセスが困難になると思われるので,南海トラフ等の巨大地震が想定される中,非常時の動線のシミュレーションを行っておくべきだろう。

令和6年能登半島地震では,能登半島ばかり注目を浴びているが,被災地は富山県や新潟県にも広範囲に渡っている。
支援活動したい方は,アクセスが比較的容易な地域の情報を集め,活動されるとよいであろう。
能登半島での活動は現地(石川県関係者)の方に委ねて,まずは寄付金により支援しようと思う。

<参考資料>
*1 国土交通省ホームページ 能登地域(富山県、石川県)
*2 Wikipedia 三陸海岸
*3 伊豆半島ジオパークホームページ 半島の自然
*4 千葉県ホームページ 千葉の海岸の現況

ストレッチボード

2024-01-02 19:10:37 | モノ
年のせいか,こむら返りがよく起こるようになった。

こむら返り(有痛性筋痙攣)は,ミネラルバランスの乱れ,脱水や冷えによる血行不良,筋肉疲労などが原因として挙げられている。
昨夏は毎日のように起こり,それで明け方に目が覚めることがしばしばあった。
食事はバランスよく摂っているはずだし,ふくらはぎの冷え防止のために薄手のレッグウォーマーを履いて寝ても,よく攣った。

こむら返りの予防にはふくらはぎのストレッチが有効である(注)と知り,ふくらはぎを効率的に伸ばせるストレッチボードを探してみた。
ボードの角度を何段階かに変えられるものがよく,ネットで何種類か見つけたが,金具で調整するタイプは万一外れてケガをしてはいけないと思い,ボードと同じ素材の脚をはめ込むタイプの
「La-VIE(ラヴィ) ストレッチボード のびちゃん」
を選んだ。

のびちゃんは上に乗っているだけで、ふくらはぎと足首のストレッチができるストレッチボードであり,台の角度は15度,25度,35度の3段階調節に変えられるが,もっぱら25度で使用している。
(脚をはめ直すのが面倒だからでもある)
裏返せば背中のストレッチにも使える1台2役とあるが,それに使ったことはまだない。

買った当初は読書しながら立っていたが,毎日決まった時間に読書する習慣はないのと,長時間立っているとツボ押しのボコボコが結構気になったので,毎晩寝る前の歯磨き時に短時間だけ使用することにした。

3~5分間ではあるが,寝る前のストレッチは効果的だった。
こむら返りが起こる回数が格段に減った。
「のびちゃん」である必要性はないが,ストレッチボードを用いたふくらはぎのストレッチは有効と思われるので,こむら返りに苦しんでいる方はぜひお試しください。

(注)参考として,大正健康ナビのページを紹介しておく。

エスカレーターを歩いてはいけないのか

2024-01-02 16:09:35 | 日記
最近,エスカレーターの歩行禁止が喧伝されている。
罰則はないが,条例化されている地域も出てきた。
これまで何十年も「お急ぎの方のために,片側をお空けください」とアナウンスされていたのに,真逆である。
ゆえに,片側を空けたまま一列でエスカレーターに乗る人が多く,輸送効率がきわめて悪いのが目につく。
空いていると習慣で歩かざるを得ないが,まれに「歩くな」と言わんばかりに真ん中あるいは空いている側にでんと立つ人がいて,まるで「逆あおり運転」のような場面に遭遇する。

エスカレーターを歩いてはいけないのか?
なぜ,エスカレーターを歩いてしまうのか?

歩くのはエスカレーターが低速だからという記事をよく見かけるが,歩くのと立ち止まるのとどれだけ違うのか,自分の足で検証してみた。

場所は自宅の最寄りの駅の入口にある,62段の階段に併設されている上下エスカレーターである。
階段は16段,16段,15段,15段で3箇所の踊り場があり,比較的上りやすい。
私のBMIは21でやや痩せ型,マラソンを毎年完走できる体力があり,62段程度の階段で息切れすることはなく,歩くスピードも人より速いと感じている。
体力差は人によってそれぞれなので,本データが参考になれば幸いである。

検証は,エスカレーターと階段を昇降したときの時間をそれぞれ3回測って平均値を求めた。
できるだけ同じタイミングやリズムで足を進めるよう努めたところ,いずれの条件でも3回測定の時間差は1秒以内であった。
なお,検証は電車の来ない時間帯を選び,通行人の邪魔にならないように行った。

まずは上りである。
以下に示す数値は,3回測定の平均値 ± 標準偏差で,単位は秒である。

  エスカレーター立ち止まり 43.5 ± 0.3 (秒)
  エスカレーター歩き    18.4 ± 0.4 (秒)
  階段1段ずつ       35.4 ± 0.5 (秒)
  階段1段飛ばし      23.5 ± 0.3 (秒)

エスカレーターで上るだけで45秒近くかかっている。
意外にも,階段を普通に上る方が10秒近くも短かった。
階段の段差はそれほど高くないため,1段飛ばしでも苦にならないほどだが,それだとエスカレーターのほぼ半分の時間で上ることができた。
しかし,エスカレーターの段差は階段より高いためか,エスカレーターを歩くのが最も速く上ることができた。
(エスカレーターの1段飛ばしは,かなり無理があるため行っていない)

この駅では上り切ってから改札までにいくらか距離があり,さらにホームへ到達するまでにも時間がかかるため,特に朝の急いでいるときは1分1秒が大切であり,エスカレーターを歩く人は多い。
もっと早く家を出ればよいとか,電車を1本遅らせばよいとか思われるかもしれないが,朝にそんな余裕がある人はどれだけいるだろうか。

続いて,下り。
階段下りの1段飛ばしは危険なので行っていない。

  エスカレーター立ち止まり  43.4 ± 0.1 (秒)
  エスカレーター歩き     14.4 ± 0.3 (秒)
  階段1段ずつ        23.6 ± 0.4 (秒)

エスカレーターは上りも下りも時間は変わらない。
下りは上りより速く歩けるので,歩く動作が入ると,上りよりも時間はかからなかった。
下りでもエスカレーターを歩くのが最も速く,立ち止まるより3分の1の時間しかかからなかった。

なぜ,エスカレーターを歩いてしまうのか?
それは,やはりエスカレーターを歩くのが最も速く移動できるからである。

では,どうすればエスカレーターを歩かずにすむのか?
それは,階段を使う方が速く移動できるようにすればよいだろう。

エスカレーターに人が流れるのは,上り下りの向きがはっきりしているからである。
階段では,電車が到着するたびに人の波ができ,階段の幅いっぱいに広がるため,その波に逆らうことが困難となる。
まして,大きな荷物を持っているときはなおさらである。
エスカレーターを利用する(歩く)方が,確実に移動できるのである。

階段も,上り下りの向きをはっきりさせればよい。
しかし,大きな駅では手すりの設置やレーンの色分け等で区分されているものの,それを守らない人も多い。
エスカレーターのように,物理的に逆行不可能な仕組みにしないと,急ぐ人は階段へは流れないだろう。
とは言え,物理的には無理だろうから,社会的に認知させるしかない。

エスカレーターを歩いてはいけないと言うのであれば,階段の昇降ルールの明確化と徹底も,同時に実施する必要があると考える。