遠山を望むが如く

しんちゃんの雑録

熊本の酒

2017-05-31 08:12:42 | 酒食
3月に,10年ぶりに熊本を訪れた。
震度7が2回観測されたあの大地震から1年近く経っていたが,街にはその形跡はほとんど見られなかった。
しかし,裏通りに入るとブルーシートが屋根に掛けられたままの家が散見され,今なお大地震の爪痕が残っていることに心が痛んだ。

さて,九州南部では酒と言えば焼酎のこと。
熊本では米を原料とした球磨焼酎が一般的であろう。
日本酒はと言えば,「美少年」ぐらいしか知らなかった。
その「美少年」は,三笠フーズによる事故米不正転売問題に関連して,その醸造会社が破産したので,もう存在しない銘柄だと思っていたが,「美少年」ブランドは強かったのか,破産前に全く別の醸造会社に事業譲渡され,銘柄は存続していることを知った。

夜に通町界隈で熊本の食材を楽しめる居酒屋を探し,入ってみた。
目当てはもちろん馬刺しと日本酒。
福岡や佐賀にはよい酒がたくさんあるので,そのいくつかは熊本でも飲めるだろうと思っていた。

すると,あるではないか。
熊本の地酒が,何種類も。

まずは「れいざん」を注文してみた。
柔らかい味であった。
「美少年」は後味にくどさが残るように記憶していたので,それに比べるとずいぶんすっきりしている。
熊本酒もなかなかよいではないか。

次に,「泰斗」を注文してみた。
これもすっきりしていたが,「れいざん」よりは後味が残る感じ。

その後は山形や新潟の酒に走ったが,それらと比較しても熊本の酒は遜色なかった。

次の日,角打ちをやっている酒屋へ行って,いろいろ試飲してみた。
熊本の酒でオススメを聞いてみたところ,「香露」がいいと聞いたので,その特別純米を熊本駅界隈のお土産屋さんで見つけたので買ってみた。

帰宅後,冷蔵庫に入れ,翌日飲んでみた。
とても香りがよく,柔らかい味。
後で知ったが,「香露」を醸造している「熊本県酒造研究所」は,吟醸酒造りによく使われる熊本酵母(9号酵母)を分離・提供している蔵である。
山田錦を35%まで研いて熊本酵母で造った酒(YK35)は,かつて新酒鑑評会で金賞を総なめにしていたらしい。

熊本の酒も侮れないことを知った,熊本訪問であった。