拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

  黄雨の砂

2021年02月12日 | ヨーロッパの風

  先週土曜2月6日、朝起きると空が異様に黄褐色・・・

          

  何事…と思って、携帯で調べるも何も出てこない。日本のツイッターとは違う。

  相方に聞いても『分からん…』とのこと。 ・・・昔、私が子供の頃こんな空を経験したのを思い出した…たしか火山の噴火だった。

  調べてみると1962年6月(私は10歳)、北海道の十勝岳が噴火、噴煙が高度12000mに達し、100kmしか離れていない北見地方の空は異様に暗く

  空を見上げると、目に砂入って痛かったのをよく覚えている。だから、今回もイタリアあたりの山が噴火したのでは?と思ったのだが。

  土曜の朝だったので、黄色っぽい街の市場へ相方と買い物にでかけた。小ぶりの雨で私は傘を持たず、ジャンパーのフードをしていた。

  歩いてしばらくすると、相方が私の黒っぽいジャンパーを指さして『あなた、砂がついているわよ』… 周りの人々も砂のついた傘を見たりして

  互いを見合ったりしている。すると、誰かが『サハラ砂漠から飛んできた砂だよ』、と言うのが聞こえてきた。

  後で帰宅しTVニュースで、この異様な色の空の原因が『サハラ砂漠の砂嵐による砂』であることが確認できた。

  私はこの夏でスイスに来て30年になるが、こんな経験は初めてで、コロナに次いで何か不吉な事が起こったのか?と危ぶんだが、違っていて良かった。

  しかし、考えてみるにこんなに凄い砂嵐だと、砂漠から間近のアフリカの人々の被害は大変なものであろう…と、アフリカのコロナ状況も合わせて考えると

  気の毒であった。 

  その夜、私はサハラ砂漠というのがどの辺であるのか知りたくなってグーグルマップで調べている内に、いつのまにかGoogle Earthになっていて

      

  私の住んでいるローザンヌのアパートから観えるレマン湖の方向の延長線上に地中海、そしてアフリカの砂漠がすぐ近くにあるのを確認して仰天。

  で、地球を上下反対にしてみると、あまりにもこれまでのイメージと違って観えることに本当に驚いた。

  なにより、自分がいま本当にヨーロッパに住んでいて、すぐ近くに私の前頭部のような禿た大陸が迫っている事をこのマップは示していた。

  これまで私の意識にアフリカの存在がなかった・・・。 それを『黄雨の砂』が私の肩を叩いて、思い知らせてくれたのだと思う。

  これからレマン湖を見る時、その先の地中海、さらにその先のアフリカの存在を忘れないようにしたい。